「知られざる欧州組」の現在地

欧州中堅&下部リーグでプレーする日本人選手の前半戦通信簿【後編】 ベルギーの強豪で守備陣を束ねるCB、ドイツ2部で評価高騰のレフティ…

河治良幸

明本考浩(DF)/ルーヴェン(ベルギー)

レンタルを経て24年夏に完全移籍。昨シーズンはウイングバックや3バックの一角に入ったが、4バックがメインの今シーズンは左サイドバックに定着した 【 Photo by Tomas Sisk / Photo News via Getty Images】

前半戦の通信簿:A
 欧州の環境にしっかり適応し、Jリーグ時代と変わらぬ闘争心を前面に押し出したプレーを見せている。カードの多さは玉に瑕も、アグレッシブさは買える。ポリバレントな選手というイメージが強いが、今シーズンは左サイドバックとして評価を高めており、そこは現在レギア・ワルシャワでプレーする森下龍矢がサイドバック以外のポジションで活路を見出したのと異なる点だ。今後のステップアップや代表入りへのアピール材料と言えるかもしれない。

藤井陽也(DF)/コルトレイク(ベルギー)

前半戦の通信簿:B
 名古屋グランパスから期限付き移籍で加入した昨シーズンは、チームを降格の危機から救って、夏に完全移籍を勝ち取った。そこからセンターバックの主力としての地位を確立したのは素晴らしく、特に大型FWに対する守りで貢献している。ただ、チームは平均約2失点と“守備崩壊”と言える状況に陥っており、DFとしては厳しい前半戦だった。

高嶺朋樹(MF)/コルトレイク(ベルギー)

※1月に北海道コンサドーレ札幌への移籍が決定

前半戦の通信簿:B
 夏にコルトレイクと契約し、合流してすぐの第2節セルクル・ブルージュ戦で欧州デビュー。欧州基準でも、ボールを奪う能力と左足の配給力は目を見張るものがあり、チームがなかなか軌道に乗れないなかでも自身は中盤での足場を固めて、12月に監督が代わってからもスタメン起用されていた。それだけに、J2に降格した北海道コンサドーレ札幌に電撃復帰したのは驚きだが、その決断はリスペクトしたい。

金子拓郎(MF)/コルトレイク(ベルギー)

※1月に浦和レッズへの移籍が決定

前半戦の通信簿:C
 クロアチアのディナモ・ザグレブからコルトレイクに移籍して、コンスタントに出場。得意のドリブルで存在感も見せていた。ただ、ゴールに絡むことも期待されていたことを考えれば、シーズン半ばで1得点というのは物足りなさもある。本人は5大リーグにステップアップすることを目標にしていたようだが、浦和レッズからオファーを受け、地元の埼玉でプレーすることを決断。夏のクラブワールドカップで自らの価値を上げられるか。

後藤啓介(FW)/RSCAフューチャーズ(ベルギー2部)

前半戦の通信簿:A
 ジュビロ磐田で“高校生Jリーガー”として脚光を浴び、昨年1月にベルギーの名門アンデルレヒトに期限付き移籍で加入。今シーズンは2部に所属するフューチャーズ(同クラブのセカンドチーム)で大車輪の活躍を見せて、特にアクロバティックなゴールで注目を集めている。サイズに恵まれているうえにセンスも抜群で、課題だったフィジカル面も着実に改善されてパワーアップした。すでに完全移籍を勝ち取っており、トップチームでの飛躍に向けて準備は整いつつある。

横田大祐(FW)/カイザースラウテルン(ドイツ2部)

ベルギーのヘントからレンタル移籍したカイザースラウテルンで躍動。評価上昇中だ 【Photo by Uwe Anspach/picture alliance via Getty Images】

前半戦の通信簿:A
 川崎フロンターレの下部組織で育ち、高校3年生の時に欧州へ渡った異色のテクニシャン。ラトビア、ポーランド、ベルギーを経てドイツ2部での挑戦となったが、左利きのアタッカーとして評価を高めている。第10節のデュッセルドルフ戦ではカットインからのスーパーゴール、右足クロスでのアシストで勝利の立役者となった。当初、ウインガーとして期待されていたが、現在は3-4-2-1のシャドーとして輝きを増す。

室屋成(DF)/ハノーファー(ドイツ2部)

前半戦の通信簿:B
 FC東京からドイツに渡って5シーズン目。右サイドバック/ウイングバックのレギュラーとして、ここまで継続的に起用されており、すでに確固たる足跡を残したと言っていい。対面のサイドアタッカーを封じる仕事は堅実そのもの。チームはなかなか昇格できないが、それでも今シーズンのブンデスリーガ2部は大混戦となっており、ハノーファーにもチャンスはある。悲願の昇格なるか。

(企画・編集/YOJI-GEN)

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著者プロフィール

セガ『WCCF』の開発に携わり、手がけた選手カード は1万枚を超える。創刊にも関わったサッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』で現在は日本代表を担当。チーム戦術やプレー分析を得意と しており、その対象は海外サッカーから日本の育成年代まで幅広い。「タグマ!」にてWEBマガジン『サッカーの羅針盤』を展開中。

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