“00世代”第3の男、横田大祐の評価が上昇中 堂安律と重なる「日本人っぽくないメンタリティー」
ブンデス2部・シャルケ戦で、今季2点目となる見事な一撃を叩き込んだ横田。川崎Fのアカデミーで宮代や山田新と同期だった男が、ドイツで評価を高めている 【Photo by Jürgen Fromme - firo sportphoto/Getty Images】
「本当に日本人選手か?」と疑うほどに
「日本人はシャイで大人しいよね」、と。
これは日本人が最初にぶつかる壁でもある。見知らぬ土地に赴き、新たな文化に順応しながら、その国の人々と交流する。簡単なコミュニケーション程度は取れるが、言語が上達しないとなかなか自分の意見を言うことができないというのは”あるある”と言っていいだろう。
ことサッカーにおいても最近、多くの日本人選手が欧州へと渡る中で、割とパターンが分かれる傾向にある。ピッチ上で密にコミュニケーションを取る選手と、自分のプレーに淡々と邁進(まいしん)する選手。どちらがいい悪いではなく、そういう傾向があるという話で、そこから選手の人柄が見えてくるのが面白かったりする。
11月29日(現地時間、以下同)に行われた、ブンデスリーガ2部・第14節のシャルケ対カイザースラウテルン戦。ある日本人選手を取材しに行ったのだが、試合を見ながら思わず笑ってしまっている自分がいた。ピッチ上には「本当に日本人選手か?」と疑うほど、ところ構わず喜怒哀楽を身体全体で表現している男がいたからだ。
その男の名は横田大祐。今季J1連覇に貢献したヴィッセル神戸の宮代大聖、そして日本人最多得点を記録した川崎フロンターレの山田新と、ユース時代に同期だった“00世代”第3の男である。
彼の経歴をざっくりさかのぼると、川崎Fのアカデミーを途中で辞めた後、単身ドイツへ。海外サッカー留学をサポートしてもらう形でドイツのクラブのアカデミーやBチームに所属し、その後はラトビア、ポーランド、ベルギーでプレー。今季ヘント(ベルギー)からカイザースラウテルンに期限付き移籍し、新天地での飛躍を目指している最中である。
先制ゴール後も歓喜の輪には入らず……
思い立てばチームメイトを捕まえ、コミュニケーションを取る。およそ日本人選手らしくないウインガーが、現在2部2位と好調のカイザースラウテルンをけん引する 【Photo by Bernd Thissen/picture alliance via Getty Images】
それまで少しずつ出場機会を増やしていた横田は、前節のパターボルン戦で初アシストを記録した勢いそのままに、当時首位に立っていたデュッセルドルフを相手に傑出したパフォーマンスを披露する。
14分に先制点をアシストすると、迎えた57分だった。右サイドでボールを受けて、カットインから左足を一閃。かつてバイエルン・ミュンヘンで活躍した元オランダ代表FWアリエン・ロッベンを彷彿とさせるビューティフルゴールで、一躍脚光を浴びたのだ。
このゴールを見た時から取材のタイミングを見計らい、やっと現場に訪れることができたのがシャルケ戦だった。
横田はシャルケ戦でも61分にリオネル・メッシばりのゴールを決めるのだが、個人的に気になったのは前述した日本人っぽくない所作だ。とにかく何かを思い立ったらすぐにチームメイトのそばに歩み寄り、コミュニケーションを取る。ときにはジェスチャーで不満を表し、言い争いのように映るほどの議論を交わしている。
なかでも印象的だったのは、12分にチームの見事な先制点が決まった場面。サポーターの前で喜ぶ仲間の輪に加わるかと思いきや、アシストした選手を捕まえてハーフウエーライン方向へ向かいながら、身振り手振りで思ったことを説明している様子がうかがえた。その姿を見て、日本人選手らしからぬ振る舞いをする選手だと感心するに至った次第である。