選手とファンを繋ぐトス&ハイタッチ! 久光スプリングス選手考案ダンスで最高来場者数を更新
久光スプリングスの『さいこう記録へみんなでトス』キャンペーンが大成功し昨年10月21日のSAGAアリーナ開幕戦はV.LEAGUE WOMEN(2018-19シーズン以降) 来場者数を更新、試合後の『一緒に楽しくトス&ハイタッチ』のダンスも大盛り上がりとなった 【提供:久光スプリングス】
昨年よりチームの活動拠点を佐賀県に移し、ホームアリーナも昨年5月に開業したばかりの九州最大級のSAGAアリーナとなり、今シーズンから新たなスタートを切った久光スプリングス。同会場での昨年10月21日開幕戦に向けて『さいこう記録へみんなでトス』と銘打ち、V.LEAGUE WOMEN(2018-19シーズン以降) 最高来場者数の更新を目標に掲げた。そのための企画の一つが選手考案による『一緒に楽しくトス&ハイタッチ』のオリジナルダンス。親しみやすくてノリのいいダンスはファンの間にも浸透し、開幕戦の来場者数は7,372名となりV. LEAGUE WOMENの最高来場者数記録を更新した。
この企画と取り組みが高く評価され、さまざまなスポーツ団体の広報・PR・情報発信に焦点を当て表彰する『スポーツPRアワード2023』を受賞。SAGA久光スプリングス株式会社マーケティング部部長の小早川武徳さん、同マーケティング部 ホームゲーム課課長の森田恭平さん、同経営企画室広報課の木村彩乃さんに企画の経緯、背景、またオリジナルダンス誕生のストーリーなどを聞いた。
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新たなホーム会場、SAGAアリーナを満員にしたい!
森田 はい、今回の施策の背景としては、昨年5月にホームアリーナとして開業したSAGAアリーナが非常に大きな会場でして、ここで今シーズン開幕戦を行うにあたって会場を満員にしたい、満員の会場でバレーボールを楽しんでほしいという想いがありました。
どうしたら満員になるか施策を考える中で、「来場者数の最高記録をつくる」というシンプルかつ最大の目標をまず設定し、そこを基軸に告知・発信するために『さいこう記録へみんなでトス』というコピーワードを作りました。
このコピーワードには、「得点(最高記録達成)のために、みんなにトス(来場)をあげてほしい。」という想いを込めています。佐賀県のコンセプトワード「佐賀さいこう!」から「さいこう」というワードを使い、久光スプリングスのホームタウンである佐賀県鳥栖市の「鳥栖」と、 バレーボールの中で繋ぐプレーとしての象徴「トス」を掛け合わせています。みんなで満員の会場のバレーボールを楽しみ、みんなで最高記録の瞬間を体感しよう、という形でプロジェクトがスタートいたしました。
その中で、会場に来ていただいた時に『さいこう記録へみんなでトス』というコピーワードが具現化されたものを皆さんに味わってほしいと思い、みんなで一緒に何かトスをするような企画をしはじめたことが『一緒に楽しくトス&ハイタッチ』のきっかけとなります。
ただ、みんなで実際にボールを使ってトスをするのは難しい。そのような企画をいくつも考えましたがどれもしっくりこず、原点に立ち返ると「みんなで繋がる、ひとつになる」というポイントが浮かび上がり、それじゃあみんなでトスをするようなダンスを作って、それをみんなで踊って会場が一体になる、みたいな企画がいいんじゃないかとなりました。そこから選手がトスとハイタッチを織り交ぜたダンス(振り付け)を作ってくれて、『一緒に楽しくトス&ハイタッチ』が完成しました。ハイタッチは元々スプリングスに「ハイタッチレボリューション」という応援ソングがありキーワードにしていましたので、まさにスプリングスを体現するダンスが出来上がって、お客さんと一緒に満員の開幕戦を楽しんで盛り上がりましょう!となったのが今回の施策の大きな流れとなります。
木村 今回のダンスで使用した楽曲、Adoさんの『唱』は、この曲自体、ちょうど 選手たちもTikTokなどでよく見ていたもので、USJが当時ハロウィンのイベントで使用しており、みんながノリやすいということもありました。一方、『さいこう記録へみんなでトス』と告知し、選手自身もSNSでの発信を頑張ってくれていました。何かをみんなで作り上げたいという思いもあり、その中でバレーボールっぽい要素を入れられたらいいよね、それはやっぱり「繋ぐ」ということなのかなと考えた時に、トスで繋ぐのもそうですが、コロナが明けた中で会場に来てくださる皆さん同士も何かしらで一緒に繋がれたらいいなという想いでハイタッチを盛り込みました。こうした「トス」「ハイタッチ」という要素も含めて振付は選手自身がすべて考えて作ってくれたんです。
濵松明日香選手がオリジナルダンスを考案
濵松明日香選手(右から2人目)がオリジナルダンスを考案、キャッチーな振り付けで大人気に 【提供:久光スプリングス】
森田 はい。みんなで一緒の振り付けで踊ろうと決めた後に、せっかくなら選手に作ってもらえないかなという話になり、すぐに相談を持ちかけました。
――ダンスを考えてくださいと相談した時の選手の反応はどうでしたか?
木村 これ、実は選手一人が考えた振り付けなんです。濵松明日香選手が、元々ダンスやTikTokが好きで、しょっちゅう踊っている選手で(笑)、「今回こういう企画で盛り上げたいんだよね」という話をしたら、「私、やります!」と言って、 快く引き受けてくれました。リハビリ中の彼女にとっては、開幕戦に出場もできず、苦しい思いをしていたと思いますが、SAGAアリーナを満員にしたい、私にできることをやりたいと練習後に自宅やトレーニーングルームの鏡を使いながら考えてくれました。
また、アリーナでお客さんに踊っていただく際に、選手たちは立ってできるけれど、お客さんは立てないから座ってもできるような動作を入れた方がというファンの方の視点も濵松が全部考えてくれました。そして「振り付け師は濵松です」と濵松自身が他の選手たちに伝えることによって、どういう意図でこの振りを入れたのかという考えも伝わりやすく、他の選手も振り付けを覚えやすかったのではないのかなと思います。
――そのような背景があったのですね。例えばこのようなダンス企画を考えた場合、運営側で全て決めて選手にやってもらうとなると、選手側もやらされている感が出てしまいがちだと思うのですが、 振り付けから全て選手発信というところが大きなムーブメントに繋がったのかなと個人的には思います。そのあたりについてはどのように捉えていらっしゃいますか?
森田 そこはもう仰る通りです。選手の本業はコートでのプレー、そして勝つことです。ただし、そのバレーボールを多くのファンの方々に楽しんでもらうことが仕事だとスプリングスの選手は当然として理解しています。開幕前の大切な時期で、変な負担や調整に影響が出るようなことは避けたいと考えていましたが、みんな積極的に覚えて発信して、そして率先して楽しんでくれたことが今回の一番のポイントだと思います。
――久光スプリングスさんの公式YouTubeチャンネルにアップされているダンス練習の様子を拝見したのですが、本当に選手自身がノリノリで楽しそうな雰囲気が伝わってきて、これだったらファンも楽しそうだなと思いました。
――この動画を全編見ていますと、本当に選手皆さんが何回かの練習ですぐに息ぴったりでしたので、さすがのチームプレーだなと思いました。また、初見でもこれだけ選手が楽しく踊れるということは、お客さんにとってもすぐに受け入れられそうだなという雰囲気もありますよね。
森田 そこは本当に濵松の振り付けがスペシャルで、 私たちが伝えたい要素も入れて、分かりやすく、みんなが楽しくできるという一番良い振り付けをしてくれたのではないかと思いますね。