勝てば年間3億5000万円超え! 古性優作が狙う歴代最多賞金 1億3700万円をかけた一発勝負「KEIRINグランプリ」

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1着賞金1億3700万円! ビッグドリームを目指し競輪界トップ9選手が12月30日KEIRINグランプリで一発勝負に挑む 【写真:中原義史】

 競馬の有馬記念、ボートレースのグランプリと立て続けに1年を締めくくるビッグレースが終わったが、公営競技のクライマックスはまだまだこれから。12月30日には競輪の総決算「KEIRINグランプリ」が東京・立川競輪場で開催される。

 1着賞金はなんと1億3000万円(副賞を含めると1億3700万円!)。これは公営競技の選手・騎手が1レースで獲得できる賞金としては日本で最高額であり、まさにビッグドリームをかけた一発勝負が年の瀬に行われるというわけだ。

 もちろん、これだけの高額賞金レースに出場するためには並大抵の成績ではお呼びがかからない。グランプリの出場資格が与えられるのは年に6回開催されるGIレースの勝者と、年間獲得賞金ランキングの上位者。つまり、グランプリに出場する9名は約2200名いる競輪選手の中の紛れもないその1年の「トップ9」であり、その9名によって争われるレースは文字通りの最強王者決定戦なのだ。
 今年、栄えあるグランプリ出場選手に名を連ねたのは以下の9名。いずれ劣らぬ“2023年競輪界の顔”が出そろった。

(1)古性優作(大阪/100期)3年連続3回目
(2)佐藤慎太郎(福島/78期)5年連続9回目
(3)松浦悠士(広島/98期)5年連続5回目
(4)眞杉匠(栃木/113期)初出場
(5)深谷知広(静岡/96期)6年ぶり6度目
(6)山口拳矢(岐阜/117期)初出場
(7)清水裕友(山口/105期)2年ぶり5度目
(8)新山響平(青森/107期)2年連続2度目
(9)脇本雄太(福井/94期)2年連続5度目

 そして、19日の記者会見で各選手が発表したラインの並びは以下の通りとなる。

近畿ライン:(9)脇本-(1)古性
北日本ライン:(8)新山-(2)佐藤
中国ライン:(7)清水-(3)松浦
単騎:(4)眞杉、(5)深谷、(6)山口

 特に大きなサプライズはなく、競輪ファンの大方の予想通りに収まったのではないか。また、注目の中国ラインは清水が前、後ろが松浦という並びになった。

GI年間3勝の古性、昨年GP覇者の脇本が今年もタッグ

年間3億5000万円超え、そして歴代最多獲得賞金も見えてきた古性が1年を締めくくる走るを見せるか 【写真:中原義史】

 中心となるのはやはり近畿ライン、そして賞金王に最も近い位置にいるのが1番車の古性優作だろう。一昨年のグランプリ覇者で、今年は全日本選抜、高松宮記念杯、寛仁親王牌と、1997年神山雄一郎以来となる史上6人目のGI年間3勝を達成した。これにより年間の獲得賞金額は現在2億2307万6500円にまで上り1位を独走。もしグランプリを勝てば史上2人目の年間3億円超えのみならず、昨年に脇本が記録した3億584万2300円を抜き歴代トップとなる。

「今年は年頭から脇本さんに助けていただいて、またファンの皆さん、家族に支えられてしっかり走れた1年だったと思います。競輪祭が終わった後は脇本さんともしっかりトレーニングしましたし、いい感じで練習ができているのかなと思います。今年も脇本さんとワンツーを決められるようにしっかりと援護していきたい」

 古性が語ったように今年も脇本の番手から勝負駆け。昨年は脇本の強烈な捲りのスピードに1/4車輪及ばず2着だったが、今年は最強のオールラウンダーとして強さを見せた1年を象徴する縦横無尽の脚でV奪還を目指す。

GP連覇を狙う脇本、骨折の影響は気になるものの不死鳥のような復活を期待したい 【写真:中原義史】

 その古性の前で自力勝負をする脇本雄太は昨年のグランプリ覇者であり、競輪界の絶対エースとして君臨してきた。GI通算7勝は出場メンバー最多を誇り、自転車競技とも両立して2016年リオデジャネイロ、2021年東京と2大会連続でオリンピックにも出場。自転車競技を引退し競輪に専念した昨年はグランプリ優勝のほかGIも2勝し、史上初の年間獲得賞金3億円超えを達成した。しかし、今年は年明け早々にGIIIを連勝するなど絶好のスタートを切ったものの、8月のGIオールスターで落車。「自分の競輪人生の中でも類を見ない大きな怪我」という右肩甲骨骨折、右肋骨骨折の重傷を負い、下半期は苦しい戦いを強いられた。

 それでも賞金ランク8位でグランプリ出場権を獲得。今年の下馬評では後輩・古性に主役を譲るものの、全開となればその脚力は競輪界随一だ。

「競輪祭のあとは疲労が溜まっていたので休みを多めにとって、翌週からはしっかりとトレーニングができています。去年もこの車番でワンツーできたので今年もワンツーできるように一生懸命頑張りたい」

 福井のシンボルである“不死鳥”のような復活劇を期待するファンも多いだろう。昨年と同様に後方から捲り一発勝負にかけるのか、それとも今年は自ら主導権を取って先行で駆けるのか。脇本の動きが勝負を大きく左右することは間違いなさそうだ。

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最年長V狙う47歳・佐藤、新山は先行一本勝負か

47歳の大ベテラン・佐藤がGP最年長Vを狙う 【写真:中原義史】

「立川競輪場はグランプリを優勝した思い出のバンクですし、特別な思いがありますね」

 そう虎視眈々と2度目のグランプリVを狙っているのが、北日本の大ベテラン・佐藤慎太郎だ。13年ぶりの出場となった2019年の立川グランプリで初優勝。大怪我による低迷期を乗り越え、歴代2位の高齢記録となる43歳1カ月での劇的Vは大きなニュースにもなった。そして佐藤がすごいのはその一発で終わるのではなく、それから年齢を重ねた今でもトップの力を維持しグランプリに継続出場ていること。今年は賞金ランキング4位で5年連続9度目の参戦となった。47歳の今年、勝てばもちろん歴代最年長V記録を更新する。

「60歳までS級、70歳まで現役で頑張りたい」と意気込む鉄人にとってはまさに今が最盛期なのかもしれない。

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代名詞のつっぱり先行で今年も新山が主導権を奪うか 【写真:中原義史】

 後ろの守りを佐藤に任せて北日本ラインを引っ張るのは、賞金ランキング9位で昨年に続き2度目の出場となる30歳の新山響平だ。昨年は競輪祭でGI初制覇を達成し、グランプリも初出場。それにより今年は競輪選手の最高格付けである「S級S班」9名の一人として臨んだ初めてのシーズンだったものの「年初はSSのプレッシャーに負けていたところがあった」。ただ、ビッグレースの優勝こそなかったが、9月のGII共同通信杯2着などがあり「うまく挽回できて後半は持ち直してきた」と尻上がりの状態アップに手応えを感じている。

「つっぱり先行でGI、グランプリを獲ること」を目標としており、先行意識は出場9名の中で一番だろう。今年も昨年同様に、そして宣言通りに新山が先行一本勝負に打って出るか。

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