「こんなに遠くから……」テレビじゃ伝わらないカーリングの距離感 日本選手権優勝SC軽井沢クラブ・上野美優インタビュー
姉妹でもちょっと違うところがあります
上野は22年に日本代表として世界ジュニア選手権に出場した 【写真は共同】
まずはショットの安定感がすごいですね。調子の波がない。そして漂わせる雰囲気も、勝っていようが負けていようがいつも変わらない。安定感のあるショットと、安定感のある雰囲気で貢献してくれています。性格はマイペース。ただ遠征中とかもそうですが、一緒に生活していると謎の部分も多い。そんなミステリアスな面を掘り起こしていきたいですね。
――セカンドの西室淳子選手は最年長。ほかの3人よりもひとまわり以上年齢が離れています。
1番年上なんですけど、ここぞという場面でいちばん熱くなり、チームを盛り上げてくれる存在です。相手のストーンを弾き出すテイクアウトショットを決めるときには「カモン!」と叫んでくれたり。日本選手権では不思議なワードチョイスというか、オリジナルのワードを口にしてくれて。それをチームでみんなで使ったりとか。
――例えばどんなワードだったんですか。
えーと、なんだろう(笑)。例えばいくつかの選択肢のなかからショットを選択する際、「こっちのショットのほうが、このあと“楽しい”んじゃない」という言い回しだったり。あとはスイープの仕方について「ねっとり」という表現を使い出したのも彼女ですね。新しいワードに私たちもびっくりするときがあれば、もうチーム内ではいつの間にか定着して、普通にその言葉を口にしてしまい周囲に驚かれることもあります。
――妹の上野結生(ゆい)選手はどんな選手ですか。
狙った位置にストーンを止めるドロー系ショットの安定感は、チームメートとして心強い。あとはチームを俯瞰的に見る能力が高い。状況に応じた的確な声かけに助けられています。
――姉妹で性格的に似てる部分だったり、違う部分っていうのはどんなところ?
負けず嫌いなところは、すごく似ていると思います。他のチームに負けたくないというだけでなく、チームの中でも、私は妹に負けたくないと思っていますし、妹もやっぱり私に負けたくないということはずっと言っている。一方で異なる部分は、妹は物事を柔軟に考えられるところですかね。自分で言うのもあれですけど、私は結構、真面目な方なので(笑)。この部分については、姉妹でもちょっと違うところかなと感じます。
成長した姿を示したい。そして欲を言えば……
小さい頃から見てきた夢舞台への思いを語ってくれた 【スポーツナビ】
小説とかすごく好きで、色々読んだり……していました(笑)。過去形になってしまうのは、最近はあまり読めていないから。でも気分転換にもなるので、また面白い作品を見つけて読んでみたいなと思います。
――好きな作家さんは。
七月隆文さんの作品は好きですね。映画化もされた『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』とか、いろいろ読んでいます。
――ほかに趣味や息抜きの方法は。
マンガを読んだりとかですかね。最近だと『葬送のフリーレン』の単行本を購入して全部読んだりとか。アニメにもなった人気作品です。
――普段はどんな生活を送っているのですか。
私はシチズン時計マニュファクチャリング株式会社にアスリート雇用でお世話になっています。半日だったり、定時よりも少し早めの時間に上がらせていただき、カーリングの練習をさせていただくという形です。毎日カーリングができる環境を整えていただき、感謝しています。
――日本代表への思いや、ミラノ・コルティナダンペッツォ五輪への意識は。
4年に1度開催されるオリンピックは、小さい頃から見てきた舞台。そこに立てるかもしれないというところに、自分はいまいるとも感じています。その切符をつかみ取りたいと思います。
――その大きな目標を実現させる上でも、軽井沢国際カーリングは貴重な場となりそうですね。
来年2月には日本選手権という重要な大会も控えるなかで、カナダ遠征を通じて少しずつ成長している姿を示したい。そして欲を言えば、最後の最後まで試合をして残っていたい。多くの人たちに、自分たちの頑張る姿を見ていただけたらうれしいです。