混戦が予想される全国高校サッカー選手権 識者が選ぶ注目の8校は

サッカー新聞 エルゴラッソ
 103回目を迎える全国高校サッカー選手権。昨年度は青森山田が2年ぶり4度目の日本一に輝いたが、「群雄割拠」の大会であることは間違いない。

 今大会の優勝候補はどこなのか。サッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』が、ユース年代を主に取材する川端暁彦氏、森田将義氏、土屋雅史氏の識者3名に注目校を挙げてもらい、主役候補8校を紹介する。

(文・川端暁彦、森田将義、土屋雅史)

大津(熊本)/出場:4年連続21回目

【Masayoshi Morita】

貫禄のプレミア覇者。「歴代最高」とも言えるチーム力

 過去50人以上のプロ選手を輩出してきた名門だが、チーム力は歴代最高かもしれない。キャプテンのDF五嶋夏生、清水加入内定のMF嶋本悠大、FW山下景司ら下級生のころから定位置をつかむ選手が多く、山城朋大監督も「高さ、スピードがあって、ボールを持てる選手もいる。バランスがいい」と評する好チームに仕上がっている。

 初戦敗退に終わった総体以降は、攻撃の長所を封じられても打開できるよう個の力を高めつつ、二の手、三の手を準備してきたため、そう簡単には止められない。守備の切り替えも早く、自陣にすらボールを持ち込ませない。すでにプレミアリーグWESTとファイナルを制したが、気の緩みも見られない。3冠目へ驀進し続ける。

静岡学園(静岡)/出場:2年連続15回目

【Masayoshi Morita】

見せ始めた“シズガク”。攻撃の生命線、両SBの復帰も追い風

 プレミアリーグWESTでは開幕5連敗を喫し、6月末の大津戦では1-8で大敗。今年は苦しい1年を過ごしてきた。ただ、川口修監督が「継続してやってきたことが出せるようになってきた」と話すとおり、ここにきて調子を上げている。

 一番の変化は守備力の向上だ。「球際や守備の出足が早くなった」と話すのはDF関戸海凪で、奪ったボールを“シズガクらしく”、ドリブルとパスを使い分けながら前に運んでいく回数も増えた。攻撃の生命線である野田裕人(川崎F加入内定)と鵜澤浬の両SBも12月に入って実戦復帰し、チーム力はさらに高まっている。11月末の大津戦は1-2で敗れたが、「ひっくり返すイメージはついた」(川口監督)。狙うは決勝でのリベンジだ。

前橋育英(群馬)/出場:4年連続27回目

【Masashi Tsuchiya】

夏以降は向上の一途。プレミアEAST得点王も擁する

 プレミアリーグEASTではまさかの開幕3連敗。総体でも県予選敗退と本来の実力を発揮できない時間が続いた。ただ、「苦しい夏を全員で乗り越えてきて、一体感が出てきた」とキャプテンの石井陽が話したように、シーズン後半戦はリーグ戦でも優勝争いに食い込むなど、チーム力は間違いなく向上の一途をたどっている。

 プレミアEAST得点王のオノノジュ慶吏と佐藤耕太の2トップが攻撃をけん引し、夏以降に台頭した鈴木陽が最終ラインを束ねる。中盤では石井が舵取りに奔走し、平林尊琉や柴野快仁ら2年生もきっちりと脇を固める。就任43年目となる山田耕介監督の情熱も衰える気配は微塵もなく、7年ぶりの日本一も確実に視野へ入ってきた。

流経大柏(千葉)/出場:3年ぶり8回目

【Masashi Tsuchiya】

壁を乗り越え、虎視眈々。とにかく面白いタレントぞろい

「メンタルの浮き沈みのあるチームだったけど、選手権予選で一つ超えましたね」(榎本雅大監督)。シーズン前から周囲の高評価を得ていたチームは、プレミアリーグEAST開幕後も無敗を続けていた中で、総体予選決勝・市立船橋戦に敗れると、そこからやや失速したものの、「絶対乗り越えなきゃいけない壁」(榎本監督)に力強く立ち向かい、選手権予選を3年ぶりに突破してみせた。

 J内定組のMF亀田歩夢やFW松本果成、超攻撃的SBの堀川由幹、年代別代表経験者のMF柚木創など、とにかく面白いタレントが集まっているが、「一戦必勝で頑張っていきたい」とはキャプテンを務めるDF奈須琉世。地に足をつけながら、17年ぶりの頂点を虎視眈々と狙う。

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