寺地拳四朗の参戦でフライ級のタイトル争いが熱を帯びる 熱戦必至のスーパーフライ級にも注目【8月のボクシング注目試合①】

船橋真二郎

左から三迫ジムの加藤健太トレーナー、寺地拳四朗、寺地永会長 【写真:船橋真二郎】

フライ級の世界4団体制覇も?

「タイトルを返上し、フライ級に転向することにしました。2階級制覇、そしてライトフライ級ではできなかった4団体統一を目標に階級を上げることにしました」

 寺地拳四朗(BMB)が7月15日付でライトフライ級のWBC、WBAタイトルを返上し、階級を上げることが正式に発表された。寺地の参戦でフライ級の世界王座をめぐる戦いが俄然、熱を帯びてくる。日本にゆかりのあるボクサーが世界4団体を占める可能性も出てきた。

 まずは今年1月、大阪でタイトルを奪取し、岡山のジムから初の世界王者となったWBA王者のユーリ阿久井政悟(倉敷守安)。5月6日、東京ドームで桑原拓(大橋)を判定で退け、初防衛に成功している。この7月20日の両国国技館では、アンソニー・オラスクアガ(米/帝拳)が加納陸(大成)に3回KO勝ち。持ち前の強打とルディ・エルナンデス・トレーナー仕込みの“技”でWBO王座の決定戦を制した。

 オラスクアガは昨年4月、急きょの代役として寺地に挑戦。最後は9回TKOで敗れたものの、果敢なファイトで激闘を演じ、会場を熱狂させた。以来、世界奪取を果たすまで3戦続けて日本のリングで戦ったことになる。

中谷潤人(左)とアンソニー・オラスクアガ 【写真:船橋真二郎】

 WBC世界バンタム級王者の中谷潤人(M.T)と十代の頃からロサンゼルスで切磋琢磨した関係、愛称の「トニー」も浸透し、フレンドリーな人柄も相まって、日本のファンにも支持されている。雪辱の思いを口にする寺地との再戦も、実現すれば注目を集めそうだ。

 残る2つの王座は空位となっており、WBC王座は元王者で1位のクリストファー・ロサレス(ニカラグア)と寺地が争うことが決定的。IBF王座は1位のアンヘル・アヤラ(メキシコ)と3位のデーブ・アポリナリオ(比)が8月9日(日本時間10日)、メキシコで決定戦を行う予定となっている。

 シャープなサウスポーのアポリナリオは昨年、大橋ジムと契約。直近の2戦を後楽園ホールで戦い、スピードとスキルの高さを見せている。アヤラとの全勝対決の行方は?

 ほかにも元世界2階級制覇王者の京口紘人(ワタナベ)が世界ランキングに名前を連ねる。5月に韓国で世界ランカーのビンス・パラス(比)に敗れたが、判定が論議を呼んだ。再起を宣言し、再浮上を期している。

 そして、将来の世界獲りを目指すのが同年代の飯村樹輝弥(角海老宝石)と畑中建人(畑中)の2人。今月、それぞれ保持する日本王座、WBOアジアパシフィック王座の防衛戦に臨む。

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著者プロフィール

1973年生まれ。東京都出身。『ボクシング・ビート』(フィットネススポーツ)、『ボクシング・マガジン』(ベースボールマガジン社=2022年7月休刊)など、ボクシングを取材し、執筆。文藝春秋Number第13回スポーツノンフィクション新人賞最終候補(2005年)。東日本ボクシング協会が選出する月間賞の選考委員も務める。

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