SC軽井沢クラブもロコ・ソラーレも4人で迎える勝負のシーズン 男子は“ハム”の愛称で知られるオリンピアンが復帰

竹田聡一郎

2023年のPCCCにて。吉田夕梨花は「琴美ちゃんのストーンチェックがあるから思い切って投げられる」とフィフスの石崎に感謝の言葉を重ねていた。 【筆者撮影】

 カーリングの2024/25シーズンまであと50日足らず。来たる新シーズンは8月8月から稚内で開催される「稚内みどりCHALLENGE CUP2024」で開幕する。それに合わせて各チームの陣容が明らかになってきた。

 まず女子は日本選手権優勝のSC軽井沢クラブ(Ueno)のフィフスとしてチームを長らく支えてきた両川萌音の退団が発表された。少なくとも夏の北海道ツアー、カナダツアーまでは4人体制で戦う見通しだが、日本代表として挑むパンコンチネンタル選手権(カナダ・ラクーム/以下PCCC)では補強、あるいはレンタルとして5人目を迎えるだろう。その人選も今季の見どころのひとつだ。

 ロコ・ソラーレ(Fujisawa)もフィフスがチームを離れた。石崎琴美だ。北京五輪銀メダル、2022年PCCC優勝、グランドスラム優勝、日本選手権連覇などに貢献した功労者のひとりだ。今後については「ノープラン」とは本人のコメントだ。所属する松田整形外科記念病院に勤務しながら、オファーがあれば解説などの仕事でカーリングと関わっていくだろう。ロコ・ソラーレも基本的には4人で挑むシーズンになりそうだ。

 ロコ・ソラーレの妹分であるロコ・ステラ(Sasaki)は青木愛優凪と斉藤茉由美が離れ、荻原詠理が加わった。今月、帯広で行われたICE GOLDCUPには松澤弥子→林未来→佐々木穂香(S)→荻原(V)の投げ順で挑んでいた。新メンバーを加えたシーズン序盤ということで試しながらの編成ではあるが、かなりオフェンシブなポジションだ。また、本橋麻里の去就も明らかになっていないが、ロコファミリー3チームはシーズンを迎える前に恒例の記者会見を開く。そこで今季の体制について詳細が明らかになるだろう。

 日本選手権準優勝の北海道銀行(Tabata)、3位の中部電力(Kitazawa)には選手変更はないが、5位に終わったフォルティウス(Kotani)は出産で昨季は休養していた看板選手の吉村紗也香が復帰に向けてトレーニングを積んでいる。昨季から専任コーチとなった船山弓枝の指揮の下、小谷優奈、小野寺佳歩、近江谷杏菜、小林未奈をどう配置するのか、北海道ツアー3大会の大きな見どころだろう。

スイスで開催された世界選手権。コンサドーレは3勝を挙げるも11位に終わり、世界の壁を突きつけられた。 【筆者撮影】

 男子は日本選手権で3年ぶりの王座を奪回した北海道コンサドーレ札幌(以下コンサドーレ/Abe)が新戦力を迎えた。佐藤剣仁(はやと)だ。ブリティッシュコロンビア州生まれの24歳で、札幌国際大学を卒業した今季から赤黒のユニフォームを着る。バックエンドは阿部晋也、清水徹郎で変わらないが、スキップ、サードとしての経験豊富な佐藤がフロントエンドのポジション争いをすることでチームが活性化するだろう。すでに氷上練習を行うなど、まずは10月に行われる前述のPCCCへ向けてピークを作るべく精力的に始動した。

 その佐藤が抜けた札幌国際大学だが、来年2月に中国ハルビンで開催されるアジア冬季大会の代表を目指し、小林駿汰、阿部悠希、工藤大輝、佐々木彩斗のAチーム(Kobayashi)。阿部悠人、道谷陽太、木村優太、大野勇樹のBチーム(Abe)。2チームが試合形式の選考合宿(6月北見市常呂町)に参加する。

 また、新野和志、佐々木、工藤、小林、道谷は来年1月にトリノで行われる冬季ワールドユニバーシティゲームズの日本代表候補選手にも選出された。さらに佐々木は同じく札幌国際大氷上部女子の三浦由唯菜と組むミックスダブルスにも継続して挑戦する。

 大学カーリング界屈指の名門であり最大所帯となった同学。今季はさらに多忙なシーズンになりそうだが、気になるのはエース青木豪の去就だ。軸足は小穴桃里とのミックスダブルスに置きながら、前述の複数チームのサポートに回るイメージだろうか。これも稚内で明らかにされるかもしれない。

 日本選手権準優勝のSC軽井沢クラブ(Yanagisawa)、3位のLOCOSOLARE(ロコ・ドラーゴ/Maeda)には選手の出入りはなさそうだが、4位のTM Karuizawa(Morozumi)には今季、オリンピアンが戻ってきた。スキップ両角友佑の弟、公佑だ。チームスタッフとして過ごした昨季を経て今季からアイスに復帰。すでにチームに合流して汗を流している。昨年の北海道ツアーで2勝を挙げているだけに、今季も良いスタートを切りたいところだ。

 来年2月には首都圏初開催の日本選手権が、横浜BUNTAIで控えている。ここでの成績が2026年のミラノ・コルティナダンペッツォオリンピックに直結する重要な大会だ。チームによってはラストチャンスと言い換えることもできる。残り7カ月、より効果的な強化で歴史に名を刻み、世界に出ていくのはどのチームだろうか。いよいよ五輪プレシーズンだ。
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著者プロフィール

1979年神奈川県出身。2004年にフリーランスのライターとなりサッカーを中心にスポーツ全般の取材と執筆を重ね、著書には『BBB ビーサン!! 15万円ぽっちワールドフットボール観戦旅』『日々是蹴球』(講談社)がある。カーリングは2010年バンクーバー五輪に挑む「チーム青森」をきっかけに、歴代の日本代表チームを追い、取材歴も10年を超えた。

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