セルティックで存在感を増す旗手怜央 欧州で生じた変化と見据える未来
「日本とは全然違う。静かで、建物がキレイで、散歩しているだけでも楽しい」。後にそう旗手が語ったとおり、歴史ある美しい街並みが気分を高めてくれる。しばらく歩くと、目的地にたどり着いた。『Wee Paree』。地元の人々に愛される、こじんまりとしたフレンチレストランだ。
旗手は約束の時間どおりに現れた。「待ちましたか?」。こちらを気遣う言葉とともに我々の前に座ると、彼は実直に、丁寧に言葉を紡いだ。セルティックが抱えるファンの熱気、チームメートへの感謝、チャンピオンズリーグ(CL)、そして日本代表への思い――。
旗手怜央がスコットランドに渡り、間もなく3年が経つ。彼は今、何を思うのか。
「最後に勝っていればいい」というマインドに変わった
「雰囲気が好き」というお気に入りのレストランで取材に応じてくれた 【SPOTV NOW】
一番感じるのはファン・サポーターの熱狂というか、パッションを持っているところ。ホームで試合をしている時は自分たちを後押ししてくれますし、相手からすればあの雰囲気の中でアウェーで戦うことは、試合にプラスしてファン・サポーターの熱狂という難しさも加わってくるので。熱狂的でパッションを持っているところがすごいなと、魅力に感じます。
――チームメートである古橋亨梧選手、前田大然選手とはどんな関係を築いていますか?
ピッチ内でコミュニケーションを取るのは当たり前ですけど、ピッチ外でも話すことはあります。とくに大然は同い年で、同じタイミングでこっち(スコットランド)に来たので。一緒にどこかに出かけるということはあまりしませんが、練習場に行ったらコミュニケーションを取ることは多いです。ピッチ内では亨梧くんとコミュニケーションを取ることが多いですね。向こうは(パスの)受け手で、こちらは出し手なので、意思疎通を取るという意味で話すことは多い。ピッチ内外で2人ともよく話すので、いい関係性を作れているかなと思います。
――異国の地でプレーするうえで、日本語でコミュニケーションを取れる同僚がいるというのは大きい?
そうですね。まあ、ピッチ内では「もうやるしかない」ですけど、ピッチ外については僕自身、初めての海外挑戦だったので、チームメートに日本人が多くいたことはありがたかったです。私生活の部分でいろいろと助けてもらったので、すごくありがたい存在だなと感じています。
――セルティックは今季もリーグ戦で無類の強さを見せていますが、その秘訣はどんなところにあると思いますか?
まず、このリーグでは絶対に勝たないといけない。今はそこをしっかりとクリアできているので、リーグ戦においてはすごくいいなと思います。でも、もちろん内容にもこだわっていきたい。新しい監督になって2年目を迎え(2023-24シーズン開幕前にアンジェ・ポステコグルー前監督が退任し、ブレンダン・ロジャース現監督が就任)、守備的な部分は僕自身も、チーム全体もすごく言われています。攻撃ではある程度の自由が与えられていますが、守備の部分はかなり言われている。結果を見るとゴール数も多いんですけど、失点数もすごく少ないので、それが勝っている要因なのかなと。
――旗手選手ご自身は第10節終了時点で3ゴールを挙げていますが、ここまでのパフォーマンスをどう評価していますか?
昨シーズンはケガが多かったので、今はそれがなくしっかりプレーできているところ。「そこかよ」とも思いますけど、僕にとっては大事な部分なので。それプラス、しっかりと自分のパフォーマンスをピッチ上で出せているところもそうです。チームに貢献できている部分はたくさんあると思うので、昨シーズンよりも良くなっているなと思います。一方で結果の部分では、もう少しゴールやアシストという目に見える結果を残していきたいと思っているので、まだ10試合ですが、いい部分と悪い部分がはっきり出たかなと思います。
――スコットランドに来てからの3年間で、ご自身にどんな変化があったと感じますか?
やっぱり結果にこだわるようになったと思います。もちろんプロセスも大事ですけど、結果的に「勝つ」という部分が一番大事だなということは、こっちに来てすごく感じている。90分のうちに自分やチームのプレーに波があったとしても、最後に勝っていればいい、負けなければいいというマインドに変わりました。今年に関しては守備の部分を監督から言われているので、そこが日本に来た当初と比べたら上がっているスキルなのかなと。