アイスダンス日本代表3組が競った四大陸選手権 トリノ五輪代表・木戸章之氏が語る、世界選手権代表・小松原組の強さ

沢田聡子

小松原組は四大陸選手権・フリーダンスで大人の滑りを披露した 【Photo by Annice Lyn/Getty Images】

小松原組が四大陸選手権でみせた貫禄

 今季の世界選手権アイスダンス日本代表選考は、四大陸選手権(中国・上海)で3組が1枠を競う、白熱した競り合いとなった。

 四大陸選手権に出場したのは、ベテランの夫婦カップル・小松原美里/小松原尊と、どちらも今季結成した若いカップルの田中梓沙/西山真瑚、吉田唄菜/森田真紗也。全日本選手権で優勝したのは小松原組だったが、リズムダンス(RD)は田中/西山組(総合2位)、フリーダンス(FD)は吉田/森田組(総合3位)がそれぞれ1位になっていた。

 日本スケート連盟は、全日本選手権終了時には3組の競技力が拮抗しているとして世界選手権代表決定を保留。後日、四大陸選手権の最上位組を世界選手権代表に選出すると発表した。異例の措置がとられるほど3組の実力が伯仲していたといえ、有望な若手が育ちつつある日本アイスダンスの活況ぶりを感じさせた。

 しかし、全日本選手権から約1か月後となる四大陸選手権では、小松原組が貫禄をみせた。『ゴーストバスターズ』に乗りコミカルな動きも披露したRDでは、自己最高となる71.29点をマークし、6位と好発進。62.86点で10位の吉田/森田組、62.09点で11位の田中/西山組をリードした。

 FDでの小松原組は、『Loving you /Love Grows』のしっとりとした旋律に乗り、大人の滑りを披露。FD111.41点・合計182.70点とも自己最高得点を更新、日本勢最高位となる総合8位に入った。合計166.13点・総合10位の吉田/森田組、合計157.63点・総合11位の田中/西山組も、デビューシーズンに出場したチャンピオンシップで健闘したといえるが、やはり小松原組の勝負強さが印象に残る結果となった。

 フリー後のバーチャルミックスゾーンで、小松原組は穏やかな表情の中に静かな自信を漂わせていた。

「2人で全日本の後からまた気合いを入れ直して、一日一日頑張った成果がここに出たかなと思います」(美里)

 重圧がかかる中で力を発揮できたことについて尋ねると、美里は「普段の練習にすべてがかかっていると思います」と答えた。

「昨年に比べてつなぎの部分・トランジションが難しくなっています。リスクがありつつも、実施ができれば点が上がるという作戦が上手く功を奏したかなと思います。ただ、実施することが本当に難しいので、練習してきていて良かったなと」(美里)

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著者プロフィール

1972年埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、出版社に勤めながら、97年にライターとして活動を始める。2004年からフリー。主に採点競技(アーティスティックスイミング等)やアイスホッケーを取材して雑誌やウェブに寄稿、現在に至る。

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