名将ポステコグルーを「ボス」と慕う教え子たちが語る。プレミアの強豪トッテナムへの挑戦&恩師との再会へ

小澤一郎

欧州クラブとの親善試合はJリーグ全体にとってプラス

2019年に対戦したマンチェスター・シティのデ・ブライネ選手(中央) 【Photo by Hiroki Watanabe/Getty Images】

広瀬 僕もあの試合は先発で出場できたのですが、まだまだ体の出来上がっていない夏のプレシーズン時期にもかかわらずプレースピードが速いという印象を受けました。

――今夏も日本に多くの欧州クラブが来てJクラブとの親善試合を行います。Jリーグでプレーする選手として、こうした経験をどう捉えていますか?

扇原 Jリーグ全体にとってプラスだと考えています。ACLのような大会があり、そこで勝ち抜けばクラブW杯もありますが、欧州クラブとの対戦機会は滅多にありませんし、僕たちの選手にとっても貴重な機会です。僕個人としても、もう30歳を過ぎているので今から欧州挑戦は考えにくく、だからこそ日本国内でこういう機会があるのはありがたいです。

広瀬 親善試合ではありますが、今の自分のレベルを試すいい機会でもありますので、楽しみにしています。今は左サイドの高い位置でプレーすることが多いので、攻撃面でうまく絡みたいです。

――実際にマッチアップしてみたいトッテナムの選手はいますか?

扇原 あまり選手はわからないのですが、ポステコグルー監督のチームは、非常に攻撃的でアグレッシブなハイラインを敷いてくるサッカーをしてきます。今のヴィッセルと少し対照的なサッカーになるので、面白い試合になると思いますし、僕たちからするとうまくハイラインの背後を突いていきたいですね。

広瀬 ボスのチームは、ハイラインでマリノス時代もセンターバックのチアゴ・マルチンス選手のスピードが守備面では鍵でした。確かトッテナムにもめちゃくちゃ足の早いセンターバックがいたと思うので、彼のようなセンターバックとの対戦は楽しみです。

――ミッキー・ファンデフェンですね。オランダ代表として先日のユーロにも出場していましたし、昨季はプレミアリーグ史上最速の37.78kmを記録したスピードが持ち味です。

広瀬 はい、実際に対戦してみたいです。あと、ボスのチームらしく両サイドバックが偽サイドバック化して中央に入ってくるのと、特にトッテナムの右サイドバック(ペドロ・ポロ)が上手い印象があるので、どういうプレーをしてくるのか楽しみにしています。

スペイン人サイドバックのペドロ・ポロ選手 【Photo by Nigel French/Sportsphoto/Allstar via Getty Images】

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――トッテナムには、アジア人として初のプレミア得点王に輝いた韓国代表のソン・フンミンもいます。彼についてはどう見ていますか?

扇原 世界最高峰のプレミアリーグでの得点王は、本当に凄いと思います。彼のような選手との対戦も楽しみにしていますし、対戦するからにはチームとしてしっかりと止めたいですね。

勝利を目指して戦う。ヴィッセルの魅力も伝えたい

トッテナムの絶対的エースのソン・フンミン選手 【Photo by Marc Atkins/Getty Images】

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――ポステコグルー監督のポジショナルプレーにおいて、偽SB戦術は一つ鍵を握ります。横浜F・マリノス時代、広瀬選手はボスからどのような指示、指導を受けていましたか?

広瀬 偽SBの戦術で中に入るとプレーエリアが360度になるため、やはり最初は戸惑いました。中に入るタイミングや侵入角度も最初はあまりうまくつかめなかったのですが、練習の中でボスやコーチ陣から熱心に指導してもらい、徐々にフィットできるようになりました。うまく入れるようになると、ボスやコーチから「Good」と褒めてもらえるようになり、最終的に選手としてのプレーの幅も広がったように思います。

――今回は国立開催ということもあり、ヴィッセル神戸のサポーター以外の海外サッカーファン、トッテナムサポーターも多く観戦に来て頂けると思います。普段Jリーグ、ヴィッセル神戸のサッカーをあまり見ていない人たちに、どういうサッカーを見せたいですか?

扇原 そうですね、親善試合ではありますが、Jリーグを代表する立場としての自覚を持って、まずは勝負にこだわりたいです。サッカー的には、トッテナムはかなりコンパクトなサッカーをしてくるはずなので、DFライン背後や逆サイドの意識を持ちながら広く速い展開を心がけたいです。

――では最後に、この試合に向けた意気込みをお願いします。

扇原 プレミアリーグの強豪との対戦ですので、とても楽しみにしていますし、個人的にもポステコグルー監督との再会を楽しみにしています。ただ、繰り返しにはなりますが、親善試合とはいえ僕たちは勝利を目指して戦いますし、この試合を通してヴィッセル神戸のサッカーや魅力も伝えたいと考えています。日本でトッテナムの試合を見ることができる貴重な機会でもありますので、是非会場まで足を運んで頂ければと思います。

広瀬 言いたいことを全部言われてしまいました……(苦笑)。試合としてはスタイルの異なるチーム同士ゆえに、面白い試合になると思いますし、前線で使われることになれば個人として積極的に攻撃、ゴールに絡むプレーを心がけたいです。
(構成:大野智司 )

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著者プロフィール

1977年、京都府生まれ。サッカージャーナリスト。早稲田大学教育学部卒業後、社会人経験を経て渡西。2010年までバレンシアで5年間活動。2024年6月からは家族で再びスペインに移住。日本とスペインで育成年代の指導経験あり。現在は、U-NEXTの専属解説者としてLALIGAの解説や関連番組の出演などもこなす。著書19冊(訳構成書含む)、新刊に「スペインで『上手い選手』が育つワケ」(ぱる出版)、「サッカー戦術の教科書」(マイナビ出版)。二児の父・パパコーチ。YouTube「Periodista」チャンネル。(株)アレナトーレ所属。

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