『スターズ・オン・アイス』に“世界が注目する4人娘”が出演 シニアの千葉・吉田、ジュニアの島田・上薗は“未来のエース”

沢田聡子

グループナンバーの曲は、千葉が「最近好きになった」というMrs. GREEN APPLEの『ケセラセラ』 【STARS ON ICE JAPAN TOUR 2024/撮影:小海途良幹】

世界選手権初代表の千葉と吉田は、今春大学に進学

 4月5日から7日まで行われた『スターズ・オン・アイス』横浜公演。休憩中には回替わりでスケーターが出演するトークショーも行われ、5日は「新年度にふさわしいフレッシュなティーンズ」として、千葉百音(18)、吉田陽菜(18)、島田麻央(15)、上薗恋奈(13)が登場した。「未来のエース、世界が注目する4人娘」と紹介された日本女子の新星4人が、初々しいトークを展開した。

 千葉は早稲田大学eスクール人間科学部、吉田は同志社大学グローバル地域文化学部にそれぞれ入学したばかりで、この春から新たな環境でスタートする。千葉はフィギュアスケートのジャンプを跳ぶ際のイメージトレーニング等について「自分なりに今まで考えてきたことを、さらに深く掘り下げるために学びたい」と意気込んだ。

 木下アカデミーに移籍し、仙台から京都に拠点を移して今季を迎えた千葉は、グランプリシリーズでは実力を出せずに苦しんだ。しかし、グランプリ2戦目の後に運動誘発性ぜんそくと診断されて開始した治療の効果もあったのか、昨年12月の全日本選手権では2位に入って表彰台に立つ。四大陸選手権(2月)では優勝、初出場した世界選手権(3月)でも7位と、実りあるシーズンを終えた。

「2023-24シーズンは悔しい経験も嬉しい経験も両方できた1年だったので、2024-25シーズンはその反省をふまえてさらに強くなって、より安定した演技がお見せできるように頑張ります」(千葉)

 この日千葉は、過去に多くのスケーターが滑っている『ラヴェンダーの咲く庭で』を使った新たなエキシビションナンバーを披露。ラヴェンダーが入った籠を持って滑る千葉のたおやかな滑りと優雅な曲が溶け合う、新たな名作が誕生した。

 木下アカデミーで切磋琢磨する千葉と共に初めて世界選手権に出場した吉田は、8位という成績を残している。今季はグランプリファイナルで銅メダルを獲得し、ISU(国際スケート連盟)スケーティングアワードでも最優秀新人賞に選ばれる飛躍のシーズンとなった。

「今シーズンはシニア1年目のシーズンで、たくさん新しい経験ができて、たくさんのことを学べたので、来シーズンはこの経験を生かして、一戦一戦全力で戦い抜きたいです」(吉田)

 トリプルアクセルを持つ吉田だが、その成否に左右されることなく他のジャンプを安定して成功させ、好成績を残してきた。スケーティングや表現力も向上している吉田は、来季もさらなる進化を目指す。

「『スターズ・オン・アイス』は、世界中からトップスケーターが集まるショーなので、海外の皆さんと一緒に創り上げるショーがすごく楽しいです」(吉田)

 この日は、ユニークな曲調を表現して独特の魅力を発揮する今季のショートプログラム『Koo Koo Fun』を演じた。

ジュニアの“絶対女王”島田、卓越した表現で魅了する上薗

 島田は今季、ジュニアグランプリファイナル(昨年12月)と世界ジュニア選手権(2~3月)で連覇を果たす偉業を成し遂げた。ユース五輪(1月)でも優勝し、今のところジュニアでは全勝だ。

 ジャンプ構成ではシニア顔負けの高難度を誇る島田だが、今季は困難も感じるシーズンだったようだ。

「今シーズンは、自分の演技に納得いかなくて笑顔で終われない試合もあったので、来シーズンは笑顔で全試合を終えられるようにしたいです」(島田)

 今季の島田はショートでミスが出ることがあり、全日本ジュニア選手権やファイナルでは出遅れた。しかし、ファイナルのフリーでは目標としてきたトリプルアクセルと4回転の同時成功を成し遂げており、ショートのミスをフリーに引きずらない強さを示したともいえる。

 島田は、この横浜公演に特別な観客を迎えていた。

「東京で練習していた頃に一緒に練習していた友達が見に来てくれたりするので、それもすごく楽しみにしています」(島田)

 この日も来場しているという友人の前で島田が演じたのは、エキシビションナンバー『Champion』。アップテンポな曲に乗ってシャープなダンスをみせる島田には、世界ジュニア女王の風格が漂った。

 昨季の全日本選手権ノービスAで優勝した上薗は、ジュニアデビューシーズンで一気に世界トップレベルまで駆け上がった。ジュニアグランプリファイナル・世界ジュニア選手権で銅メダルを獲得したのだ。全日本選手権でもシニアに混じって4位に食い込み、初の大舞台でも力を発揮する強さを示した。伸びやかな滑りと飛距離のあるジャンプを持つ上薗の最大の魅力は卓越した表現力で、中学生とは思えないほど大人びた表情で魅了する。

 トークショーで「最近は韓国メイクにはまっています」と明かした上薗は、カラフルなニットとデニムのショートパンツを身につけ、エキシビションナンバー『Come Around Me』を演じた。演技の途中でキャップを被った途端に雰囲気も一変させる上薗には、スター性が感じられる。

「今シーズンはいろいろな試合やアイスショーに出させていただいてすごくいい経験になったので、その経験を生かせるように。そして今シーズン大事にしてきた『自分の魅力を出す』ということを、また来シーズンもっともっと見せられるように、頑張りたいなと思っています」(上薗)

 世界のトップスケーターが出演する『スターズ・オン・アイス』でそれぞれの花を咲かせた、日本女子のホープ4人。華やかなショーの経験も糧にして、来季はさらに美しく咲き誇るだろう。
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著者プロフィール

1972年埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、出版社に勤めながら、97年にライターとして活動を始める。2004年からフリー。主に採点競技(アーティスティックスイミング等)やアイスホッケーを取材して雑誌やウェブに寄稿、現在に至る。

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