ファーム新球団「オイシックス」「くふうハヤテ」の現在地は? 注目の参入初年度の前半戦の戦いぶりをデータで検証

データスタジアム株式会社

今秋のドラフト候補生は?

 NPB12球団に在籍経験のない日本人選手は、今秋のドラフト会議で指名対象となる。そこで、新球団の中からドラフト会議で注目される選手を取り上げたい。

【データ提供:データスタジアム】

 投手でまず注目なのが、オイシックスのアンダーハンド・下川隼佑。ここまでは先発と救援の両方をこなしながら20試合に登板し、規定投球回到達者でイースタン2位の奪三振率7.56をマーク。独立リーグでプレーした昨年も好成績を残すも、ドラフトでは惜しくも指名漏れ。今季のNPBでは高橋礼(巨人)や中川颯(DeNA)といったアンダースローの投手が存在感を示しており、後半戦のアピール次第ではドラフト指名の可能性もありそうだ。

 同じくオイシックスからは、筑波大出身のルーキー・山田拓朗も注目だ。公式戦デビューは6月7日まで遅れるも、ここまで10試合の救援登板で被打率.167を記録。伸びのあるストレートは奪空振り率12 %と二軍平均を大きく上回る。制球力に課題を残しているものの、スケールの大きさを感じさせる若手投手だ。

 くふうハヤテでは。早川太貴がここまで先発ローテーションをけん引し、4勝4敗、防御率2.97をマーク。3月22日の阪神戦で7回無失点の好投を見せ、チームに公式戦初勝利をもたらすと、続く31日の広島戦では初完投勝利を記録。フレッシュオールスターでも登板を果たすなど、後半戦ではより一層の活躍が期待される。

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 野手では、オイシックスの知念大成が前半戦で好成績をマーク。イースタン2位の打率.295を記録し、三振割合は6.9%と優れたコンタクト能力を発揮。6月には月間打率.364のハイアベレージを残し、新規参入球団の選手として初のファーム月間MVPに輝いた。守備でもセンターのUZRでリーグ平均以上の数値を記録しており、即戦力の外野手としてドラフトで注目の存在だ。

 同じく外野手では、くふうハヤテの増田将馬がセンターでウエスタン2位のUZRを記録。ここまでは打率.277、同3位の14盗塁をマークするなど走攻守に躍動を見せ、フレッシュオールスターにも出場を果たした。

 内野手では、くふうハヤテの仲村来唯也が高い守備力で存在感を示している。失策数こそ多めだが、軽快なフットワークと強肩を生かしてショートのUZRはウエスタントップを記録。打撃面に課題を抱えているものの、記念すべき球団1号を含む2本塁打を放つなど、意外性も持ち合わせている。オイシックスでは、高義博がショートとして14球団トップタイの71試合に出場。プロ入り後にショートの守備に苦戦する若手選手も多いが、イースタン平均よりも優れた守備得点を記録している点は評価できるだろう。高卒2年目のショートとしては、攻守ともにまずまずな成績を残しており、今後の成長が楽しみな内野手だ。

 今回取り上げた野手の共通点として、いずれも守備力のデータで優れた数値を残している点が挙げられる。アマチュア球界や独立リーグといった環境と比較して、ファーム新球団はこうした詳細なデータが取得できるのが特徴だ。守備力を売りにする選手にとっては、新球団はアピールの場として魅力的な環境といえるかもしれない。

発展途上の中で後半戦に期待すること

 前半戦を終えて、決して順調とはいえない戦いが続く両チーム。その中で個々に高い能力を発揮している選手が数多く見られる点は、明るい材料だ。発展途上のチームとして、既存球団と互角以上に戦う試合も増えつつある。その一方で、後半戦で懸念される点として、初めてフルシーズンを戦う選手が多いところが挙げられる。前述の投手不足に伴う登板過多や夏場の連戦により、選手のコンディションが不安視されるところ。また、NPB復帰を狙う選手にとっては7月末の移籍期限まで残りわずか。今秋のドラフト会議で指名を目指す選手にとっては、ここからのアピールが一層重要となる。両球団の最下位からの脱出に向けた戦いぶりに注目するとともに、新天地でのさらなる野球ファン拡大を期待したいところだ。

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著者プロフィール

日本で唯一のスポーツデータ専門会社。 野球、サッカー、ラグビー等の試合データ分析・配信、ソフト開発などを手掛ける。

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