カーリング日本選手権で42連敗中のあの地域 その現状を打破するために南の島で行われているコト

竹田聡一郎

スイープの指導をする鈴木夕湖(右)と吉田夕梨花(左)。「沖縄の人、特に若い子はみんな身体の使い方がうまい。スポーツの強い県って感じがしました」と鈴木 【筆者撮影】

 札幌市のどうぎんカーリングスタジアムで開催中の第41回全農日本カーリング選手権大会も最終幕だ。

 決勝トーナメントに進出したのは男子がコンサドーレ、LOCOSOLARE、SC軽井沢クラブ、女子が北海道銀行、中部電力、SC軽井沢クラブ。すべて北海道と長野のチームだ。一次予選リーグを突破したチームも同様で、男女合計12チーム中、北海道勢が7、長野勢が5という内訳だった。

 一方で、苦しい戦いを強いられたのは西日本ブロック代表・男子の岡山CA、女子のチーム広島だ。共に4戦全敗で札幌を後にした。

「氷になかなかアジャストできなかった」とは岡山CAの藤中宏充、「アイスリーディングができてない部分があった」とはチーム広島の財官里帆の談話だが、この2チームを含め2021年から2024年までの4度の日本選手権を西日本代表で戦ったチームは苦戦続きだ。累計26試合を戦い男子は3勝23敗、女子は26敗。女子は2019年から6大会連続で黒星を重ね42連敗中という現状だ。

チーム広島の財官 【(C)JCA/H.IDE】

 やはり練習環境のビハインドは大きい。現状、日本でもっとも西にあるカーリングホールは、長野県御代田町の「カーリングホールみよた」で、以西でカーリングをする場合はアイスアリーナやスケート場というロケーションに頼ることになる。

 岡山CAは「ヘルスピア倉敷アイスアリーナ」(岡山県倉敷市)、チーム広島は「ひろしんビッグウェーブ」(広島県広島市)がそれぞれホームアイスとなるが、スケートやアイスホッケー、フィギュアスケートと兼ねていると、氷面のコンディションにゲームを左右されるカーリングとの相性はどうしても悪い。今回の2チームをはじめ、西日本のチームのほとんどは軽井沢や北海道に遠征しての強化を余儀なくされる。

 また、昨季まではこの日本選手権の予選も兼ねている西日本選手権は島根県浜田市の「サンビレッジ浜田」で開催されていたが、施設の老朽化や利用者数の低下を今季は休業しており、西日本選手権は青森県青森市の「みちぎんドリームスタジアム」で行われた。

 強化面、普及面で「専用リンクがない状態ではなかなか厳しい」とは大会中に藤中が漏らした本音だ。
「西日本の現状を知ってもらって、なるべく早く専用リンクができるようにこういう場(日本選手権で)アピールしたい」(藤中)

岡山CA。左から野々村優介、藤中、十鳥聡太 【(C)JCA/H.IDE】

 財官も試合後の取材で訴える。

「西日本でもカーリングをやっていることを知ってもらって、競技人口が増えるといいなと思っています」

 まずは「サンビレッジ浜田」に代わる、東北は青森、中部は軽井沢といったシンボルのようなカーリングホール、あるいは専用シートを探すことが急務になってくるだろうか。

 西日本には「関空アイスアリーナ」(大阪府和泉佐野市)、「ひょうご西宮アイスアリーナ」(兵庫県西宮市)、「関西大学たかつきアイスアリーナ」(大阪府高槻市)、「木下アカデミー京都アイスアリーナ」(京都府宇治市)、「オーヴィジョンアイスアリーナ福岡」(福岡県福岡市)など、ある程度のサイズを持つ施設は多いので、ポテンシャルはあるはずだ。

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著者プロフィール

1979年神奈川県出身。2004年にフリーランスのライターとなりサッカーを中心にスポーツ全般の取材と執筆を重ね、著書には『BBB ビーサン!! 15万円ぽっちワールドフットボール観戦旅』『日々是蹴球』(講談社)がある。カーリングは2010年バンクーバー五輪に挑む「チーム青森」をきっかけに、歴代の日本代表チームを追い、取材歴も10年を超えた。

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