世界の逸材と対峙する日本競泳界の現在地 星奈津美が経験談から五輪で戦う術を語る
松元は日本人でも自由形で戦えることを証明
東京五輪でのショッキングな敗退を乗り越え、パリ五輪の男子200メートル自由形決勝の舞台に立った松元 【写真は共同】
自由形は体格や腕の長さが大きく影響する種目で、他の3泳法に比べると日本人が海外の選手と戦うには不利な種目だと言われています。その自由形で決勝まで残れたことが、松元選手の「後悔はない」というコメントにつながっているのかと思います。松元選手は男子100メートルバタフライにも出場するので、自由形との両立という難しさもあったはずですし、バタフライでの活躍にも期待したいです。
代表選考後の五輪本番に“ピーク”を持ってくる難しさ
個人メドレーは持久力が必要なので事前に高地トレーニングに行く選手もいれば、海外の試合に慣れるためにヨーロッパに遠征をする選手もいます。各選手が五輪本番にピークを合わせるために、ベストなトレーニング方法を模索する必要がありますね。谷川選手もまだ21歳と若く、4年後のロサンゼルス五輪出場も十分に考えられるので、ぜひ次に今回の経験を活かしてほしいですね。
2021年の東京五輪や23年に福岡で開催された世界選手権では、10代の選手がメダルを獲ることがほとんどありませんでしたが、ここに来て海外の若手がものすごく成長しています。マッキントッシュ選手もポポビチ選手もまだ10代なので、男子400メートル個人メドレーで銀メダルを獲得した松下知之選手(東洋大)のように日本も若い選手がどんどんメダルを獲れるようになると、競泳界がもっと盛り上がりますよね。今大会で直面した現実に対して下を向くのではなく、前向きに捉えたうえでそれぞれの成長につなげてほしいです。
星奈津美(ほし・なつみ)
【株式会社RIGHTS.】