鍵山優真・単独インタビュー「表現の頂点を目指して頑張りたい」 2026年五輪に向け、身につけたいのは“自信と安定”

沢田聡子
 2年ぶりに世界選手権の表彰台に帰ってきた鍵山優真が、3つ目となる銀メダルを獲得した。昨季は左足首の怪我の影響で1試合のみの出場となったが、今季は順調に回復。グランプリファイナル3位、四大陸選手権優勝と好成績を残し、世界選手権に臨んだ。

 今大会ではショート・フリーを通じてミスはわずかに一つ、各要素で高い加点を得る完成度の高い演技を披露した。世界選手権のエキシビションで、2026年ミラノ・コルティナダンペッツォ五輪を見据えて作った『Werther』を演じた直後の鍵山に、話を聞いた。(リモート取材:3月25日/日本時間)

パフォーマンスには満足、マリニンとの点差には悔しさ

美しいスケーティングで魅了した鍵山のフリー 【写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ】

――世界選手権の銀メダル獲得、おめでとうございます。

 ありがとうございます。

――3つ目の世界選手権銀メダルとなりますが、過去2大会(2021年、2022年)と今大会を比較して、特に感じたことはありますか?

 1個目の銀メダルは、とにかく初めての世界選手権だったので、すごく嬉しいという気持ちがありました。2個目の銀メダルは、(北京)オリンピックでの好調に対し調子があまり良くない中での銀メダルだったので、自分のパフォーマンスに納得できず悔しいという思いがすごく強かったです。

 今回は、パフォーマンスに関しては満足できるものだったかな。まだまだ点数、GOE(出来栄え点)を伸ばせる部分はあったのですが、それでも全力で最後までやれたという満足はあります。悔しい部分で言うと、やはりイリア・マリニン選手との大きな点数の差(24.11)をすごく感じました。「どう頑張っても勝てなかったんだろうな」という思いもあります。

――今大会、試合で初めて4回転フリップを成功させました。四大陸選手権(2月)では挑んだものの決められませんでしたが、そこからどのような修正をして今大会に臨みましたか?

 とにかく曲をかけて、プログラムの練習をたくさんするということを意識しました。ジャンプ単体だったらすごく調子がいいのですが、曲かけになると気持ちが大分変わってくるので。そこで跳べるように、しっかりと練習をしてきました。

――昨シーズンは左足首の怪我のため全日本選手権1試合のみの出場となりましたが、今季を締めくくる一番大きな大会の表彰台に戻ってきたことになります。復活の道程には厳しさもあったと思いますが、どのように振り返りますか?

 去年の今頃はやっとジャンプを跳び始めたくらいの時期だったので、本当に1年でここまで技術と自信を取り戻せたことには、すごく自分でもびっくりしていて。当初、今シーズンの目標は「世界選手権に出られればいいな」という程度だったのですが、本当にいいペースで回復できて、「メダルをとりたい」と言えるほど体の調子も良くて。

 でも、僕だけではできなかったと思います。父やトレーナーさんなど、いろいろな方がサポートして下さってここまでこられたと思うので、本当に感謝しています。

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著者プロフィール

1972年埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、出版社に勤めながら、97年にライターとして活動を始める。2004年からフリー。主に採点競技(アーティスティックスイミング等)やアイスホッケーを取材して雑誌やウェブに寄稿、現在に至る。

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