GPファイナルメダリスト7名が出場する全日本選手権 昨季優勝の宇野昌磨・坂本花織に精鋭が挑む

沢田聡子

GPファイナル銀メダリスト宇野(左)、銅メダリスト鍵山(右)が優勝候補か 【写真:ロイター/アフロ】

2連覇がかかる宇野、完成度で勝負する鍵山

 世界選手権代表最終選考会を兼ねる全日本選手権は、長野・ビッグハットで12月21日から開幕する。シングルでは、男子・宇野昌磨、女子・坂本花織といずれも昨季世界選手権金メダリストが、ディフェンディングチャンピオンとして臨む。

 12月上旬に行われたGPファイナルで、男子では宇野が銀メダル・鍵山優真が銅メダル、女子では坂本が金メダル・吉田陽菜が銅メダルを獲得している。またジュニアGPファイナルでも、男子では中田璃士が金メダル、女子では島田麻央が金メダル・上薗恋奈が銅メダルを勝ち取った。ファイナルメダリスト7名に加え、ファイナル進出を逃し全日本に照準を合わせてきた選手達も上位進出を狙う。世界でも有数のハイレベルな国内選手権で、宇野・坂本の牙城を崩すスケーターは現れるのか、注目される。

 男子は、宇野、鍵山が有力か。宇野は表現力を重視する姿勢で今季を迎えたが、GPで鍵山やイリア・マリニン(アメリカ)、アダム・シャオ・イム・ファ(フランス)ら若手と競い、再び闘争心に火がついた。今季は4回転サルコウを入れない構成で臨んでいるが、それでもフリップ・ループ・トウループと3種類の4回転を組み込むプログラムは世界屈指の高難度を誇る。世界一といえる演技構成点も強みで、2連覇への期待が高まる。

 鍵山は左足首の怪我のため、昨季は国際大会への出場はかなわなかった。今季フランス杯では、まだマックスではない構成ながらシャオ・イム・ファ、マリニンに続く3位に入る。NHK杯では、ショートで4回転の本数をフランス杯の1本から2本に増やし、フリーでも磨いてきた表現力が光る滑りをみせて優勝。ファイナルでも、完成度の高い滑りで銅メダルを獲得した。一年前は万全ではない中で出場し8位に終わった全日本だが、今年こそは本領を発揮するだろう。

 ポテンシャル充分のダークホースが、三浦佳生だ。スケートカナダで2位に入り、フィンランド大会では初優勝して、2年連続となるファイナル進出を果たした。ファイナルでは胃腸炎のため公式練習に参加できない状況でフリーを迎えるが、GP2戦では封印していた4回転ループに挑む気迫をみせている。苦境にあっても全力で戦い抜いた経験は、全日本でも必ず生きてくるはずだ。

 ジャンプの天才・佐藤駿は、スケートアメリカ3位、フィンランド大会2位とGP2戦とも表彰台に立ったものの、惜しくもファイナル進出は果たせなかった。しかしルッツを含む4回転ジャンプの安定感に加え、今季は表現面での向上が著しい。本来の力を発揮できれば、激戦の全日本でも上位に食い込めるはずだ。

 GPではスケートカナダ・中国杯とも4位でファイナル進出を逃した友野一希だが、全日本にピークを合わせる力は昨季の3位という成績で証明済みだ。昨季世界選手権では6位という結果も残しているだけに、全日本で再び表彰台に上り、代表選考を勝ち抜きたい。

 昨季GPファイナル銀メダリストの山本草太はスケートカナダでGP初優勝を果たしたが、中国杯では6位に終わりファイナル進出はならなかった。昨季初出場したものの実力を出し切れず15位に終わった世界選手権でリベンジを果たすため、今年こそ全日本のメダルを獲得したいところだ。GPでは苦戦している島田高志郎にも、昨季銀メダリストとしての自信を持ち、全日本に臨んでほしい。

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著者プロフィール

1972年埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、出版社に勤めながら、97年にライターとして活動を始める。2004年からフリー。主に採点競技(アーティスティックスイミング等)やアイスホッケーを取材して雑誌やウェブに寄稿、現在に至る。

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