カーリング世界選手権13カ国中11位の日本代表コンサドーレ フィジカル向上で捲土重来を期す

竹田聡一郎

左からナショナルコーチのボブ・アーセル、敦賀爽太、中原亜星、阿部晋也、清水徹郎 【筆者撮影】

 カーリングの男子世界選手権がスイス・シャフハウゼンで行われ、決勝でカナダを下したスウェーデンが2年ぶりの優勝を果たした。

 日本代表のコンサドーレは3勝9敗で参加13カ国中11位に終わった。初戦のイタリア、次戦スウェーデンというメダル獲得国に連敗スタート。ニュージーランドから初勝利を挙げたものの、ドイツ、チェコ、スイスと欧州勢に3連敗となった。ノルウェーとアメリカに連勝したが、スコットランド、韓国、オランダ、カナダには4連敗。悪い流れを断ち切れず、あるいは調子が上がらない中でも勝ち星を拾うことができず、現在のメンバーとして初の世界挑戦を終えた。

それぞれフィジカルの上積みが求められる若手トリオ

 敗退後、5選手は異口同音に「フィジカル」を課題に挙げた。

 スキップの阿部晋也は「単純な体力もそうですが」とした上で「世界選手権のような集中力を切らしてはいけない舞台で、緊張感を持続させたまま身体を動かすフィジカルが必要になってくる」と総括した。全選手が勝つための思考を止めずに適切な判断をくだしながら、ベストなショット、スイープをチームとして探らなければいけないと指摘する。

 個人にフォーカスしても、持続的に技術を発揮するためのフィジカルは求められるだろう。

 リードで7試合に出場した敦賀爽太は序盤からドローウェイトに苦しんだ。本人も「特にインターンの安定」を課題に挙げていたが、各エンドでチームの基準となるドローを作り、活きた情報を後続に伝えることができなかった。もちろん、慣れないアリーナアイスや1000人を超える大観衆、さらに研磨の入ったストーンなど難しい条件は重なっていたが、それでも上位国のリードはほほとんどの試合で平均90%を超えるショット率を記録している。自身とチームのポテンシャルを引き上げるために、アイスの状況や自身の疲労度にかかわらず、ハックの蹴り出し、リリースのタッチを一定にするフィジカルを磨かなければならない。

 セカンドとして9試合に出場した大内遥斗はチームで唯一、ポジションごとのショット率がトップ6に入った。初出場としては及第点の数字ではあるが、エーススイーパーとしてラインコールやアイスリーディングに改善の余地を見せた。

「使ってるパスと使っていないパスで、あそこまで変化の多いアイスは経験したことがなかった。いつも阿部さんが言ってくれていることなんですけれど、今回のアイスで『ああ、こういうことか』と実感しました。そういうことをもっと考えてプレーしないといけないですし、そのレベル(のアイスリーディング)をトップは必ずできている。そして強いチームの選手はどこも『スイーパーが(狙ったポイントまで)持っていってくれる』と落ち着いて投げているように見えました」

 バックエンドに安心して投げてもらえるようなスイーパーになるために必要なものは「やっぱりフィジカル」とも言う。大内は大会5日目、スコットランド戦出場後、発熱と嘔吐に襲われ以降4試合の欠場を余儀なくされた。大会終了までには回復し無事に帰路についたが「おそらく疲労の蓄積だと思うんですが、やっぱりフィジカル面、大会中にどう過ごすのか何を食べるのかとかまで意識しないといけないですね」と口にする。

 今回、ロコ・ドラーゴ(LOCO STELLA/Maeda)から中原亜星がスポット的に日本代表として召集され、その大内の穴埋めも含めリードで5試合、セカンドで3試合に出場した。ショット、スイープ両面でチームに貢献し、何よりも初の世界選手権を慣れないチームに入ってのオンアイスだったが、堂々とプレーした。

 本人は「最低限の仕事はできたと思うんですけれど、そんなに手応えがあるわけでもないですし、ショット面、スイープ面で本当はもっとできたんじゃないかとも思っています」とコメント。世界選手権の印象については「フィジカルでも、スキル、技術的な部分でも差があるなと感じました。どこもうまかったんですけれど、カナダとスコットランドはずっとプレッシャーをかけられていてしんどかった。ああいうカーリングができれば(日本も)もっと世界で勝っていけるようになるんじゃないかなと思っています」と振り返った。

 それでも「だいぶ遠いですけれど、世界選手権で距離が測れたという面はプラスだと思っています。チームには特にフィジカル面を意識してしっかりフィードバックしたいです。作戦や技術はこれから練習で補えるようになるけれど、12試合、さらにその先(プレーオフ)まで長い大会を戦えるフィジカルを手に入れないといけない。もっとトレーニングをして疲労しない、怪我しない身体にしないといけないと思っています」

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著者プロフィール

1979年神奈川県出身。2004年にフリーランスのライターとなりサッカーを中心にスポーツ全般の取材と執筆を重ね、著書には『BBB ビーサン!! 15万円ぽっちワールドフットボール観戦旅』『日々是蹴球』(講談社)がある。カーリングは2010年バンクーバー五輪に挑む「チーム青森」をきっかけに、歴代の日本代表チームを追い、取材歴も10年を超えた。

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