宇都宮ブレックスのD.J・ニュービルが初の2カ月連続MVP受賞…恐れ知らずの闘う男がCSの舞台へ「目標は優勝だけ」

大島和人

2カ月連続の月間MVPという史上初の快挙を成し遂げたD.J・ニュービル 【提供:宇都宮ブレックス】

 Bリーグの月間MVPに相当する「B.LEAGUE Monthly MVP by 日本郵便」は、選考委員長の佐々木クリス氏をはじめとした選考委員による合議で決定している。2024年3月の月間MVPには宇都宮ブレックスのD.J・ニュービル選手が選出された。2月に続く受賞で、同賞発足以来の「連続受賞者」となっている。

 ニュービルはアメリカ生まれの31歳で、193センチ96キロのコンボガードだ。大阪エヴェッサから宇都宮に移籍した今シーズンは、時間の経過とともに彼のパフォーマンスとチームの成績が「右肩上がり」の上昇を見せている。もちろんニュービルの活躍だけが理由ではないが、リーグ戦では2月が5勝0敗、3月が9勝0敗と2カ月を無敗で乗り切った。

 3月の彼は1試合平均21.2得点5.0アシストを記録。「確率」、「チームに与える影響」はさらに傑出している。3ポイントシュート成功率57.1パーセント、プラスマイナス(その選手が出場していた時間帯の得失点差)「+16.3」は“モンスタースタッツ”と言い得る水準だろう。

 しかし今回のインタビューでは「個人の成績」を誇るようなコメントが一切なかった。どんな時も相手を上回ろうと全力を尽くす、勝利を貪欲に追い求める――。そんなニュービルのストイックな姿勢がにじみ出た内容だ。

3月も全試合に勝利「チームとしてのケミストリーがシーズンを経て上がっている」

3月は1試合平均21.2得点5.0アシストに3ポイントシュート成功率57.1パーセントを記録 【(C)B.LEAGUE】

――2024年3月の「B.LEAGUE Monthly MVP by 日本郵便」受賞、おめでとうございます。2月に続く連続受賞ですが、2020年10月にこの賞が始まってから初めてです。まずご感想をお願いします。

 受賞を大変光栄に思っています。まずチームの好調がこの受賞の要因ですし、同時に私がいいパフォーマンスをした証明でもあります。推薦してくださった方に感謝します。

――宇都宮は2月も5勝0敗と無敗でしたが、3月は9勝0敗で、3月を終えた時点でレギュラーシーズンは18連勝でした。この素晴らしい状態、結果についてもコメントをお願いします。

 これだけの成績をファンの皆さんにお届けできて、うれしい気持ちです。理由を探るなら、やはりチームとしてのケミストリーがシーズンを経て上がっているからでしょう。私だけでなく、選手全員がステップアップして、それぞれの役割をしっかりと担っています。それが好調の結果です。

――3月はサンロッカーズ渋谷、レバンガ北海道、秋田ノーザンハピネッツ、仙台89ERS、千葉ジェッツ、シーホース三河と対戦していますが、印象深い試合はありますか?

 日曜の三河戦(3月31日/89-81で勝利)ですね。第4クォーター残り6分の時点で10点近くリードされた状況でしたが、チーム全体が「絶対に勝てる」と信じてプレーしていました。結果として盛り返して勝つことができて、それが印象深いです。

――ニュービル選手も34得点9リバウンド7アシストと大活躍でした。どこかで「スイッチ」が入るような展開だったのですか?

 得点を決めるチャンスが多かったので、そうやってスタッツは伸びましたが、私はどんな試合も集中力を持って臨んでいるつもりです。

――3月のニュービル選手はコンスタントに高いレベルのスタッツを叩き出して、1試合平均でも21.2得点5.4リバウンド5.0アシストを記録しました。プラスマイナスが「+16.3」はなかなか見ない数字です。もちろん「そこだけ」にフォーカスしているわけではないでしょうが、このスタッツについて感想はありますか?

「勝つこと」が一番気にしている、注力している部分です。私たちの目標はもちろん優勝ですし、そのためには1勝でも多く積み重ねていかなければいけません。だから個人のスタッツでなく、チームの勝利にこだわっています。

――3月の3ポイントシュート成功率は57.1パーセントでしたし、試投数も1試合平均7.8本を記録しました。チームメートのお膳立てもあったはずですが、この数字をどう見ていますか?

 常にディフェンスの状況を見ながらプレーしていますし、日頃から高いエネルギーを注いでシュートの練習もしています。練習はたくさん積んでいるので、自分のシュート力には自信を持っています。どのような状況でも自信を持って、状況に応じてシュートを狙っています。

――シュートについてはどのようなトレーニングをしているのですか?

「繰り返し打ち続けること」が大切だと感じています。練習前、練習後は毎日シューティングをしていますし、オフシーズンは1日1000本を決めることを自らに課しています。回数を重ねれば自信も増します。

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著者プロフィール

1976年に神奈川県で出生し、育ちは埼玉。現在は東京都北区に在住する。早稲田大在学中にテレビ局のリサーチャーとしてスポーツ報道の現場に足を踏み入れ、世界中のスポーツと接する機会を得た。卒業後は損害保険会社、調査会社などの勤務を経て、2010年からライター活動を開始。取材対象はバスケットボールやサッカー、野球、ラグビー、ハンドボールと幅広い。2021年1月『B.LEAGUE誕生 日本スポーツビジネス秘史』を上梓。

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