楽しみな新勢力台頭のスーパーフェザー級の戦いに注目 デンマークで無敵王者に挑む世界戦も【8月のボクシング注目試合②】

船橋真二郎

亀田和はIBF指名挑戦者決定戦、重岡兄は再起戦

亀田和毅は世界挑戦権をかけ、ドラミニと再戦 【写真:ボクシング・ビート】

 24日、大阪・大和アリーナでは元世界王者2人が重要な試合に臨む。IBF世界フェザー級3位の亀田和毅(TMK/33歳、41勝23KO4敗)は同2位のレラト・ドラミニ(南アフリカ/30歳、20勝11KO2敗)とIBF指名挑戦者決定戦で再戦。昨年10月の前回対戦は亀田が小差判定を落とした。序盤にペースを取り切れず、終盤に追い上げるも届かなかった。

 3月の再起戦はスタイルチェンジした姿を披露。序盤からアグレッシブに攻め、メキシカンに5回終了TKO勝ちを収めた。その手応えをドラミニにぶつける。これに勝利すれば、8月10日(日本時間11日)にアメリカで行われるIBF世界フェザー級タイトルマッチ、王者のルイス・アルベルト・ロペス(メキシコ)対元WBO世界スーパーバンタム級王者アンジェロ・レオ(米)戦の勝者への挑戦権を手にする。

無冠になった重岡優大(左)、銀次朗・兄弟は再出発へ 【写真:船橋真二郎】

 セミでは前WBC世界ミニマム級王者の重岡優大(ワタナベ/27歳、8勝5KO1敗)が再起戦。今年3月、2度目の防衛戦でメルビン・ジェルサレム(比)に1-2判定で敗れ、王座から陥落した。この7月28日にはIBF世界ミニマム級王者の弟・銀次朗(ワタナベ)が元王者のペドロ・タドゥラン(比)に9回TKO負けでベルトを手放した。重岡兄弟としての再出発の一戦にもなる。

 対戦相手のWBO世界ミニマム級12位、サミュエル・サルバ(比/27歳、20勝13KO1敗)は2019年3月、のちにIBF王者となるレネ・マーク・クアルト(比)に判定勝ち。同年9月にはタドゥランと空位のIBF王座を争い、初回に右カウンターで倒すも、以降は押し込まれ、4回終了時に棄権TKO負けを喫した。これが唯一の黒星。サウスポーの重岡が対戦候補から「一番強い選手を選んだ」と言うように侮れない相手であることは間違いない。まずはしっかり勝って、新たな一歩を踏み出したい。イベントは「ABEMA」がライブ配信する。

ぬきがデンマークで無敵王者に挑む

ぬきてるみがデンマークで通算4度目の世界挑戦 【写真:ボクシング・ビート】

 30日(日本時間31日)のデンマークでは、WBO女子アジアパシフィック・バンタム級王者のぬきてるみ(真正/35歳、15勝10KO5敗)が全勝を誇るWBO、WBC女子世界バンタム級統一王者、ディナ・ソルスランド(デンマーク/30歳、22勝9KO無敗)に挑む。

 ぬきは過去にスーパーフライ級で1度、バンタム級で2度の世界挑戦経験があり、通算4度目のアタックになる。徹して前に前に攻め、左右の強打を打ち込んでいくのがぬきのスタイル。ソルスランドもまたアグレッシブで一発一発のパンチが力強く、スーパーバンタム級の元世界王者(WBO、WBC暫定)だけあって、フィジカルも強そう。

 インファイトに巻き込みたいぬきだが、相手のパワーをどう感じるか。足を使う柔軟さもあるソルスランドが逆にぬきの前進のプレッシャー、強打をどう感じるかで、試合の構図が決まってくるか。いずれにしても攻め抜くのがぬきのボクシング。メキシコに2度、アルゼンチンに1度の海外遠征経験も生かし、世界戦通算12戦、WBO王座は7度目の防衛戦となる無敵の王者を敵地で打ち破ってもらいたい。

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著者プロフィール

1973年生まれ。東京都出身。『ボクシング・ビート』(フィットネススポーツ)、『ボクシング・マガジン』(ベースボールマガジン社=2022年7月休刊)など、ボクシングを取材し、執筆。文藝春秋Number第13回スポーツノンフィクション新人賞最終候補(2005年)。東日本ボクシング協会が選出する月間賞の選考委員も務める。

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