楽しみな新勢力台頭のスーパーフェザー級の戦いに注目 デンマークで無敵王者に挑む世界戦も【8月のボクシング注目試合②】

船橋真二郎

ライト級3冠を狙う三代が初防衛戦、中嶋と和氣が激突

「ベルトを3つ集めたい」と三代大訓(右)。左はセミに出場の飯村樹輝弥 【写真:船橋真二郎】

 16日の後楽園ホールのメインは日本ライト級タイトルマッチ。この4月に仲里周磨(オキナワ)を判定で下し、新王者になった三代大訓(横浜光/29歳、15勝4KO1敗1分)が初防衛戦で、同級11位のサウスポー、宮本知彰(一力/31歳、10勝8KO8敗)を迎える。

「ベルトを3つ集めたい」という三代が目論むのは、国内最強の証明から世界へと道をつなげること。「ライバル」と認めるアマで2勝1敗、元ワタナベジムの同門でもある東洋太平洋王者の宇津木秀(ワタナベ)、サウスポーのWBOアジアパシフィック王者で中央大の2学年上の先輩、保田克也(大橋)と王者同士の統一戦を望む。

 関西学院大出身の宮本は6回戦デビューながら、2度の3連敗を乗り越えた苦労人。3カ月前に日本ランカーを下し、挑戦者に抜てきされた。スーパーフェザー級でも実績を築き、戦術と技巧に長けた三代に対し、不利予想は否めないが、千載一遇のチャンスに全力を傾けてくるはずである。

 王者対決に向け、三代は「勢いがつくようにしっかりKOで勝ちたい」と宣言。宮本は8敗すべてがKO、TKO負け。アピールするには確実にクリアしなければならないハードルだろう。試合は「U-NEXT」でライブ配信される。

中嶋一輝(左)と和氣慎吾の一戦は生き残りをかけたサバイバルマッチ 【写真:船橋真二郎】

 27日の後楽園ホールはトリプルタイトル戦。メインは東洋太平洋スーパーバンタム級王者の中嶋一輝(大橋/31歳、15勝12KO2敗1分)、世界挑戦経験もあるベテラン・和氣慎吾(FLARE山上/37歳、31勝22KO8敗2分)が激突するサウスポー対決。中嶋が2月に獲得した王座の初防衛戦になるが、生き残りをかけたサバイバルマッチという色合いが強い。

 パワーの中嶋が捕まえるか、スピードの和氣が距離を支配するかがシンプルな見方になる。中嶋は「判定じゃなくて、絶対にKOで勝って世界につなげたい」といつもながらのKO宣言。一方の「これがほんとの最後のチャンス」というプロキャリア18年目の和氣は「判定でも、KOでも、勝ちにこだわる。このチャンスを必ずもぎ取って、世界につなげていきたい」と覚悟をにじませた。生き残るのはどちらか。

 セミの奈良井と福井による日本スーパーフェザー級戦の前には、日本ウェルター級王座決定戦が行われ、1位の石脇麻生(石田/24歳、13勝9KO7敗1分)と4位のセムジュ・デビッド(中日/31歳、5勝3KO1敗)が豊嶋亮太(帝拳)の返上した王座を争う。

 昨年11月、前王者の豊嶋との挑戦者決定戦を接戦で落とした石脇だが、今年4月、湯場海樹(ワタナベ)との上位ランカー対決に4回TKOで快勝。勢いに乗る。東京五輪ウガンダ代表のデビッドは日本2戦目。今年3月に元WBOアジアパシフィック・ミドル級王者の能嶋宏弥(薬師寺)を判定で下したが、6月の前戦は中国で判定負け。今回が再起戦になる。

 プロ叩き上げの石脇、アマチュア仕込みのテクニックがベースのデビッド。どちらがタイトルを手にするか。いずれも「Lemino」がライブ配信する。

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著者プロフィール

1973年生まれ。東京都出身。『ボクシング・ビート』(フィットネススポーツ)、『ボクシング・マガジン』(ベースボールマガジン社=2022年7月休刊)など、ボクシングを取材し、執筆。文藝春秋Number第13回スポーツノンフィクション新人賞最終候補(2005年)。東日本ボクシング協会が選出する月間賞の選考委員も務める。

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