初戦Vの松山英樹に続け! 今季米PGAツアー参戦の“日本の若き4人”久常涼、金谷拓実、星野陸也、大西魁斗の可能性

北村収

豪快なドライバーショットだけでなくパッティングも得意な星野陸也──欧州から米ツアーへ挑戦

 欧州(DPワールド)ツアーのポイントランキング10位までに付与される資格でPGAツアー出場資格を得て参戦するのは星野陸也だ。

 昨シーズンは2月の「カタールマスターズ」で欧州ツアー初優勝するなど活躍したが、4月に肺から空気が漏れる「気胸」を患いツアーを2カ月近く離れた。その後もコンディションは万全ではなく、「最終戦では飛距離が10ヤード近く落ちていた」という状態だったが粘り強いゴルフで最終のポイントランクは16位(有資格者を除いたランクでは9位)となりPGAツアーの出場権を獲得。欧州ツアーで戦った2年間を振り返り、「芝の環境や風がコースによって全然違ったり、いろんなことをたくさん学ぶことができた。アメリカでもその学びを生かしていきたい」と意気込む。

2024年2月の「カタールマスターズ」で欧州ツアー初優勝を果たした星野陸也 【Photo by Octavio Passos/Getty Images】

 186センチの星野陸也だが、スタッツを見ると日本ツアーでも欧州ツアーでもパッティングがデータ的には上位にきている。特に欧州ツアーはコースによってグリーンも大きく異なり、様々なグリーンへの対応力も培った。星野にとって初戦になる「ソニーオープン」は出場経験があるが「以前はハワイ独特のグリーンに苦戦したが、欧州ツアーで様々なグリーンを経験してきているので今年は楽しみ」と語る。欧州ツアーの経験を生かして、世界最高峰のPGAツアーで結果を残す。

下部ツアーの過酷な経験を乗り越えた大西魁斗──粘り強さを武器に初勝利を目指す

 大西魁斗は2024年6月の「UNCヘルス選手権」で米国下部ツアー(コーンフェリーツアー)初優勝。2024年シーズンの下部ツアーポイントランキングを25位で終え、念願のPGAツアー昇格を果たした。「2年目でやっと昇格できたことは、とてもうれしい。でもここがスタート地点。活躍しないと、また(下部ツアーに)戻る可能性もあるので、ベストを尽くしていきたい」と決意を新たにする。9歳で渡米し南カリフォルニア大ゴルフ部にも属していた大西魁斗は、米国での生活が長く言葉の問題はない。

2024年シーズンの下部ツアーポイントランキングを25位で終えPGAツアー昇格を果たした大西魁斗 【写真提供:PGA TOUR】

 2023年、2024年に主戦場としてきた米国下部ツアーについて「想像以上の大変なことがいろいろと起きた」と振り返る。特に南米シリーズでの経験は厳しく、バハマ、コロンビアといった地域では治安や環境の違いに苦しんだ。バハマのアバコでのコースへの送迎では舗装されていない泥道を車で30分毎日移動し電波も通じず、レストランもほとんどない状況に直面。南米のコロンビアではスリの危険性から常にリュックを前に抱え、ホテルでも不安を感じながら過ごしたという。また、コロンビアは標高が高い影響で呼吸困難になり睡眠が十分に取れなかった。2024年は自身の初戦の初日でお腹を壊し、残りの3日間はほとんど食事が取れずプロテインバー1本で乗り切った。

「こういった経験があるから、PGAツアーでの環境がうれしい」と大西。さらに、このように下部ツアーの過酷な環境で戦う選手たちの姿を目の当たりにし、大西選手は「メンタリティの違い」を痛感したという。「コーンフェリーツアーの選手たちは、“死ぬか生きるか”の世界に身を置いていた。自分もその厳しさに向き合っていけるようになった」。周りの選手にも触発され、大西もトレーニングやルーティンを見直し体力強化に努め、「昨シーズンは体が大きくなった」という。

 ゴルフのスタッツでも「Scrambling(スクランブリング):パーオン出来なかったホールでパーかそれよりいいスコアで上がることができた確率」は上位。プレーも精神力も2年間の下部ツアーで培った粘り強さを発揮し、PGAツアー初優勝を狙う。

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著者プロフィール

1968年東京都生まれ。法律関係の出版社を経て、1996年にゴルフ雑誌アルバ(ALBA)編集部に配属。2000年アルバ編集チーフに就任。2003年ゴルフダイジェスト・オンラインに入社し、同年メディア部門のゼネラルマネージャーに。在職中に日本ゴルフトーナメント振興協会のメディア委員を務める。2011年4月に独立し、同年6月に(株)ナインバリューズを起業。紙、Web、ソーシャルメディアなどのさまざまな媒体で、ゴルフ編集者兼ゴルフwebディレクターとしての仕事に従事している。

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