【週刊ドラフトレポート#16】北関東No.1のスケール!193cm右腕、前橋商・清水大暉 中央学院・颯佐心汰は攻守でセンス光る遊撃手
今回はともに関東で注目を集めているスケールの大きさが魅力の大型右腕と、抜群の運動能力が光る万能タイプのショートストップを取り上げます。
(企画編集:Timely!編集部)
*現時点のレベルバロメーター:
★★★★★5:複数球団の1位入札濃厚
★★★★☆4:1位指名の可能性あり
★★★☆☆3:上位指名(2位以上)の可能性あり
★★☆☆☆2:支配下での指名濃厚
★☆☆☆☆1:育成であれば指名濃厚
「好投手ひしめく北関東でもスケールはNo.1の長身右腕」
スタミナ面でも成長を見せる193cmの大型右腕・前橋商の清水 【写真提供:西尾典文】
【将来像】石川直也(日本ハム)
長身で高い位置から投げ下ろす腕の振りやボールの軌道が重なる
【指名オススメ球団】日本ハム
高卒の大型投手が育ってきており、その勢いを加速させるため
【現時点のドラフト評価】★★☆☆☆
支配下での指名濃厚
今年の北関東は入学当時から大器と評判の小川哲平(作新学院)、春の関東大会で150キロを連発した昆野太晴(白鴎大足利)、夏の栃木大会初戦で19奪三振完封勝利をあげた堀江正太郎(文星芸大付)、選抜でも好投を見せた小林芯汰(常総学院)など好投手が多いが、その中でもスケールの大きさではトップと見られているのが清水だ。高校入学直後に膝の手術を受けたことでデビューは遅かったが、2年春から投手陣の一角に定着。昨年夏の群馬大会ではリリーフで4試合に登板し、チームの優勝にも大きく貢献した。続く甲子園では初戦でクラーク国際に打ち込まれてチームも敗退。ほろ苦い全国デビューとなったが、この時点からスピードは既に140キロを超えており、2024年の候補になるという声は多かった。2年秋の新チームからは背番号1を背負うと、春の群馬県大会では準優勝。続く関東大会で昆野と投げ合った試合では多くのスカウトが視察に訪れている。
直近で清水のピッチングを見ることができたのはこの夏の群馬大会初戦、対市立太田戦だった。先発を任せられた清水は毎回走者を背負いながら粘り強いピッチングを披露。試合は序盤にリードを奪った前橋商が7対0でコールド勝ちをおさめ、清水自身も7回を1人で投げ抜き完封勝利をおさめた。大会の初戦ということもあってか、立ち上がりは慎重な投球に見え、ストレートはほとんどが140キロ前後とスピード自体は少し物足りなさを感じたのは事実である。ただ193cmの長身で手足が長く、ステップの幅も広いため、マウンドからホームベースまでが非常に近く見え、球速以上に打者が差し込まれるシーンが多かった。フォームもこれだけの長身でありながらギクシャクしたところがあまりなく、スムーズな流れで縦に腕が振れるのが長所だ。ボールの角度も素晴らしいものがあり、指にかかった時のストレートの勢いは目を見張るものがあった。また最終回となった7回にはギアを上げ、筆者のスピードガンでこの日最速となる145キロをマーク。スタミナ面でも成長したところを見せた。
一方で気になったのは変化球と投球以外のプレーである。立ち上がりから緩急をつけようとしてカーブを多く投げていたが、そのほとんどが高めに浮き、また腕の振りも弱いため投げた瞬間に見極められることが多い。スライダーも120キロ程度とスピードがなく、変化も早いので決め球として使うほどの威力がない。またどちらのボールもストライクになったのは3割程度であり、明らかにコントロールすることができていなかった。ただ終盤に1球だけ投げたフォークは130キロ以上のスピードとブレーキがあり、フォーム的にもフォークが落ちやすい腕の振りに見えた。先々を考えてあえてフォークを投げなかったということも考えられるが、上のレベルで勝負するにはしっかり使える変化球を多くする必要があるだろう。また走者を背負った時のクイックモーションも遅く、機動力を使ってくるチームにはその弱点を狙われる可能性が高そうだ。
ただそれでもこれだけの大型でフォームに目立った欠点がなく、昨年と比べても長いイニングをしっかり投げ切れるようになったのは大きな成長である。少し時間がかかるタイプに見えるが、モノになった時のリターンは大きいタイプだけに、指名を検討している球団も多いはずだ。