“最強”サトミナvs.“女王”児玉碧衣、2トップ頂上決戦! 24歳新星にも注目の12.29競輪「ガールズグランプリ」

スポーツナビ

ガールズケイリンの頂上決戦「ガールズグランプリ」が12月29日に立川競輪場で開催される 【写真:中原義史】

 競輪の“最も熱い3日間”が今年もやってくる――「KEIRINグランプリ2023」シリーズが12月28日(木)~30日(土)の3日間、東京・立川競輪場で開催。28日は若手選手のナンバーワン決定戦「ヤンググランプリ」、29日は女子王座決定戦「ガールズグランプリ」、そしてオオトリの30日に行われるのは優勝賞金1億3700万円をかけた頂上決戦「KEIRINグランプリ」だ。

 競輪選手の誰もがこの年末の総決算を目指し、1年間走り続けてたどり着いた夢の舞台。“メインレース”であるKEIRINグランプリの前にまず、今年で12回目を迎えるガールズグランプリにスポットを当てたい。

2023年はガールズケイリンの“改革元年”

 女子選手による競輪はかつて昭和の時代、1949年~1964年にかけて開催されていたものの、人気の低迷などによりいったんその幕を下ろした。しかし、2012年7月1日に「ガールズケイリン」として48年ぶりに復活。その人気の熱は年々高まりを見せ、今年10月2日~4日に開催された「オールガールズクラシック(GI)」は3日間で30億円以上の総売り上げがあったことが大きなニュースにもなった。

 また、ガールズケイリンは2022年に10周年を迎えたことで、新たに「プロスポーツ競技のまんなかへ」というコンセプトを策定。リブランディングとともにさらなる競技の発展とメジャー化を目指して、今年からガールズグランプリ(GP)を頂点とした新レース体系を確立し、それに伴い3つのGIレース(パールカップ、オールガールズクラシック、競輪祭女子王座戦)を創設するなど、2023年は“改革元年”ともいえる1年となった。

 その節目の年に好成績を収め、年間女王の座に王手をかけた7名のガールズレーサーは以下の通り。

(1)佐藤水菜(神奈川/114期)2年連続4回目
(2)児玉碧衣(福岡/108期)8年連続8回目
(3)梅川風子(東京/112期)3年ぶり4回目
(4)久米詩(静岡/116期)初出場
(5)尾方真生(福岡/118期)3年連続3回目
(6)吉川美穂(和歌山/120期)初出場
(7)坂口楓華(愛知/112期)2年ぶり2回目

パリ五輪でもメダル候補、最強女子・佐藤水菜

パリ五輪でもメダルの期待がかかる佐藤水菜、「最強」の走りをGPでも見せるか 【写真:中原義史】

 この中でも現在、「最強」と目されているのは1番車に決まった通称サトミナこと佐藤水菜だろう。

 スポーツファンの中には競輪選手としてよりも、自転車競技の選手としてその名前を見たことがあるかもしれない。世界選手権の女子ケイリンで2021年、22年と2年続けて銀メダルを獲得。また、ワールドカップにあたるUCIトラック・ネーションズカップでは今年初戦のジャカルタ、第2戦のカイロで優勝、さらに今年9月に中国で開催されたアジア大会でも女子ケイリン、女子スプリントで二冠を制するなど、数々のタイトルを手にしてきた。来年のパリオリンピックでも有力選手として大きな期待がかかる世界トップの実力者だ。

 ナショナルチームの活動と並行しているためにガールズケイリンの出場は多くはないものの、今季は出走した17レースで15勝・2着1回・3着1回とほぼパーフェクトな成績。新設GIオールガールズクラシックでも3走オール1着で完全優勝しグランプリの出場権をゲットした。

「今は沖縄で合宿中。グランプリに向けてしっかりと練習できています。このグランプリを走ってからしばらくはガールズケイリンの方はお休みになると思うので、『コイツは強かった』と言ってもらえるような走りができたらと思います」

 19日の記者会見でも堂々のV宣言が飛び出したサトミナ。昨年のGPは落車に巻き込まれる不運のアクシデントで不完全燃焼だった分、今年こそワールドクラスの「最強」の走りを見せてくれることを期待したい。

同じナショナルチームのメンバー・梅川風子は直近のGI競輪祭女子王座戦で優勝 【写真:中原義史】

 また、同じくナショナルチームに在籍している3番車の梅川風子は11月のGI競輪祭女子王座戦でその佐藤をゴール前で差し切って優勝し、グランプリ出場権を得た。ホームバンクは京王閣だが、東京支部に所属している梅川にとって立川競輪場はいわば“地元”。「グランプリは特別なレースですのでもちろん優勝を目指して走りたいですし、地元のお客さんに沸いてもらえるようなレースになればいいなと思います」と初のグランプリVに燃えている。

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GP3連覇の「女王」児玉碧衣、骨折から完全復活

児玉碧衣は3年ぶりのグランプリ奪回で女王の底力を示したい 【写真:中原義史】

 このナショナルチーム勢に立ちはだかるのは、2番車の児玉碧衣だ。2015年7月のデビューから5年1カ月の史上最速で通算獲得賞金が1億円を突破し、今年7月には史上最速で通算500勝を達成。そして、このガールズグランプリには史上2位となる8年連続8回目の出場となり、2018年~20年には前人未踏の3連覇を達成した。まさに競輪界の「女王」と言っていい。地上波などのメディアにも登場機会が多く、“ガールズケイリンと言えば児玉碧衣”と、その名前と顔を知っているスポーツファンも多いことだろう。

 昨年のグランプリでは人気を背負いながらも落車のアクシデントにあった上に、左鎖骨を粉砕骨折。わずか1カ月で復帰を果たしたものの、「初めて骨折を経験してどうなるのかと思いました」と本人が振り返ったように、不安の中でのスタートだった2023年序盤は精彩を欠く走りもあった。しかし、肩の状態が上向くとともに本来の走りが戻ってきた児玉は6月のGIパールカップで初代女王となり、誰よりも早くGP切符を獲得。さらに8月のガールズドリームレースではファン投票1位の声に応え、佐藤を下して見事に3度目の優勝を勝ち取り“復活”を印象付けた。

「なかなか成績を出せなかったレースもたくさんありましたが、(今年は)すごく自分を褒めてあげたい。立川バンクは2019年のグランプリで2連覇しているのでイメージはいいと思います。1年の集大成を見せられるように精一杯、優勝目指して頑張りたい」

 3年ぶりのグランプリV奪回、そしてまだまだ女王・児玉の時代は終わらないことをアピールしてみせるか。

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