卓球団体戦、日本は男女ともにメダル王手「ダブルスが鍵を握る」と倉嶋洋介は助言

C-NAPS編集部

卓球男子団体の準々決勝で台湾を破り、ベスト4進出を決めた日本。(写真は左から)戸上、篠塚、田勢監督、張本 【写真は共同】

 8月6日、パリ五輪の卓球男子団体の準々決勝が行われ、日本は3-1で台湾を撃破し準決勝進出を決めた。同日(日本時間7日)に行われた卓球女子団体の準々決勝では、日本が3-0でタイを圧倒。オールストレート勝ちでベスト4入りを果たした。

 男女ともにメダル獲得まであと1勝のところまで迫った日本。男子は欧州の強豪として長年君臨したドイツを破り、勢いに乗るスウェーデンと準決勝で相まみえる。女子は7日に行われるインド対ドイツの一戦の勝者と激突する。果たして日本はこのままの勢いでメダル獲得まで突き進むことはできるのか。

 元卓球男子日本代表監督として2016年のリオデジャネイロ五輪の男子団体で日本初となる銀メダルをもたらし、21年の東京五輪でも銅メダルを獲得した倉嶋洋介さんに男女の準々決勝を振り返ってもらいつつ、今後の展望を聞いた。

日本を勢いづけた戸上・篠塚ペアでの先勝

台湾との重要な一戦で、チームに先勝をもたらした戸上(右)と篠塚のペア。団体戦においてダブルスでの勝利は大きな意味を持つ 【写真は共同】

 台湾と比較すると日本のほうが総合力は上だと思います。ただ、台湾にはスーパーエース・林昀儒(リンユンジュ)選手がいるので、直接対決で勝利を収めることと、それ以外の試合を落とさないことが重要でした。そのため、戸上隼輔選手(井村屋グループ)と篠塚大登選手(愛知工大)のペアが出場するダブルスは第1試合ということもあり、絶対に先勝したいところでした。そうすれば、第2試合で林昀儒選手とのエース対決に臨む張本智和選手(智和企画)も気を張り過ぎずに済みます。

 2人は戸上選手が右利きで、篠塚選手が左利きの“右左のペア”です。一方の荘智淵(ソウチエン)選手と高承睿(ガオチェンルイ)選手は、“右右のペア”になります。交互に打つダブルスにおいて右右のペアだとどうしても動く範囲が大回りになります。そのため、右左のペアのほうがラリーになると有利です。また、戸上選手、篠塚選手ペアのほうが実力的にも上だと思っていたので、順当に勝利すると考えていました。

 ただ、ちょっと怖かったのが右右のペアの場合は、チキータレシーブがしやすい点です。レシーブから思い切ってプレーされると嫌だなとは思っていました。先に攻め込まれることになるので。台湾ペアがチキータレシーブを多用してラリー展開してくると、競り合いになると予想していました。実際には台湾ペアはツッツキやストップが中心で、あまりチキータレシーブから攻めてこなかったので、「これだったら全然大丈夫だな」と安心して見ていました。

 3ゲーム目はチキータレシーブから少し競り合いになりましたが、戦術的には台湾ペアがアグレッシブには来なかったので、試合展開としては楽だったと思います。左の篠塚選手は、レシーブや台上のネットプレーが安定していて、着実に仕掛けていける選手です。篠塚選手が仕掛けたボールを、戸上選手がコースを読んで強烈なアタックをするというコンビネーションが冴えていましたね。2人の連携は徐々に成熟し始めているように感じました。1回戦のオーストラリア戦は、篠塚選手にとっては初の五輪出場だったので。少しずつダブルスの経験値も高まっているように感じました。

 準決勝の相手はスウェーデンに決まりました。エースにはトルルス・モレガルドという今大会の男子シングルスで銀メダルを獲得した選手がいます。だからこそ、「ダブルスがまた鍵を握る」と考えます。特に力が拮抗している相手の場合、ダブルスで先勝できるかがその後の展開に大きな影響を及ぼすものです。ただ、日本のダブルスのほうが実力的には上だと思いますし、普段通りのプレーができれば、次戦でもきちんと勝ってくれると期待しています。

好調を維持する日本のエース・張本

林昀儒とのエース対決に敗れた張本だが、荘智淵にはきちんと勝利を収めた。好調を維持しているのが実に頼もしい 【写真は共同】

 張本選手はシングルスの時と変わらず、林昀儒選手、荘智淵選手との両試合でも好調を保っていましたね。ラリー力が非常に強かったと思います。フォアハンド、バックハンドの両方で。ただ、台上技術やサービスの精度はあまり高くありませんでした。林昀儒選手は世界でも屈指のチキータの使い手なので、それを防ぐためにサーブを少し長めに出していました。サーブがちょっと高かったんですよ。

 それを狙われてフォアハンドで強打されたり、チキータで回り込んで強く打たれたりする場面が多すぎて、その点は少しもったいなかったですね。一方でラリーはまさに絶好調でした。なのでラリーに持ち込むまでの展開をどう丁寧に対処するかが課題でしたね。

 もう1つは、ストレートではなくクロスボールが多かったように思います。男子シングルスで中国の樊振東(ファンジェンドン)選手に負けた際もそうでしたが、クロスボールを待たれてカウンターされる場面が多かったことは少し反省材料ですね。準決勝で対戦するスウェーデンは強打者が多いので、サーブに対して強打されてしまう展開はもったいないと思います。サーブをしっかりコントロールして、自分のやりたい卓球ができる展開に持ち込みたいですね。

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著者プロフィール

ビジネスとユーザーを有意的な形で結びつける、“コンテキスト思考”のコンテンツマーケティングを提供するプロフェッショナル集団。“コンテンツ傾倒”によって情報が氾濫し、差別化不全が顕在化している昨今において、コンテンツの背景にあるストーリーやメッセージ、コンセプトを重視。前後関係や文脈を意味するコンテキストを意識したコンテンツの提供に本質的な価値を見いだしている。

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