健大高崎、悲願の日本一へ 今度は甲子園で嬉し涙を流す
今年の健大高崎は主将の箱山(左端)をはじめ好選手が揃う。チームのまとまりもよく、初の全国制覇を果たすだけの力はある 【YOJI-GEN】
泥臭く、気持ちを全面に出して戦う
遠征後に復帰を果たしたが、秋季県大会のシード権がかかった西毛リーグの初戦で東農大二に7-8で敗れ、ノーシードからセンバツを目指すことになった。
「足元を固める時期に、キャプテンである自分が離脱して、いい入りができなかったことがシードを逃した原因。負けてからは危機感がチーム全体に生まれて、『泥臭く、気持ちを前に出して戦おう』と言い合うようになりました。自分たちの代は『能力の高い選手が集まった』と言われていたんですけど、それだけでは勝てない。能力があるからこそ、ほかのチームよりも強い気持ちや気迫を全面に出していく」
影響を受けたのが、4つ上の兄(直暖)がプレーしていた福島・聖光学院のチーム作りだ。兄から斎藤智也監督の話を聞いたり、本や記事を読んだりするなかで、勝てる集団に必要なことを感じ取った。
「勝って泣けるチームになろう」を合言葉に
四番でキャッチャー、そして主将を務める箱山は、仲間からの信頼も厚いチームの大黒柱だ。昨年のセンバツでも正捕手としてプレーした 【写真は共同】
この勢いのまま群馬大会を制すると、関東大会準々決勝では中央学院に逆転勝ち。勝利の瞬間には箱山、森山竜之輔ら、主力選手の目に嬉し涙が見えた。
「日頃から何事も本気でやってきて、『勝って泣けるチームになろう』とみんなで言い合ってきました。でも、それがどういうチームなのか、自分たちもわからないまま戦ってきたんですけど、中央学院に勝ったあとには自然に涙が出てきて。自分たちがやってきたことは間違っていなかったと実感できた試合でした」
プレー面だけでなく、リーダーシップにも優れ、仲間からの信頼も厚い箱山。江戸川中央シニア時代からのチームメイトで、寮では同部屋でもある森山は、笑いを交えながら語る。
「普段は“構ってほしいタイプ”で、よくちょっかいを出してきます。たぶん、人とずっと喋っていたい性格なんだと思います。独り言も多い(笑)。それが、グラウンドに入ると一気にスイッチが入って、ミーティングでもいつも気持ちが入るようなことを言ってくれる。本当にすごいやつです」