センバツで評価を上げた野手10選 捕手の箱山に加え、外野手にもドラフト上位候補が揃う

西尾典文

白髪零士(広陵/2年/遊撃手)

動きがスムーズで安定性も高い遊撃守備に加え、下位を打ちながらバッティングでも好印象を残した 【写真は共同】

 ショートでは田中陽翔(健大高崎/3年)、颯佐心汰(中央学院/3年)、既述の石見颯真などが注目を集めたが、ショートらしさを最も感じたのが2年生の白髪だ。エラーがひとつあったものの、流れるようなフットワークと正確なスローイングは下級生とは思えないレベルにある。特にハンドリングに柔らかさがあり、力みなくプレーできるのも長所だ。

 打撃は少し非力だが、2試合で4安打を放ち、ミート力の高さを示した。攻守ともに力強さが出てくれば、来年の有力なドラフト候補になる可能性は高い。

境亮陽(大阪桐蔭/3年/外野手)

大阪桐蔭の切り込み隊長として対戦相手の脅威に。自慢の快足で一気にホームまで駆け抜けたランニングホームランは今大会のハイライトシーンのひとつだ 【写真は共同】

 西谷浩一監督が力のある選手が揃っていると話す大阪桐蔭の外野陣の中でも、最も強いインパクトを残した。

 特に素晴らしいのがその脚力で、神村学園戦でのランニングホームランではベース1周が14.51秒とプロでもトップクラスのタイムをマーク。体つきは細身だが長打力もあり、3試合で5割を大きく超える打率を残した。また昨年までは投手も務めていただけあって、ライトから見せる強肩も素晴らしいものがある。もしプロ志望ということになれば、高い順位での指名も狙えるだろう。

正林輝大(神村学園/3年/外野手)

作新学院との初戦ではプロ注目の右腕・小川から本塁打を放ち、続く大阪桐蔭戦では3安打。強肩、足の速さでもアピールした 【写真は共同】

 昨年夏の甲子園でも4番打者として4割を超える打率を残したが、そこから走攻守全てにおいてレベルアップした姿を見せて、大きく評価を上げた。

 打撃では2試合でホームランを含む5安打をマーク。どのコースにもスムーズにバットが出るスイングの軌道は理想的で、打球の速さと飛距離も申し分なく、新基準のバットの影響を全く感じさせなかった。また脚力と肩の強さも高水準で、2盗塁を決めるなど走塁に対する意識も高い。好素材が揃う外野手の中でも、総合力ではナンバーワンと言えそうだ。

モイセエフ ニキータ(豊川/3年/外野手)

低反発バットもなんのその、阿南光の好投手・吉岡から豪快な一発。トータルでは5打数1安打だったが、その1本のインパクトは強烈だった 【写真は共同】

  チームは1回戦で敗れたものの、大会第1号となるホームランをライトスタンドに叩き込み、しっかりと足跡を残した。

 なによりも魅力なのが豪快なフルスイングで、ヘッドスピードの速さとインパクトの強さは圧倒的。高々と打ち上がったファーストへのファウルの滞空時間は6秒を超えた。縦の変化球への対応には少し課題があるが、甘く入ったボールをヒットではなくホームランにできるというのはさすがというほかない。守備、走塁がさらにレベルアップすれば、上位指名も見えてくるだろう。

福田修盛(阿南光/3年/外野手)

 3試合で3安打とそれほど目立つ数字を残すことはできなかったが、随所にポテンシャルの高さを見せて評価を上げた。よく鍛えられた体格で、軽く振っているようでもヘッドの走るスイングは迫力十分。特に2回戦で放ったスリーベースはあっという間にライトの頭を越える強烈な打球だった。守備ではセンターから度々好返球を披露するなど、打つ以外のプレーのレベルも高い。

 昨年秋からの成長は著しいものがあり、プロ志望であれば支配下指名も十分にある位置まで浮上してきたという印象を受けた。

(企画・編集/YOJI-GEN)

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著者プロフィール

1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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