【リーグワン戦士「青春」を語る】東芝ブレイブルーパス東京・眞野泰地、今も活きる「頭を使うラグビー」

斉藤健仁

リーグワンの開幕戦からスタメンに名を連ね、チームを支える眞野。高校3年時に制した「花園」を中心に当時を振り返る 【(c) TOSHIBA BRAVE LUPUS TOKYO】

 3シーズン目を迎えているリーグワンで、好調を維持する東芝ブレイブルーパス東京。その好調なチームで12番を背負い、気を吐いているのがCTB眞野泰地選手だ。奈良・生駒少年ラグビークラブで小学1年からラグビーを始め、中学から東海大仰星(現・東海大大阪仰星)に入学。高校時代はFLとしてプレーし、キャプテンも務めて東海大仰星を高校「3冠」に導いている。優勝した「花園」こと全国高校ラグビー大会を含め、高校時代の思い出を振り返ってもらった。

細部まで考えられた「日本一」の練習

――眞野選手は東海大仰星の中等部から高等部に進学しました。

眞野 中学からラグビーに専念したいと思っていましたが、地元の中学にはラグビー部がありませんでした。そこで、ちょうど実家の前から仰星へのスクールバスが出ていたこともあり、入学を決めました。3学年上の兄(拓也・丸和運輸機関)も僕が仰星に入学を決めると、高校から入学しました。

――中学時代はどのようにラグビーに取り組んでいたのですか。

眞野 今も指導しておられる能坂(尚生)先生が、中学3年のときに着任されました。中学と高校は同じ練習をするので、当時は土井(崇司・現東海大相模校長)先生もいらして、高校の湯浅(大智)先生にも見てもらっていましたね。今は何度も全国優勝していますが、僕らの頃はあまり強くなくて、近畿大会2位というのが最高成績でした。小学校、中学校まではスタンドオフでした。

――高校ではフランカーとしてプレーしました。

眞野 チーム事情というか、同期で見て、フォワードにラグビー理解力があったり、ボール動かせたりする選手が必要だなと思っていて「自分がやろう」と思いました。高校1年の最初はスタンドオフをやっていたんですけど、途中からフランカーになりました。

 ただ、最初は全然ダメでした。高校1年のときの3年生は花園で優勝した代でしたが、主将の野中翔平さん(花園近鉄ライナーズ)とか、野口竜司さん(埼玉パナソニックワイルドナイツ)らがいて、なかなかレギュラーには絡めず、花園は最後の最後まで選ばれませんでした。スタンドで先輩たちの優勝を見ていて悔しい気持ちもありましたが、まだ1年だったので優勝の喜びのほうが大きかったですね。高校2年のときは、準々決勝で東福岡に負けてベスト8でしたが、高校3年で優勝することができました。

――高校の練習で一番記憶に残っていることはありますか。

眞野 仰星の練習はすべてが考えられていて、めちゃくちゃ頭を使うラグビーをするんです。東海大学を経て東芝ブレイブルーパス東京に入った今でも、仰星のラグビーはレベル高いと思うし、日本一の内容だったと思っています。練習の組み立てとか、練習の中で選手が考える内容とか、本当にレベルが高かったです。

 例えば、今はどこのラグビーも“ポッド”という言葉もあるように、選手の役割が決まっています。でも、仰星のラグビーは選手の役割が特に決まっていなくても、グラウンドのどこにボールがあるか、相手がどこにいるかなどで全員が判断して、ボールを動かしていく。決まった役割があまりない中でも、あれだけのラグビーができるのは、卒業してもあらためてすごいと思います。

――湯浅監督が年間計画をしっかり立てて指導していた影響もありますか。

眞野 そうですね。湯浅先生もやるし、選手自身でゲームを想定したミーティングを練習が終わったあと、4時間ぐらいやるときもありました(苦笑)。そういうことの積み重ねがグラウンドに出ていたのかな、と。また、高校だけでなく中学生もいつも一緒に練習しているので、お互いに刺激をもらっていたし、いい関係になっていました。基本的には選手から選手に伝えていくので、理解度がより高まっていくんじゃないかなと思います。

――東海大仰星は花園での優勝が6回、リーグワンの選手も多く輩出しています。卒業後に教育実習でも行ったそうですが、湯浅先生の指導のよさはどういったところでしょうか?

眞野 根本的にいい人ですし、熱い気持ちを持っていますね。そこがすごく大事だと思います。どれだけいいことを言っていても、心がなかったり、伝えられる人じゃなかったら伝わりません。湯浅先生が持っているラグビーに対しての熱とか、人間的な素晴らしさが一番いいところで、その上に選手のラグビー理解度があるので、仰星が弱くならない、崩れないのかなと感じています。

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著者プロフィール

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーとサッカーを中心に執筆。エディー・ジャパンのテストマッチ全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」、「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「ラグビー「観戦力」が高まる」(東邦出版)、「田中史朗と堀江翔太が日本代表に欠かせない本当の理由」(ガイドワークス)、「ラグビーは頭脳が9割」(東邦出版)、「エディー・ジョーンズ4年間の軌跡―」(ベースボール・マガジン社)、「高校ラグビーは頭脳が9割」(東邦出版)、「ラグビー語辞典」(誠文堂新光社)、「はじめてでもよく分かるラグビー観戦入門」(海竜社)など著書多数。

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