プロ野球12球団戦力分析(2024)

得点力不足を補うべく補強敢行の中日 強みとなるリリーフ陣を武器に、台風の目になれるか

データスタジアム株式会社

オフには中田(左)ら、実績のある選手を中心に野手の補強に着手。2年連続の最下位から巻き返しなるか? 【写真は共同】

 いよいよシーズン開幕が目前となったプロ野球。1934年の日本プロ野球誕生から90周年のメモリアルイヤーとなる今季、覇権を奪うのはどのチームになるだろうか。春季キャンプ、練習試合を含めた実戦を経て、各チームとも一軍メンバーが固まりつつあるが、もちろん1年間を戦うには開幕一軍入りを逃した選手の存在や若手の突き上げも必要不可欠だ。そこで今回のコラムでは各チームの昨季の「ポジション別得失点貢献」をもとに、新シーズンを戦ううえでのポイントや展望を確認していきたい。貢献度に使用する選手評価は、野手の打撃をwRAA(Weighted Runs Above Average)、守備にはUZR(Ultimate Zone Rating)。投手はRSAA(Runs Saved Above Average)を用いている。いずれもリーグ内の平均的な選手と比較して、打撃・守備・投球でどれだけ得失点に貢献しているかを示した指標であり、本稿ではそれぞれ同一ポジションの平均的な選手と比較している。なお、RSAAの計算式で使用される失点率は実際のものではなく、守備の影響を排除したtRA(True Run Average)を使用している。

 今回、評価に活用した2つの指標(wRAA、RSAA)は、スポーツナビがプロ野球の週間MVPを選出する企画でも活用しており、指標の解説を以下リンクから確認できる。

※本文は2024年3月14日時点の情報をもとに執筆。

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上位進出には先発4番手以降の躍進が不可欠か

中日投手:2023年得点貢献度 【データスタジアム株式会社】

 昨季の得点貢献度が14.8とプラスを生み出した先発陣。ただ、リーグ内順位を見ると4位になっており、今季はさらなるレベルアップが求められる。その先発陣を引っ張る存在として期待されるのが、昨季はともに3年連続となる規定投球回をクリアした小笠原慎之介と柳裕也だ。左右の両輪が1年間を通して安定したピッチングを披露することが、上位進出に欠かせない条件となる。昨季の投手陣でチームトップの得点貢献度を記録した髙橋宏斗は、先発の軸を担うのは当然のこと、個人タイトルを獲得するようなパフォーマンスを見せてほしいところ。

 この三本柱に続いて、ローテーション定着の期待がかかるのが根尾昂。ここまでの練習試合、オープン戦では順調にイニング数を伸ばしてきた。一方、その実戦で結果を残せず二軍調整に回った仲地礼亜も、制球力など課題を改善してチャンスをつかみたい。そしてチームには若手以外の先発候補も多い。昨季トミー・ジョン手術からの復帰を果たした梅津晃大は、力強さを増した速球を武器に大輪の花を咲かせるか。さらに左肘手術からの復権を目指す大野雄大、昨季はローテーションの一角を担った涌井秀章の仕上がりも順調で、途中加入だったメヒアも今季は年間を通した働きが求められる。加えて、育成選手ながらキャンプ一軍スタートで実戦の先発機会も与えられた松木平優太は、二軍で結果を残し続けて一軍の先発枠に割り込めるか。

絶対的守護神を中心とした強力なリリーフ陣

絶対的な守護神であるマルティネスを中心に、リリーフ陣はリーグ屈指の陣営を誇る 【写真は共同】

 リーグトップの得点貢献度27.3をマークした救援陣は、今季もチーム最大の強みになるだろう。その中心的存在は2年連続で防御率0点台と30セーブをクリアしているマルティネスだが、守護神にバトンをつなぐ役割を担う選手にも好投手がそろう。昨季のこの時期は育成ルーキーだった松山晋也は、6月に支配下登録を勝ち取ると、一軍では36試合の登板で防御率1.27をマーク。そして今春には侍ジャパン入りと、一気にジャンプアップを果たした。実績十分の清水達也と藤嶋健人は今季もフル回転の働きが求められ、昨季からリリーフに転向して50試合に登板した勝野昌慶の調整も順調そのものだ。

 他にも6月にトレードで加入した左腕・齋藤綱記、入団から10年連続30登板をクリアしている祖父江大輔、現役ドラフトで加入の梅野雄吾、キャンプは二軍スタートながら実戦でアピールを重ねたドラフト5位ルーキー・土生翔太など、さまざまなキャリアを過ごしてきた投手が一軍枠を争う。また育成選手の中でも、大けがからの復活ロードを着実に歩んでいる岡田俊哉、2月の対外試合で実戦復帰を果たした岩嵜翔といった実績組の再起も待たれるところだ。

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日本で唯一のスポーツデータ専門会社。 野球、サッカー、ラグビー等の試合データ分析・配信、ソフト開発などを手掛ける。

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