MLBポストシーズンレポート2024

左肩亜脱臼の大谷、WS第3戦出場へ前進か ロバーツ監督が掲げる「2つの条件」

丹羽政善

それはテレビの演出のためなのか

WS第2戦、大谷翔平が盗塁を試みた際に見せたスライディング。この後、左肩を負傷している 【Photo by Kevork Djansezian/Getty Images】

 さて、昨日も触れたフィールドの硬さの問題。気になったので、もう少し選手、コーチに話を聞いてみた。するとあるコーチが、こう教えてくれた。
「メッツとの優勝決定戦ぐらいから、それを感じた。特にデーゲームだった第2戦は、硬かった」

 彼によると、普段から試合開始は硬め。試合が進行するにつれ、湿気が出るので、それがグラウンドを柔らかくするとのこと。しかし、デーゲームは空気が乾燥したままなので、硬さが持続。メッツとの第2戦は、硬めに作ったグラウンドが、試合最後まで続いた。

 では、昨日の試合は?

「翔平のスラインディングを見る限り、想定以上に滑る感じだったのではないか」

 一方、ある投手はこう証言した。

「確かにこのところ、マウンドが硬い。踏み込んだときにスパイクの歯がグッと刺さる感覚がある。日によって状態は違うけど、その方が好きだから、投げやすい」

 ただ、マイナス面も指摘する。

「ドジャー・スタジアムは芝生も短いから、打球が速い。打ち取ったと思った打球が、内野の間を抜けていく。外野手もあれだけ芝生が短いと、ケガのリスクを感じているのではないか」

 内野のグラウンドとマウンドの硬さは別の話だが、いずれにしても、リーグチャンピオンシップシリーズあたりから、グラウンドが硬かったよう。それが本当にテレビの演出のためなのか、ドジャースに何か意図があってグラウンドキーパーに依頼したものなのか。そこはもう少し、取材をする必要がありそうだ。

 ちなみにヤンキー・スタジアムの芝は深く、歩けば足跡がつくほど、土が柔らかかった。

左肩が打撃に与える影響は軽微か

10月27日に行われたヤンキー・スタジアムでのワークアウトには、大谷翔平の背番号17が記されたヘルメットが用意されていた 【写真は共同】

 さて、大谷は本当にプレー可能なのか。

 2020年のリーグチャンピオンシップシリーズ第7戦では、コディ・ベリンジャー(現カブス)がキケ・ヘルナンデスと腕をクロスさせた際、右肩を脱臼した。しかし、トレーナールームで肩を戻してもらうと、そのまま守備についている。さらには、ワールドシリーズも全試合プレーした。彼はそれまでにも2度右肩を脱臼しており、あの時が3度目。シーズン終了後、手術に踏み切った。

「状況が似ていると思う」とロバーツ監督。

「コディは右肩だったが、翔平の場合、左肩なので、打つときは後ろの肩になる。よってそれほど、打撃には影響しないのではないか」

 ドジャースは現在、2勝0敗とリード。もう少し様子をみてもいいような気がするが、大谷なら言いそうである。

「大丈夫。出れます」と。

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著者プロフィール

1967年、愛知県生まれ。立教大学経済学部卒業。出版社に勤務の後、95年秋に渡米。インディアナ州立大学スポーツマネージメント学部卒業。シアトルに居を構え、MLB、NBAなど現地のスポーツを精力的に取材し、コラムや記事の配信を行う。3月24日、日本経済新聞出版社より、「イチロー・フィールド」(野球を超えた人生哲学)を上梓する。

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