ファーム新球団「オイシックス」「くふうハヤテ」の現在地は? 注目の参入初年度の前半戦の戦いぶりをデータで検証

データスタジアム株式会社

今季からイースタン・リーグに参集しているオイシックス新潟アルビレックスBC 【写真は共同】

 昨年、NPBはプロ野球の発展と全国への野球振興を目的に、ファーム・リーグ拡大構想として新規参加する球団を公募。その後オーナー会議を経て、今季からオイシックス新潟アルビレックスBCがイースタンに、くふうハヤテベンチャーズ静岡がウエスタンに参入することが決定した。ファームは7月18日に前半戦が終了しており、今回は新規参入した両球団の現在地を確認していきたい。

※本文は2024年7月20日時点の情報をもとに執筆

オイシックスは80試合25勝50敗5分

 オイシックスは2006年に新潟県を本拠地に球団設立。07年から開催されている独立・ルートインBCリーグ(当時は北信越BCリーグ)に昨年まで加盟していた。12年には現ヤクルト監督の高津臣吾が指揮官を務めるなど、NPB出身者が監督を歴任しており、現在は橋上秀樹監督が指揮を執っている。また、昨年のドラフト会議で伊藤琉偉(ヤクルト)が5位指名を受けるなど、計8名の選手がこれまでにドラフトでNPB入りを果たしている。

【データ提供:データスタジアム】

 前半戦の戦いを振り返ると、オイシックスは借金25と大きく負けが先行し、イースタン最下位の8位。平均得点、平均失点ともにリーグワーストの数字を記録するなど、投打で苦戦しているようだ。そうした厳しい状況ではあるものの、ホームゲームでは20勝19敗と勝ち越し。また、4月6日にハードオフ新潟で行われた試合では観客数が3000人超えを記録。独立リーグ時代を上回る集客を見せるなど、ホームで好成績を残せているのは明るい材料といえるだろう。

くふうハヤテは75試合20勝49敗6分

 くふうハヤテは「育成して、再生して、勝つ」をコンセプトに、静岡県初のプロ野球チームとして昨年に創設。GMには山下大輔氏、初代監督には赤堀元之氏と地元・静岡県出身で、指導経験の豊富な両者が就任した。昨秋のファーム・リーグ参入承認後から複数回の入団テストを実施し、一からチームづくりを行ってきた。

【データ提供:データスタジアム】

 くふうハヤテは開幕から5連敗を喫する厳しい船出となり、前半戦を終えてウエスタン最下位と苦戦している。チーム打率.220は他球団から差をつけられ、平均得点はリーグワーストの2.71。また、ここまで10試合で2ケタ失点を喫するなど大量失点が目立ち、平均失点は全球団で唯一の5点台と低迷している。それでも、7月の平均失点は2.82と改善が見られ、徐々に安定した試合づくりが増えている。ホームゲームの平均観客動員数は14球団中9位の936.4人を記録しており、発足1年目でありながらも一定の集客力がある。

「投手力」と「守備力」の不足

 両球団とも共通して目立つのが失点の多さである。各リーグの投球回ランキングの上位5人を見てみると、オイシックスとくふうハヤテの投手が3人ずつ名を連ねているのが特徴。いずれの投手もチームを支えているものの、一部の投手に依存するような形にもなっており、両球団で投手が不足している側面も垣間見える。また、守備指標のひとつであるUZR(注1)で、オイシックスはチームUZR-21.0と全球団で最下位。トップの西武とは野手の守備力で約50点分の差が生まれてしまっている。

 また、くふうハヤテも全球団で最多の90失策を記録しており、両チームとも投手力だけでなく野手の守備力も失点の多さにつながっているようだ。攻撃面では、くふうハヤテがウエスタン3位の63盗塁を記録。3、4月には32試合で35個の盗塁を決めるなど、開幕から足を使った攻撃が目立っていた。一方のオイシックスは盗塁数が両リーグ最少の28個。成功率も.538と機動力には課題を抱えているようだ。

(注1)UZR…「守備範囲」、「失策」、「併殺奪取」、「肩」の4項目を得点化して合計した総合守備指標。同じポジションの平均と比較してどれだけ失点阻止に貢献したかを示す。

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日本で唯一のスポーツデータ専門会社。 野球、サッカー、ラグビー等の試合データ分析・配信、ソフト開発などを手掛ける。

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