【Tリーグ日本ペイントマレッツ】スタッフコラム#8 “頂”への鍵

日本ペイントマレッツ
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開幕8連勝を飾り笑顔の選手たち 【Ⓒ日本ペイントマレッツ】

10/26(土) 日本ペイントマレッツ 4-0 京都カグヤライズ
【第1マッチ(ダブルス)】芝田 沙季・伊藤 詩菜 2-0平野 朝日・日下部 詩季(11-6/11-6)
【第2マッチ(シングルス)】橋本 帆乃香 3-0 枝廣 愛(11-4/11-3/11-6)
【第3マッチ(シングルス)】芝田 沙季 3-0 松島 美空(11-5/11-5/11-5)
【第4マッチ(シングルス)】佐藤 瞳 3-0 中村 泉月(11-3/11-9/11-8)

それぞれの役割を果たしながら刺激しあい、“頂”という高みへ一歩ずつ歩んでいく―― 10月19日のコラムでも書かれていた言葉だが、この試合ではその役割が勝利という“結果”になった。“ベンチ”だけが自分の場所ではないと言わんばかりに――

ベンチ入りメンバーが4選手というのは久しぶりに見た気がする。海外での試合や国内での試合が続くときには、今後もこのようなことがあるのだろう。そんなギリギリのベンチ入り人数に加えて驚くことが試合前に起きていた。相手監督による“予告オーダー”だ。Tリーグでも初めてのことだったこともあり、大嶋監督はオーダー交換前、戸惑っていた。「これはわたしたちを揺さぶっているのだろうか…とか余計なことを色々と考えてしまいます」昨シーズンのセミファイナルのことだった。勝ち点差に応じたアドバンテージとして3位チームが全てのオーダーを開示することとなった。2位チームは当然相性のよい相手に当てにいく。しかしながらファイナルに駒を進めたのは3位チームだった。「オーダーが開示されているからこその余計なプレッシャーってやっぱりあると思うんです。開示されたことをあまり気にせずに選手は練習していると思いますが、これが吉とでるか、凶とでるか・・・という思いはあります」ショッピングモールというただでさえ気を遣う場所での開催に加えて起こった前代未聞の事態に、大嶋監督はなんとか平常心を保とうとしていた。

イオン新浦安ショッピングセンターの観客を前にプレーする芝田選手(右から2番目)と伊藤選手(右)のダブルス 【Ⓒ日本ペイントマレッツ】

終わってみると全マッチストレート勝利。監督の心配をよそに、選手たちはこの事態にもろともしなかったようだった。「試合前はめっちゃ緊張していたんですけど、コートの中に入ったら緊張しなくて、楽しかったです!」そう笑顔で話してくれたのは今シーズン2試合目の出場となった伊藤選手。「予告オーダーは、当たる相手が先に分かったので、しっかり対策できてやりやすかったです。芝田選手と初めてダブルスを組ませてもらったのですが、自分のやりやすいようにサーブやレシーブなどを工夫してくれて、得意なことで決めることができたので、とても楽しかったんだと思います!それにショッピングモールということで想像以上にたくさんの人に見てもらえたことも嬉しかったですね」試合前には緊張で石のようにかたくなっていたことが嘘のようだった。

初ペアとなった試合で勝利する伊藤選手(左)と芝田選手(右) 【Ⓒ日本ペイントマレッツ】

一方、ダブルスのペアを組んだ先輩、芝田選手はこう話した。「まず今日は伊藤選手のプレーが凄くよかったです。練習を入れても1番(試合でのプレーが)良くて!それぐらい動きも良かったしボールも走っていましたね。基本的に伊藤選手がやりやすいように…というのはずっと考えていて、特に伊藤のフォアハンドが入れば得点になるので、そこに繋がるように組み立てはしていました。正直なところ、自分自身もダブルスはめっちゃ緊張していました(笑) でも伊藤選手の緊張も自分の緊張もなくすために0-0で2本ロングサーブ出してサーブで点数を取りに行ったんです。1本目はロングサーブと決めていて、2本目は1本目の感じで決めました。その2点が大きくて、だいぶ落ち着いてプレー出来ましたね」ヒロインインタビューが自分だと聞いたとき「伊藤選手もじゃないんですか?」そんな言葉が返ってきたくらい伊藤選手を称えていた。そして予告オーダーについてはこう話してくれた。「予告オーダーは、気持ち的には正直やり辛いところはありました。でも逆に開示されていたからこそ、研究して準備ができました。オーダー発表されてからとなると、そこまで映像も見られていなかったと思うので、もう少し(松島選手と)接戦になっていたかもしれませんね」相手の年齢に関係なく準備を怠らない勝利への執念を感じた。「地元だからとか関係なく、変わらずいつも通りやることをしっかり準備するだけでした。もちろん地元なので勝ちたい気持ちはありましたけどね。今は、(海外遠征等で)誰かがいない時に、試合に出させてもらっている状況で、そこで勝てなかったら本当に要らないよなって思いますし、プロの世界である以上はシビアな部分でもあるかなと思っています。この状況で負けていたら、全員揃ったら絶対出られないですし・・・」22-23シーズンMVPにも輝いた選手だ。複雑な想いを抱きながらも自分がやれることに集中する、そんな強い意志を感じていた。

国内外で様々な大会が混在する中、今シーズンより試合数が増えたTリーグ。誰か一人が活躍してもチームの勝利はもたらされない。日替わりの“ヒロイン”がより一層チーム全体の自力を証明し、マレッツの『頂』へ向かう鍵になるに違いない。

(Text by Naoco.M / Photo by T.LEAGUE/AFLO SPORT)

【Ⓒ日本ペイントマレッツ】

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著者プロフィール

日本ペイントグループ女子卓球チーム「日本ペイントマレッツ」は、2017年4月に誕生し、2018年に卓球のTリーグが発足すると同時にTリーグに参画しました。 世界で活躍できるトップ水準の選手育成と排出を目標に掲げ、各地域での子ども向け卓球教室の開催やこども卓球台の寄贈などを通じて「卓球」の魅力と可能性を広げ、更なる発展に貢献しています。また、卓球で“ヒト”と“ヒト”をつなぎ、ホームタウンである大阪の街や生活に活力と夢、彩を与えています。

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