初戦Vの松山英樹に続け! 今季米PGAツアー参戦の“日本の若き4人”久常涼、金谷拓実、星野陸也、大西魁斗の可能性

北村収

左から久常涼、金谷拓実、星野陸也、大西魁斗 【Photo by Raj Mehta/Andrew Redington/Scott Taetsch/Isaiah Vazquez/Getty Images】

 2025年の米国PGAツアーが開幕した。その初戦「ザ・セントリー」で松山英樹(32歳)が見事な勝利を飾り、ツアー通算11勝目を達成。年明け早々、日本のエースが輝きを放ち、ゴルフファンのPGAツアーへの期待がさらに高まっている。

 今年はPGAツアーに参戦する日本人選手が一気に増え、松山に加えて、久常涼(22歳)、金谷拓実(26歳)、星野陸也(28歳)、大西魁斗(26歳)がツアーメンバーとして名を連ねている。

 松山を追う若き4人の日本人選手の可能性について、実績やデータ、本人のコメントなどをもとに探った。なお、1月9日に開幕する「ソニーオープン イン ハワイ」には、松山、久常、金谷、星野、大西の5人の日本人選手が揃って出場する予定だ。

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ポイントランク以上の実力者・久常涼──課題はグリーン周りとドライバー精度

 2024年よりPGAツアーに参戦した久常涼。2024年はポイントランキング70位までが出場できるプレーオフへの進出を逃したが、プレーオフ前のレギュラーツアーの最終戦「ウィンダムチャンピオンシップ」で3位タイに入り、ポイントランキングは83位に上昇。上位125位までに与えられる2025年シーズンのシードを確定させた。

PGAツアー初年度となった2024年は「ウィンダムチャンピオンシップ」で3位タイに入り、翌年のシード権を確定させた 【Photo by Isaiah Vazquez/Getty Images】

 2024年はPGAツアーに27試合出場したがトップ10に入ったのはこの「ウィンダムチャンピオンシップ」のみ。予選通過を果たしたのは17試合で少しずつポイントを重ねシード権を獲得したことになる。

 PGAツアーに出場する選手の重要な指標として「SG: Total(ストロークゲインド トータル)」というスタッツがある。ティーショットからパットに至るまでの全ショットで他の選手の平均よりも良かったのか悪かったのか、つまり打数を稼いだのか稼げなかったかを表す数値で久常は79位。なお、2024年はポイントランキングを93位で終えている久常は、ポイントランキングよりも上位に「SG: Total」があり、現状の実力でもポイントランキングを上げる余力はあると言える。

 昨年のスタッツで見るとグリーン周りとドライバーで苦戦していることが見える。「SG: Around the Green(アラウンド・ザ・グリーン):グリーンの端から30ヤード以内のアプローチショットで稼いだ数値」で107位、「Total Driving(トータルドライビング):ドライビングディスタンスとフェアウェイキープ率の順位を合算したポイント」で126位。この2つの向上が課題となる。

年間平均ストローク60台の金谷拓実──逆転賞金王から米ツアーへ挑む

 最終戦で日本ツアーの逆転賞金王に輝いた金谷拓実。シーズン終了後に出場したPGAツアーの2025年の出場権をかけた2次予選会を突破。さらに最終予選会でも3位に入る活躍で超狭き門を通過して2025年はPGAツアーに参戦する。

 合格が決まった直後、いつもはクールな金谷が喜びを爆発させた。取材をする記者の前で大泣き。喜びの大きさを窺わせた。「苦しかった。うれしい」と声を絞り出した。

2025年のPGAツアー出場権がかかった最終予選会を突破した金谷拓実 【Photo by Scott Taetsch/Getty Images】

 プロ入り後毎年のように賞金王争いをして最後には敗れるなど、これまでの道のりは本当に厳しいものだった。一方でデータを見ると一歩一歩成長してPGAツアー出場権にたどり着いたこともわかる。

 念願の日本ツアーの賞金王に輝いた2024年シーズンは主要スタッツでも多くの部門で1位になっており、2023年シーズンと比べてデータ上でも成長を見せていた。

 平均ストロークは2位から1位、平均パットは6位から5位、パーオン率は2位から1位へと順位を上げた。パーキープ率とトータルドライビングは2年連続の2位を誇る。ちなみに日本ツアーでのパーオン率「74.228%」という数値は驚異的。コースが異なるので単純比較はできないが、PGAツアー2024年パーオン率でトップだった選手の「74.21%」を上回っている。

 そして金谷は驚くべき記録を続けている。プロ入りの2020年から年間平均ストロークが毎年60台なのだ。「粘り強いプレーが信条」と話す金谷には、PGAツアーでもこの驚異的な粘りと安定感が期待される。

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著者プロフィール

1968年東京都生まれ。法律関係の出版社を経て、1996年にゴルフ雑誌アルバ(ALBA)編集部に配属。2000年アルバ編集チーフに就任。2003年ゴルフダイジェスト・オンラインに入社し、同年メディア部門のゼネラルマネージャーに。在職中に日本ゴルフトーナメント振興協会のメディア委員を務める。2011年4月に独立し、同年6月に(株)ナインバリューズを起業。紙、Web、ソーシャルメディアなどのさまざまな媒体で、ゴルフ編集者兼ゴルフwebディレクターとしての仕事に従事している。

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