SVリーグ初代女王を目指すNECレッドロケッツ川崎 「世界一の成長」戦略に迫る
通算8度目のリーグ制覇を果たした昨季に続き、SVリーグでも頂点を狙う 【写真は共同】
国内リーグでは通算8度の優勝を果たし、昨季は2連覇を達成。きたるSVリーグでは“初代女王”を目指す。そのシーズンに向けてわかりやすく変わった点といえば、名称にチームが拠点を置く神奈川県川崎市の「川崎」が入ったこと。リーグの規定によるものだが、と同時に、これは地域にいっそう根ざして今後も活動していくことへの意志表示でもある。
振り返れば、チームは2021年にリブランディングを実施。チームの運営強化と事業拡大をさらに押し出し、“宇宙一輝く星”というコンセプトの元、チームのロゴを刷新したほか、マスコットキャラクターやホームゲームの演出も宇宙を連想させるものに。ファンの名称も、ともに宇宙を駆ける“クルー”へとなった。
その翌年、チームは川崎市が定める「かわさきSDGsゴールドパートナー」の認証を取得する。それが2022年9月のことで、先駆けて6月には「R-CONNECTION」という社会貢献プロジェクトを立ち上げている。取り組みとしては、地域におけるバレーボール教室や清掃活動、交通安全教室など。やがてゴールドパートナーの認証を受けるわけだが、NEC川崎のゼネラルマネジャーを務める中西了将氏は「タイミングがよかったんです」と話す。
「ちょうど小中学校などでSDGsに関する授業が増えてきたなかで、私たちとしてもそうした活動をしていかなければ、と。学校訪問やバレーボール教室、現役を引退した選手のキャリア形成なども含めた取り組みを通して地域とチームの距離が近づいた時期であり、さらに力を入れていったという具合です」
チームの活動を発信するプロモーション
世界観を表現したホームゲームの演出も、チームの魅力の一つになっている 【ⒸNEC RED ROCKETS KAWASAKI】
「R-CONNECTION」に取り組むことで、「選手たちにとっても、自分たちの活動がどういったことにつながっているのか、どういう声を得られているかが、より直接的に入るようになりました」と中西氏。曰く、2020年以降のコロナ禍も輪をかけ、「あらゆる活動ができなくなったなかで選手たちも自分たちの存在意義に価値を見出しながら取り組むようになりました。そうして、いい方向に進んだ」のだという。
と同時に、活動の背景の一つにはチームのプロモーションがある。実際には、選手を起用したポスターなどを通して、チームの活動を地域に向けて発信しているのだ。岡田氏は自身の感覚と前置きしたうえで、「以前はプロモーションという感じがなかったかも。というのも、あくまでもチームは企業スポーツであり、会社の福利厚生の一環という色合いが濃かったので」と語った。
無理もない。企業スポーツが中心となって、これまでバレーボールの国内リーグは歴史をつむいできた。ただチームとしては、そうした側面は持ちつつ、事業化により注力していく、そのためのツールとしてのプロモーションだ。
「私が2022年に戻ってきたときにはリブランディングがちょうど始まったときで、チームも企業スポーツの一つでありながら、自分たちで収益を上げることをみんなで模索していたところでした。そこは私がいちばん感じた変化で、『違うチームに戻ってきたのかな!?』なんて思いましたから(笑)。そこではプロモーションも含めてチームが、お客さんやファンの目線に立つことをしていたわけです」