MLB公式記者が選ぶ2023年の世界の野球ニュース・ベスト10 千賀の活躍、アクーニャの大記録を抑えての1位は?
千賀滉大はMLB移籍1年目で12勝7敗、防御率2.98の好成績を残した 【Photo by Megan Briggs/Getty Images】
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千賀を「通常の年なら新人王」と評価
10位:ピッチクロックの導入
9位:ヨーロッパ選手権決勝
8位:ルイス・アラエス(マーリンズ)の活躍
7位:千賀滉大(メッツ)のルーキーシーズン
6位:韓国 チェ・ヒョンウが通算打点で国内記録更新
10位にピッチクロックの導入を挙げ、「野球を変えた」と話したが、実際、試合時間が大きく短縮された。今季の平均試合時間はおよそ2時間40分で、昨季と比較して24分短縮された。21年に過去最長の3時間11分を記録しており、それから約30分も短くなった。平均試合時間が2時間45分を切ったのは、1985年以来。今年、試合時間が3時間30分を超えたのはわずか9試合。過去最多だったのは21年で390試合。もう、比較にならない。
クレア記者は、「ピッチクロックにより、失われていたものが戻ってきた。例えば60年代や80年代の野球がまた見られるようになってきた」と好意的だった。
今年から牽制の回数が制限され、それも試合時間短縮に繋がったが、ピッチクロックの影響で投手の故障が増えたといった主張もあり、マックス・シャーザー(レンジャーズ)らは反対派だ。大量失点のイニングが増えたのも、投手がピンチで十分に呼吸を整えることが出来ないからではないか、と指摘されている。
9位は、ヨーロッパ選手の決勝。スペインが英国を下したが、なんと、オランダ、イタリア以外が優勝したのは1967年(ベルギー)が最後とのこと。クレア記者は、「各国の実力が拮抗してきた」と指摘する。
「これまで決して強豪国ではなかったスペインと英国が決勝で戦ったことがそれを証明する」
野球のグローバル化が、こんなところからも伺えた。
千賀滉大の活躍が7位にランクイン。クレア記者によれば、「千賀は過小評価されている」とのこと。オールスターにも選ばれたが、メッツが早々にプレイオフ争いから脱落したことなどがその一因といえるが、他の日本人選手の影に隠れてしまったという側面もあるよう。
「大谷があまりにもすごかったし、山本由伸の移籍の噂も大きな話題だった。佐々木朗希の話も盛り上がった」
いずれもWBCと関連しているが、千賀はそのWBCに出場しなかった。それはシーズンへの適応を優先した結果だが、その選択は間違っていなかった。今年は、ダイヤモンドバックスのコービン・キャロルが圧倒的だったことで、惜しくも新人王を逃したが(2位)、「通常の年なら新人王を取っていただろう」とクレア記者は話す。実際、そうした評価は少なくなかった。
「千賀の契約はバーゲンに近い(5年総額、7500万ドル)。メッツはいい契約をしたと思う」