世界の逸材と対峙する日本競泳界の現在地 星奈津美が経験談から五輪で戦う術を語る
女子400メートル個人メドレーを制したマッキントッシュ(右)は、成田と同じく17歳の世界記録保持者だ 【写真は共同】
日本勢の複数が決勝に進んだ一方、世界の逸材たちの前に惜しくもメダル獲得を逃している。女子400メートル個人メドレーでは17歳のサマー・マッキントッシュ(カナダ)、男子200メートル自由形では19歳のダビド・ポポビチ(ルーマニア)といった海外のティーンエイジャーたちが頂点を極めている。レース後に悔しさを滲ませていた17歳の成田にとって、今後の刺激になることは間違いない。
五輪を席巻する海外勢の若手と戦うためには、日本の選手は何を強化すべきなのだろうか。競泳3日目に感じられた日本と海外の“差”について、2008年の北京大会から3大会連続で五輪出場を果たし、ロンドン、リオデジャネイロの女子バタフライ200メートルで2大会連続での銅メダルを獲得した星奈津美さんに語ってもらった。
“決勝の緊張感”は必ず今後の成長の糧となる
世界ではマッキントッシュのような類まれな才能を誇る若手が多数台頭している 【写真は共同】
また、成田選手の持ち味は後半の追い上げなのですが、緊張もあってかうまく追い上げることができませんでした。緊張すると余計な“力み”や“硬さ”につながってしまいます。思ったように身体が動かない結果、さらに力を使ってしまい、後半に体力が残っていない状態になります。特に今回は世界記録保持者のマッキントッシュ選手が隣にいて、スタートから圧倒的な差を見せつけていたので、そこで歯車が狂ってしまったのかもしれません。決勝では予選から10秒もタイムを更新する泳ぎを見せたマッキントッシュ選手は、圧巻の一言です。
成田選手は細身で小柄なのでもっとパワーが必要だと思う人もいるかもしれませんが、筋肉をつけすぎても乳酸が溜まりやすくなります。現在の成田選手の身軽さが後半の伸びに影響している部分もあるので、今後は身体のバランスを踏まえて、どこに重点を置いて強化するかが焦点ですね。
成田選手とマッキントッシュ選手は同世代ということもあり、年齢を言い訳にできないかもしれませんが、むしろ「若くても金メダルを獲れるんだ」と前向きに捉えてほしいですね。どんな経験も前向きに捉えられることが、今後成長するうえで絶対に必要です。