川崎F&横浜FM時代は終焉なのか 両チームの低迷の理由、そして復権のカギは?
今シーズン、川崎Fと横浜FMが苦しんでいる。両チームにいったい何があったのか 【(c)J.LEAGUE】
※リンク先は外部サイトの場合があります
両チームとも優勝争いから大きく遠ざかる異常事態
2018:川崎フロンターレ
2019:横浜F・マリノス
2020:川崎フロンターレ
2021:川崎フロンターレ
2022:横浜F・マリノス
一見、数字と2つのクラブ名を並べただけのように見えるかもしれないが、両クラブはもちろんJリーグに精通する人なら何を表すかすぐに分かるだろう。そう、2017年から6シーズンのJ1王者だ。この間、神奈川の2クラブのみがJ1のシャーレを掲げてきた。しかし――。
横浜F・マリノス:9位
川崎フロンターレ:15位
Jリーグは各クラブの実力が拮抗している世界でも稀有なリーグであり、どのクラブが優勝し、どのクラブが降格しても不思議ではない。とはいえ、6シーズンにわたって覇権を分け合ってきた両者がこうも優勝争いから遠ざかってしまうのは、異常事態と言えるだろう(上記は9月26日時点の両チームの順位)。
なぜ、このような事態に陥ってしまったのか。
果たして、彼らの時代は終焉してしまうのか。
かたや監督交代、かたや選手の入れ替えがマイナスに作用
横浜FMは新任のキューウェル監督を7月に解任。就任時から経験不足を心配する声も聞かれたが、その不安が的中した 【(c)J.LEAGUE】
横浜FMは分かりやすく、2年半指揮を執っていたケヴィン・マスカット監督が昨季限りで退団し、ハリー・キューウェルが監督に就任した。
現役時代にはイングランドのプレミアリーグのリーズやリバプールで活躍し、日本のサッカーファンにも名の知れた元オーストラリア代表のレジェンド。2019年に横浜FMを15年ぶりのリーグ優勝に導いたアンジェ・ポステコグルー監督がスコットランドのセルティックを率いた際にはコーチに任命され、その指導哲学を間近で学んだことから期待値は低くなかった。しかし、一方でトップリーグでの監督経験がないため、不安の声もあった。
的中したのは後者だった。オーストラリア路線でアタッキングフットボールの継承を求められたキューウェル監督だったが、魅力的な攻撃サッカーが展開されることは稀だった。意固地なまでにインサイドハーフ2枚とアンカーを使う4-3-3にこだわり、各々に自分のポジションを守ることを求めるため、単調な攻撃に終始することが少なくなかった。
キューウェル監督にも気の毒な面はあった。それは選手層、選手の質の問題である。
リーグを制覇した2022年以降、仲川輝人、岩田智輝と2人の年間MVPを放出した一方、リーグトップクラスの実績を持つような選手、あるいは外国籍選手の補強はない。さらにDF陣に複数のケガ人を抱えたままシーズンがスタートした。
ただ、それらを差し引いても、「選手が生き生きと横浜F・マリノスのアタッキングフットボールをどれだけやれていたかというと、やはりそうではない」(中山昭宏代表取締役社長)ことが多く、7月に職を追われることになった。
川崎Fにとっては三浦の長欠も響いた。登里の後釜として加入したが、左膝の故障で4月初旬から約3カ月間の離脱を余儀なくされた 【(c)J.LEAGUE】
さらにシーズン序盤、守備陣にケガ人が続出した。山根と登里の穴を埋めるべく補強したファンウェルメスケルケン際と三浦颯太、経験者として中央の守備を底上げすべく加入した丸山祐市が長期的、あるいは断続的に離脱。守備の要であるジェジエウも昨シーズンに続き負傷を抱え、試合に出るたびに違和感を覚える状態。ついに7月には右ハムストリング肉離れの治療のためにブラジルに帰国した。この点は鬼木監督も今季の難しさとして度々挙げていることである。