名将ポステコグルーを「ボス」と慕う教え子たちが語る。プレミアの強豪トッテナムへの挑戦&恩師との再会へ

小澤一郎

ヴィッセル神戸の扇原貴宏選手(左)と広瀬陸斗選手(右) 【©VISSEL KOBE】

 7月26日(土)に国立競技場で開催される「明治安田Jリーグワールドチャレンジ2024 powered by docomo」に出場するため、イングランド1部・プレミアリーグの強豪「トッテナム・ホットスパー」が来日する。そのチームで監督として2シーズン目を迎えたのが、日本でもおなじみのアンジェ・ポステコグルー監督だ。

トッテナムのアンジェ・ポステコグルー監督 【Photo by Chloe Knott - Danehouse/Getty Images】

 ポステコグルー監督は、2018年に横浜F・マリノスの監督に就任すると、新たにアタッキング・フットボールの文化をクラブに浸透させ、翌年には15年ぶりのJリーグチャンピオンに導いた名将である。

 今回、マリノスでポステコグルー監督の指導を受け、現在は、トッテナムが27日に対戦するヴィッセル神戸でプレーしている、扇原貴宏選手と広瀬陸斗選手に、ポステコグルー監督やトッテナムについて伺った。

ポステコグルー監督は考えは一貫していて信念を曲げない

マリノス時代のポステコグルー監督と扇原選手 【Photo by Masashi Hara/Getty Images】

――横浜F・マリノスでポステコグルー監督の指導を受けたお二人ですが、どのような監督ですか?

扇原 やり方、信念を曲げない監督です。彼が横浜F・マリノスに来た1年目は残留争いに巻き込まれる非常に厳しいシーズンとなりましたが、それでも攻撃的サッカーのスタイルを変えようとはしませんでした。

広瀬 僕も同じ印象を持っています。ボス(ポステコグルー監督)の考えは一貫していますし、僕たち選手に求めることもはっきりしています。ブレることがないので選手としてはやりやすいと感じています。

――そのポステコグルー監督が欧州に渡り、セルティックでタイトルを獲るなど結果を残し、プレミアリーグの強豪トッテナムの監督に就任しました。監督としてのステップアップをどう見ていますか?

扇原 「凄い」の一言です。実際に指導を受けた監督として、Jリーグで指揮を執った経験のある監督として、彼の欧州挑戦を応援していましたので、嬉しい気持ちもあります。一方でプレミアリーグの名門クラブで指揮を執る監督になると少し遠くに行ってしまった感もあります。

トッテナムを本気にさせるような試合にしたい

就任1年目でトッテナムを5位に導いたポステコグルー監督 【Photo by Stu Forster/Getty Images】

――お二人は日頃から海外サッカー、特にプレミアリーグを見ていますか?

広瀬 時差もあり正直、ハイライトで見る程度です。ボスが指揮するトッテナムも気にはなりますが、フルマッチを見るようなことはほとんどありません。

扇原 僕もそれほど見ることができていません。

――幼い頃は海外サッカーを観ていましたか?

広瀬 はい。小さい頃はロナウジーニョが好きだったのでバルセロナの試合をよく見ていました。

扇原 僕もバルセロナが強かったのでよく見ていました。

――2019年にマンチェスター・シティと対戦していますが、その時の印象は?

扇原 デ・ブライネの速さに驚かされました。もちろん、技術的に上手い選手であるのはわかっていましたが、あれだけ大柄な選手であるにもかかわらず局面でのプレースピードの速さがあるのは、マッチアップしてみて初めてわかりました。あと、あの試合はマリノスが先制したのですが、先制された後、急にマンチェスター・シティの選手たちの顔色やプレーが変わったのもよく覚えています。プレシーズンマッチとはいえ、彼らは負けられない、負けたくないと思っていたのだと思います。そういう意味では、今回のトッテナムとの試合でも彼らを本気にさせるような試合にしたいと考えています。

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著者プロフィール

1977年、京都府生まれ。サッカージャーナリスト。早稲田大学教育学部卒業後、社会人経験を経て渡西。2010年までバレンシアで5年間活動。2024年6月からは家族で再びスペインに移住。日本とスペインで育成年代の指導経験あり。現在は、U-NEXTの専属解説者としてLALIGAの解説や関連番組の出演などもこなす。著書19冊(訳構成書含む)、新刊に「スペインで『上手い選手』が育つワケ」(ぱる出版)、「サッカー戦術の教科書」(マイナビ出版)。二児の父・パパコーチ。YouTube「Periodista」チャンネル。(株)アレナトーレ所属。

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