勝てば年間3億5000万円超え! 古性優作が狙う歴代最多賞金 1億3700万円をかけた一発勝負「KEIRINグランプリ」

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今年こそVなるか、松浦&清水のゴールデンコンビ

GPでは清水と4度目のタッグとなる松浦、今年こその思いは強い 【写真:中原義史】

 連係の妙という点において近畿、北日本を上回るのが賞金ランク5位の松浦悠士と賞金ランク7位の清水裕友が組む中国ラインだ。競輪界屈指のゴールデンコンビとしてファンからの信頼が厚く、この2人の連係・連動で数々のビッグタイトルを制してきた。

 松浦がこれまでに勝ったGI・3勝のうち、初タイトルとなった2019年競輪祭は清水とのワンツーを決め、21年日本選手権も清水の先行に乗って番手から抜け出しV。また、20年全日本選抜では先行した松浦の番手から捲った清水が悲願の初GIタイトルを奪取している。

 このように松浦、清水のゴールデンコンビは毎回前後の並びが決まっているわけではなく、レースによって自在に連係。そのうえで2人して機動力を駆使してレースを制するという、まさにチーム戦でもある競輪の醍醐味を表現した戦いを展開している。

「立川は好きなバンク」と語る清水、どのような仕掛けをしてくるかにも注目 【写真:中原義史】

「(12月の別府で落車があったが)打撲もなく、擦過傷はまだちょっとありますが、練習は普通にできているので全然問題ないです。ヒロトに任せていきたいと思います」(松浦)

「立川は地元の次ぐらいに好きなバンク。松浦さんの前で精一杯頑張りたい。無欲で自分のレースができればと思います」(清水)

 グランプリで連携を組むのは4度目。過去3度は結果が出ていない分、今年こそはゴールデンコンビで競輪界の頂点を制圧したい。

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眞杉、深谷、山口の単騎3選手が“真の主役”に

 競輪は通常、3選手ずつに分かれた3つのラインが争う「三分戦」を基本としており、そのラインが4つ以上できると「細切れ戦」と呼ばれるようになる。今年のKEIRINグランプリで特徴的なのは3選手がそろうラインが1つもなく、しかもラインを組まない単騎が3選手もいること。つまり2対2対2対1対1対1の”六分戦”、細切れどころか超細切れ戦と言っていい。

 そうなるとあらゆる選手の動きを頭に入れ、想定しなければいけないために選手たちはもちろん頭脳をフル回転させて作戦を練っているだろうが、予想をするファンとしても頭が痛いところ。しかも、競輪はラインを組む方が有利であるのは間違いないが、グランプリともなると個の能力が高すぎるゆえに単騎でも十分にV圏内に突っ込んでくる。

 とすれば、今年のグランプリの“真の主役”は単騎の3選手、ということになるかもしれない。

今年GI・2勝、賞金ランキングでも2位、24歳の眞杉にとって今年は大きな飛躍の1年になった 【写真:中原義史】

 メンバー最年少、初出場となる24歳の眞杉匠は今年8月のオールスターでGI初制覇し、3カ月後の11月競輪祭も手中に収めてGI年間2勝。賞金ランクも古性に次ぐ2位と大躍進を遂げた、今最も勢いのある若手だ。機動力に優れ、競輪祭の優勝も単騎駆けだったことを思えばグランプリでも心配無用、要注意の惑星となる。

「オールスターの後があまり良くなかったのでいろいろな人に相談しながらセッティングなどを見て、それで競輪祭を優勝できたので良い流れで来られたかなと思います。競輪祭の後は宇都宮競輪場が改修で使用できなかったので、前橋に行ったり、合宿で仕上げてきました。単騎で、楽しんで走れればと思います」

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「平成の怪物」深谷が6年ぶりのGPカムバック、完全復活Vを期待するファンも多い 【写真:中原義史】

 賞金ランク6位で出場を決めた深谷知広は、今回が6年ぶりのGPカムバックとなる。2009年7月のデビューから無傷の18連勝でS級特進を決め、2011年6月には高松宮記念杯を制し史上最速となるデビュー618日目でのGI制覇を達成するなど「平成の怪物」の異名をとった。度重なる怪我、また自転車競技のナショナルチームでの活動を優先させたためにビッグレースから遠のいた時期もあったが、2020年に心機一転、南関東の静岡支部に移籍。21年秋からは競輪に専念するようになり、今年は9年ぶりのビッグレース制覇となるGII共同通信社杯Vで復活をアピールした。

「離れている期間、ずっとグランプリは目標にしていましたし、戻って来られたことはすごくうれしく思っていますので、しっかり戦う準備をしたい。立川は相性が良くて好きなバンク。今年1年間、南関の選手が力を合わせて押し上げくれたので、その思いも背負ってしっかり頑張りたい」

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デビューから3年半でGP初出場を果たした山口、偉大な父に一歩近づくVを目指す 【写真:中原義史】

 9選手中、最もデビューが遅い117期の山口拳矢は父が1998年、2011年のグランプリ覇者でもある山口幸二氏、祖父も元選手で叔父の富生も2002年高松宮記念杯覇者の現役選手という競輪一家に生まれた。2020年5月のデビュー戦から連勝街道を突き進み、翌年の共同通信社杯では史上最速でのGII優勝。そして今年5月の日本選手権を制しGI初決勝で初V、史上3組目となる親子GI制覇も達成した新星だ。振り返れば共同通信社杯も日本選手権も単騎でのVだった。それだけにこのグランプリでも大仕事をやってくれそうな予感が漂っている。偉大な父に一歩追いつく初出場初制覇なるか。

「オールスターまではいい調子でしたが、落車してからはレースのリズムに乗れなくて、1年の後半は良くなかったですね。(競輪祭の後は)なかなかレース間隔が1カ月空くことはないので自分のやりたい練習ができています。立川は100勝を決めたバンクなので縁起がいい。なるようにしかならないと思うので、迷うことなく1着だけ狙っていきます」

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 ラインの力を信頼するか、それとも復活なった深谷、あるいは勢いあふれる新世代の眞杉・山口ら単騎勢の一発大駆けに託すか――大乱戦となりそうな2023年KEIRINグランプリの発走は12月30日16時30分。競輪ファンはもちろんこの1年間の思いを乗せて、また普段は競輪を見ていないという人たちも1億3700万円をかけたトップ選手9名によるガチンコ一発勝負にぜひとも注目し、誰がチャンピオンとなるのかレースの行く末を見届けていただきたい。

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