試合に出られなかった3年間を原動力に。「自分のベストを発揮する」精神で戦い抜く
トライでの逆転を狙う横浜Eがトライライン際へと攻め込む。誰もが危ないと感じたその瞬間、山田生真の激しいタックルが相手の攻撃を阻止する。そしてノーサイドの笛が響き、三重Hが勝利した。
「必死に走っていたら、たまたまあの状況になったんです。ここで決められたら終わりという場面だったので、ただただ気持ちで(相手を)捕まえることができた、という場面でした」
殊勲の好守を見せた山田は、笑顔でそう振り返る。今季、前線で貴重な働きを見せている男には、キアラン・クローリー ヘッドコーチからも「敬意を表したい」との言葉が送られていた。
山田は昨季まで所属していたコベルコ神戸スティーラーズ(以下、神戸S)であまり出場機会に恵まれず、苦しい時間を過ごしたが、その経験が、いま三重Hで大いに生きているようだ。
「学生時代は常に何らかの形で試合に絡んでいたので、丸3年ほど出られなかったというのは初めてでしたし、良くも悪くも大きな経験になりました。あのときの歯がゆい気持ちが、いまの自分を突き動かす力になっています。チームにフィットできて、試合に使っていただいて、結果はまだ満足できるものではないですが、一つひとつ勝利をつかめている現状はうれしいです。ヘッドコーチには『こちらこそ、このような試合に起用してくれて、活躍させてくれてありがとう』と言いたいです」
山田が見据えるのは、今節・静岡ブルーレヴズ(以下、静岡BR)戦、そして、古巣対決となる次節・神戸S戦だ。
「今週末は静岡BRと対戦して、その次は古巣との試合が待っています。絶対に負けたくないという気持ちが高まっています。そういう意味でも、3年間苦い経験をしましたけど今ではとてもプラスになったなと思っています。当時は試合に出たい気持ちが先行しすぎていましたが、いまは公式戦でプレーできるようになって『出ている以上は自分のベストを発揮して勝つんだ』というマインドに変わってきました。
横浜E戦の最後、ライン際でタックルに成功して、試合終了の笛が鳴って、顔を上げたときにスタンドで喜ぶファンの姿が目の前に広がりました。このような方々の存在が僕たちの原動力になっているんだなとあらためて思いました」
(籠信明)
※リンク先は外部サイトの場合があります
- 前へ
- 1
- 次へ
1/1ページ