MLBポストシーズンレポート2024

左肩亜脱臼の大谷、WS第3戦出場へ前進か ロバーツ監督が掲げる「2つの条件」

丹羽政善

10月26日(現地時間)に行われた、ドジャースとヤンキースによるWS(ワールドシリーズ)第2戦。ドジャースの大谷翔平は盗塁を試みた際に左肩を負傷。第3戦以降の試合に出場できるか、注目が集まる(写真は第1戦) 【Photo by Daniel Shirey/MLB Photos via Getty Images】

 10月27日午後7時半過ぎ(現地時間、以下同)、フィールドでの打撃練習が終わったタイミングで、大谷翔平(ドジャース)がヤンキー・スタジアムに到着し、クラブハウスの中へ消えていった。

 午後5時45分から、デイブ・ロバーツ監督が会見。その際、「翔平はいま、こちらに向かっている。30分以内には来るだろう」と話し、明言こそしなかったが、室内ケージで打撃練習を行うことを匂わせた。

 それがそのまま第3戦の出場を意味するものではないが、最低でもそれを行って状態を確かめない限り、出場はない。本当に打つなら、出場の現実味が増す。

 果たしてどうなのか? ただ、待てど暮らせど大谷は姿を見せない。練習も終わりに近づき、さすがにもう来ないだろうと油断した矢先に、黒いパーカーに紺の帽子を後ろに被る、いつものスタイルで現れた。予定からは1時間以上も遅れていた。

WS出場を許可する2つの条件

10月27日の会見で、大谷翔平の状態について語るデイブ・ロバーツ監督 【写真は共同】

 大谷は前日の試合後、チームのチャーター機には乗らずに、10月27日の午前中にMRI検査(磁気共鳴画像法)を受けた。その後、別の便でニューヨークへ移動。ロバーツ監督は会見でそのことは明かしたが、検査結果については明言を避けた。

「可動域も問題ない。十分な強度もある。そのことはトレーナーから聞いた。検査結果の診断は、ドクターに任せている」

 奥歯にものが挟まっているような言い方だが、こちらは明確だった。

「自分の体のことは、彼(大谷)が一番分かっている。彼が大丈夫というなら、彼が明日、出場しない理由はない」

 ただし、出場する上では2つ条件をつけた。

①打撃練習を行い、痛みなどが許容範囲であること

「すでに素振りは行った。T打撃、室内ケージで打つことで、より状態がはっきりするだろう。ある程度の痛みが想定されるが、それが許容範囲なら、彼はプレーできる」

②再発の可能性がないこと

「もし、彼がプレーできるなら、それは再発の可能性がないこということを意味する」

 痛みに関しては、想定内。我慢できる程度なら、出場を認める。そのロジックに違和感はないが、再発の可能性がないと言い切れるのか。そこが不透明だが、ひとまず全ては、10月27日の夜に行ったであろう室内での打撃練習と、翌28日の試合前の打撃練習次第か。

 その後、本人、チームドクター、トレーナーらが出場の可否を判断することになる。結論は明日の試合まで持ち越しとなったが、24時間前に比べれば、このままワールドシリーズを全欠場することはない――そんな空気になってきた。

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著者プロフィール

1967年、愛知県生まれ。立教大学経済学部卒業。出版社に勤務の後、95年秋に渡米。インディアナ州立大学スポーツマネージメント学部卒業。シアトルに居を構え、MLB、NBAなど現地のスポーツを精力的に取材し、コラムや記事の配信を行う。3月24日、日本経済新聞出版社より、「イチロー・フィールド」(野球を超えた人生哲学)を上梓する。

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