【リーグワン戦士「青春」を語る】東芝ブレイブルーパス東京・眞野泰地、今も活きる「頭を使うラグビー」

斉藤健仁

喜びより寂しさが大きかった花園V

3年時の花園の決勝でプレーする眞野(中央)。自身もトライを挙げて優勝に大きく貢献した 【写真/斉藤健仁】

――高校時代で最も印象に残っていることはなんでしょうか。

眞野 学年ミーティングとかを回数多くやりましたが、選手同士が本音でしゃべり合うんです。時にはぶつかり合いも起きましたが、そういうのを繰り返していく中で、チームの絆も深まっていきました。“なんとなくの関係”じゃなくて、本当に勝ちたいと思える集団になっていったので、そういった意味でもミーティングはいい思い出です。

 試合だと、(3年時の花園の)桐蔭学園(神奈川)との決勝よりも、京都成章(京都)との準々決勝、東福岡(福岡)との準決勝のほうが記憶に残っています。決勝は自分たちの持っているものを出し切ってやり切るという感じでしたが、ベスト8、ベスト4のプレッシャーのほうが大きかったですね。負けたら、次の日からもう練習ができなくなるじゃないですか。みんなと最後まで一番長くラグビーするのが特別なことなので、自分たちが練習できる権利を懸けた戦いでした。準々決勝(17-10)も準決勝(24-22)も、最後の最後までわかりませんでした。でも、そこでミーティングとかで詰めてきた部分が出て、最後まで崩れずに勝てたので、すごく印象に残っています。

――準備としては、具体的に何を最もやったのでしょうか。

眞野 相手の分析をして、対策を立てて、やるべきことを出すという、この3つですね。毎回そうですが、前日は学校にみんなで泊まってそのまま試合に行くんです。今、考えたらありえないんですが、それも学生らしくてとてもよかったです。

 例えば決勝戦だと、対戦相手の桐蔭学園の1番から15番までの特徴を出し合って、全員がどういうプレーをするか、頭に入っていました。現在チームメイトの原田衛(HO)も出ていましたが、フッカーだったし1年生ということで衛にめっちゃプレッシャーをかけていましたね(苦笑)。

――前半、フランカーの眞野選手が2トライをあげて流れをグッと引き寄せました。

眞野 背負っているものが大きかったですし、なんとしても勝ちたい、自分たちの学年で絶対に日本一を取る、と思っていました。それを証明するためには勝つしかないので、みんなでやってきたことが間違いじゃなかったといえるように、体を張っていましたね。

 優勝したあとのロッカーでは、みんな喜びより寂しい気持ちが大きかったと思います。どう頑張ってもみんなともう練習できないし、一緒にやることができなくなったので。だから、あらためて思うのが、花園で優勝するためまでの過程で、切磋琢磨している時間が一番大切だったということです。優勝という結果は嬉しかったですが、みんなで一緒に練習していた時間のほうが大切だったなと今は思っています。

――高校時代の経験が今どのように活きていますか。

眞野 「ラグビーを考える」というところですね。フィジカルが強ければいいということじゃなくて、中学・高校時代から状況に応じて判断して必要なプレーをするということを何回もやってきたので、今も役立っていると思います。

――今季のリーグワンでは、東芝ブレイブルーパス東京も眞野選手も好調ですね。

眞野 一番大きいのはケガをしていないところですね。タックルのスキルアップやケガをしない体の使い方が今季はしっかりできているので、継続して試合に出られています。(新加入の)ニュージーランド代表のリッチー・モウンガ(SO)はラグビーのレベルも高いので、彼から学ぶことがたくさんありますが、彼もチームに来て間もないので、自分からも東芝ブレイブルーパス東京のラグビーを伝えています。すごくいい関係で、お互いに成長できていますし、チームとしてもレベルアップできていると思っています。

 チームの目標としては優勝です。キャプテンのリーチ(マイケル)さんを優勝させたい。個人としての目標は優勝に貢献することです。泥臭くハードワークするので、そういうところを見てほしいです。

――今大会に出場する後輩や選手へのエールをお願いします。

眞野 高校生活のほとんどすべてを懸けてきたラグビーで、出せることを全部出しきって結果を出してほしいですね。花園での時間はすごく充実しているし、本当に中身の濃い時間なので、その緊張感も楽しんで、思いっきりプレーしてほしいです。出場するチームによって状況や境遇は違いますが、自分の捧げてきた時間をぶつける場所だと思うので、悔いのないように、ハードワークしてもらえたらなと思います。

――ラグビーファンには花園のどんなところを楽しんでほしいですか。

眞野 リーグワンは負けても次の試合、次のシーズンはありますが、高校ラグビー、大学ラグビーは負けたら次の試合、次のシーズンがありません。限られた時間の中の緊張感や、そこで生まれるドラマを楽しんでもらえたらいいですね。

眞野泰地(まの・たいち)

1997年6月1日生まれ、奈良県出身。小学1年時からラグビーを始め、東海大仰星(現・東海大大阪仰星)中・高でプレー。高校3年時にはキャプテンとして「花園」を制したほか、高校3冠を達成。その後、東海大を経て2020年に東芝ブレイブルーパス(現・東芝ブレイブルーパス東京)に加入した。21年シーズンは脳振とうの影響で半年間プレーできない時期もあったが、今季は開幕戦からスタメン出場を果たしチームを支えている。ポジションはCTB(センター)。173センチ・87キロ。

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著者プロフィール

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーとサッカーを中心に執筆。エディー・ジャパンのテストマッチ全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」、「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「ラグビー「観戦力」が高まる」(東邦出版)、「田中史朗と堀江翔太が日本代表に欠かせない本当の理由」(ガイドワークス)、「ラグビーは頭脳が9割」(東邦出版)、「エディー・ジョーンズ4年間の軌跡―」(ベースボール・マガジン社)、「高校ラグビーは頭脳が9割」(東邦出版)、「ラグビー語辞典」(誠文堂新光社)、「はじめてでもよく分かるラグビー観戦入門」(海竜社)など著書多数。

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