ファーム新球団「オイシックス」「くふうハヤテ」の現在地は? 注目の参入初年度の前半戦の戦いぶりをデータで検証

データスタジアム株式会社

アピールを続ける元NPB組

 ここまでチームとしての立ち位置を確認してきたが、ここからは選手個人を見ていきたい。まずは、昨季までにNPB12球団に在籍経験のある選手たちの成績を確認する。多くの選手はNPBへの復帰を目標にしているはずで、補強期限である7月末まではシーズン中の移籍も可能だ。現時点ではオイシックス、くふうハヤテの新球団からNPB球団に移籍した例はなく、注目の選手を見ていきたい。

【データ提供:データスタジアム】

 まず、オイシックスの投手陣では、元広島の薮田和樹がイースタントップの投球回を記録。手元で動くボールを武器に防御率2.83を記録しており、チームの大黒柱として活躍している。救援陣では、NPBでも実績のあるベテランの吉田一将と三上朋也がフル稼働を見せている。

 吉田は被打率.171を誇るフォークと与四球率1.65と優れた制球力を武器に、ここまで32試合に登板して防御率2.48をマーク。三上は持ち味であるバットの芯を外す投球術を駆使し、31試合の救援登板で防御率3.60を記録している。また、中日とDeNAに所属して、今季からは台湾リーグでプレーしていた新潟県出身の笠原祥太郎が6月に加入。7月18日の広島戦では7回1失点で移籍後初勝利を挙げるなど、NPB復帰へアピールを続けている。

【データ提供:データスタジアム】

 くふうハヤテの投手陣では、若き右腕の西濱勇星が先発ローテーションを支えている。オリックス時代はリリーフでの起用が中心だったが、今季は140キロ台中盤の速球とキレのある変化球を武器にエース格として活躍。7月11日の阪神戦では自己最長の8回を投げて2失点に抑えるなど、新天地でポテンシャルの高さを見せている。

 地元・静岡出身の池谷蒼大は昨年12月に受けた左肘手術の影響で出遅れたものの、ここまで救援を中心に15試合に登板。制球面に不安を残しながらも、防御率3点台を残している。DeNAで通算274試合に登板した実績のある田中健二朗は、ここまで16回1/3を投げて失点ゼロを記録。緩急を駆使した投球で、被打率.185と相手を寄せ付けないピッチングを続けている。今年で39歳を迎えた藤岡好明も、13登板で失点した試合はわずか1と、抜群の安定感でブルペン陣を支える一人だ。

【データ提供:データスタジアム】

 オイシックスの野手では、巨人とDeNAに所属した田中俊太がここまで攻守に安定したプレーを見せている。優れた選球眼で高い四球割合を記録しているほか、二塁の守備ではイースタントップのUZRをマーク。三塁や遊撃でも平均以上のUZRを記録しており、内野のバックアップを求める球団から声が掛かる可能性もありそうだ。パワフルな打撃が魅力の中山翔太は開幕戦で4番として出場。5月こそ月間打率.305と好成績を残したものの、6月以降は打撃不振に陥るなど下降気味だ。

 2016年に阪神で新人王に輝いた実績を誇る髙山俊は、ここまで60試合の出場で打率.268を記録。目立った数字こそ残せていないが、4月29日の試合では逆転サヨナラ2ランを放つなど、ここ一番での勝負強さは健在だ。3年ぶりに日本球界復帰となった陽岱鋼は出塁率.370をマークするも、コンタクト率が二軍平均を下回る71.7 %と空振りが目立っており、三振割合が高くなっている。

【データ提供:データスタジアム】

 くふうハヤテの野手では、倉本寿彦がバットで存在感を示している。離脱もあったため規定打席には到達していないものの、ここまで打率.333、OPS.739を記録。7月の復帰後も快音を連発しており、持ち前のバットコントロールで存在感を放っている。ベテランの福田秀平は右肩のコンディションに不安を抱えており、ここまでは一塁手とDHとして出場。打率は1割台に低迷しているが、4月19日の阪神戦では球団初のサヨナラ打をマークしている。

 若手では、長距離砲候補として期待の2選手に注目。22歳の西川僚祐は粗削りな一面こそ見られるものの、ここまでウエスタン2位となる15本の二塁打をマーク。24歳の折下光輝は6月12日に古巣・巨人から一発を放つなど、チームトップの3本塁打と存在感を示している。

2/3ページ

著者プロフィール

日本で唯一のスポーツデータ専門会社。 野球、サッカー、ラグビー等の試合データ分析・配信、ソフト開発などを手掛ける。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント