オーダー変更で勝負も中国の牙城を崩せず 卓球女子団体銀メダル、倉嶋洋介の見解
果敢に攻めた張本は、早さでは王曼昱を上回る
リスクを承知の上で果敢に攻めた張本(右)。敗れはしたが、早さにおいては王曼昱を上回っていた 【写真は共同】
王曼昱選手は身長が170センチ後半であり、手足のリーチの長さが特徴の選手です。だからこそ体に近いミドルのエリアを攻めるのが効果的でした。ミドルを使って崩せていた場面もけっこうあったんですが、決めきれなかった部分が多かったのが惜しかったですね。サーブレシーブの駆け引きで少し劣っている点について、中国に対抗するには改善が必要です。中国は甘い球を見逃してくれませんので。
王曼昱選手はボールを包み込む巻き込みサーブが得意で、左回転のかかった球に対してチキータなら良かったのですが、ツッツキなどで対応すると回転量の多いドライブかかった球で主導権を握られてしまう展開になりました。戦いぶりは悪くはなかったのですが、他国と比較して3段階くらいレベルが異なるのが中国の選手なので、レシーブ力をより高めることは、日本選手において共通の課題だと考えます。
打倒中国の目標を継続して4年後には勝利を
現在の日本の実力なら、表彰台のトップに立つうえでの壁となるのは中国以外に存在しない。4年後にはこの勢力図を覆せるのか 【写真は共同】
中国に勝つうえでは、日本の長所であるタイミングの早さをより磨くこと、そして、課題であるレシーブ力やサーブレシーブの駆け引きを伸ばしていくことが重要になります。完全無欠の王者に見える中国についても主力の充実は際立っていますが、次の世代の台頭に関してはそこまでではありません。世代交代が上手くいっているわけではないので、その点においては日本のほうが若い今後に期待のタレントが育ってきています。
なので、この先に「中国超え」を果たすビッグチャンスは必ず訪れるはずです。特に最年少の張本選手は16歳であり、次のロサンゼルス五輪は20歳、その次もまだ24歳。今後のさらなる成長を考えると、果てしない道のりに思える中国からの勝利を達成できる日は、近づいてきているのではないでしょうか。
倉嶋洋介(くらしま・ようすけ)
【本人提供】