【インタビュー】生けるレジェンドリリーバーの背中を追いかけて 河野竜生「50試合登板を続けてこそ一流」

前田恵

昨季河野は自己最多の50試合に登板し20ホールドを挙げた。今季も不動のセットアッパーとしての活躍が期待される 【写真:山下隼】

 2023年、プロ4年目にして初めてリリーフ一本でシーズンを終えた。登板50試合のうち、後半20試合で失点したのはわずか2試合。セットアッパーとして、7回のマウンドに君臨した。昨季は本拠地エスコンフィールドHOKKAIDOで23試合に登板、防御率1.64と、ビジターゲームより好成績を残している。それを後押ししたのは、ファンの大声援だった――。(取材日:3月6日)

「エスコンのファンの応援が力になる」

――グラウンドで戦う選手として、ピッチャーとして、エスコンフィールドの魅力をどこに感じていますか?

 とにかくファンとの距離が近いことですね。1球1球、リアクションしてくださるのがよくわかって、とても嬉しいし、何より励みになります。苦しい場面での……例えばスリーボールになったときなどの、ファンの「頑張れ」という声や拍手には、いつも本当に勇気づけられています。エスコンの距離だと、ファンの皆さんの表情まで結構はっきり見えるんですよ。札幌ドームはスタンドが高かったので、そこまでよく見えなかった。ホームならではの演出も素晴らしく、選手としてはモチベーションの高まりやすい球場だと思います。

――北海道のファンの皆さんは優しいですよね。

 そうなんですよ。プロの世界だから厳しいことを言われても当然なのに、ファイターズのファンはどんなときでも拍手をして励ましてくれる。それが間違いなく僕らの力になっています。

――ブルペンのすぐ後ろと横に、「ブルペンシート」と呼ばれる観客席があります。ブルペンで準備しているとき、ファンの視線は意識しますか?

 あれだけ近いので「見られているな」とは感じますが、意識はしていません。というのもブルペンに行く前は室内のモニターで試合を見ていて、(出番に備えて)いざ「肩をつくる」「体を動かす」というところでブルペンに入るので、そこでオフからオンに切り替えていますから。(ブルペンに入っての)ウォーミングアップの段階で、アドレナリンのようなものが出ていて自分自身、熱くなってくる感覚があります。

――ブルペンでのルーティンはありますか?

 毎試合、決まったルーティンがあるというか……自然と同じ流れになりますね。ブルペンに入ったらある程度、自分が納得するぐらい投げて、一回休みます。登板のときは、味方の攻撃が終わってチェンジになるタイミングでキャッチャーに座ってもらい、2球投げて水を飲み、ブルペンを出ます。最後の2球は、実際試合のマウンドで投げるぐらいの気持ちで投げています。そこまでブルペンで肩をつくっているときとは、また違う雰囲気を出していると思いますよ。

昨季を経て見えてきた目指すべき目標

ブルペンで精力的に投げ込みを行う河野。1年間戦うための体力強化はできていると自信をのぞかせる 【写真:山下隼】

――2024年バージョンの河野投手は、去年とどんなふうに変わっているのでしょうか?

 球種を含め、23年と「ここを変えた」という部分は特にありません。ただ昨季1年間投げてみて、リリーフとして1シーズン投げ続けることの厳しさがよくわかりました。とりわけシーズン終盤は体力勝負になってくるんですが、昨季はそこが結構きつかった。でもポストシーズンのことを考えると、去年のままでは大事な試合で(レギュラーシーズンと)同じパフォーマンスが出せるかと言われたら難しいだろうなと思いました。そこでオフの間に、今年1年間――開幕から日本シリーズの第7戦まで同じパフォーマンスができるように体力強化、筋力強化を行ってきました。走ってウエイトトレーニング、という基礎的なところが中心ですが、自分なりに強化できたのではないかと思っています。

――リリーフ投手は毎日のように試合に備えなければなりません。そのあたりのメンタル面は、どう考えていますか?

 結果に一喜一憂しすぎると、リリーフはやっていけないなと思いましたね。打たれてもすぐ次の日に投げなければならないこともあるし、抑えてホッとしても、次の日に打たれたら意味がない。打たれても抑えても、投げ終わったらすぐ次の日の準備をするよう、時間をつくっています。打たれたとき、実際落ち込むには落ち込むんですよ。でも今は打たれたら「ああ、きょうはこうなる運命だったんだな」くらいに思えるようになってきて、だいぶ割り切ってマウンドに上がれるようになりました。とにかく「次の日やり返せばいいんだ」と、それほど引きずることなくパッと切り替えができているので、そこは自分のメンタル面での強みかなと思っています。

――1年を通して何十試合も投げる、それを何年も続けていくことで、リリーフ投手の評価はグンと上がりますが……本当、大変なことですよね。

 はい、でもファイターズには宮西尚生さんという素晴らしい見本がいらっしゃいますから。僕は昨季初めて50試合に登板しましたが、宮西さんは14年連続して50試合以上を投げてこられました。宮西さんのように50試合以上の登板を何年も続けてこそ、一流のリリーフ投手といえる。いくらいいピッチャーでも、例えばケガをして1年で終わってしまっては、チームに貢献できません。心身ともに健康で、常にコンディションを整えて、毎年同じパフォーマンスを発揮する。宮西さんの境地まで行けるかどうかは分かりませんが、そこは目標にして、去年1年で終わらないように頑張りたいと思います。

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著者プロフィール

1963年、兵庫県神戸市生まれ。上智大学在学中の85、86年、川崎球場でグラウンドガールを務める。卒業後、ベースボール・マガジン社で野球誌編集記者。91年シーズン限りで退社し、フリーライターに。野球、サッカーなど各種スポーツのほか、旅行、教育、犬関係も執筆。著書に『母たちのプロ野球』(中央公論新社)、『野球酒場』(ベースボール・マガジン社)ほか。編集協力に野村克也著『野村克也からの手紙』(ベースボール・マガジン社)ほか。豪州プロ野球リーグABLの取材歴は20年を超え、昨季よりABL公認でABL Japan公式サイト(http://abl-japan.com)を運営中。

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