【現役ドラフト】データで見るセ・リーグ6球団の補強ポイント 球団初連覇へ挑む阪神に必要なピースは?
38年ぶりの日本一に輝いた阪神。盤石な投手陣など分厚い陣容となっているが、データから見る補強ポイントは? 【写真は共同】
※内容は2023年11月29日時点の情報をもとに執筆
※以下、選手の年齢は2023年12月31日時点
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また後述の選手名とポジションがマッピングされている画像の円は、橙色が得失点貢献でプラス、青色は逆にマイナスであり、円のサイズは数値の絶対値の大きさを示している。橙色の円が大きいほど貢献度が高いことを表す。
今回、評価に活用した2つの指標(wRAA、RSAA)は、スポーツナビがプロ野球の週間MVPを選出する企画でも活用しており、指標の解説を以下リンクから確認できる。
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【データ提供:データスタジアム】
2年連続で最下位に終わった中日は、攻撃陣へのテコ入れが必須だ。チーム本塁打数は5年連続でリーグワースト。各球団の本拠地で屈指の広さを誇るバンテリンドームをホームにしているとはいえ、二塁打数がリーグ5位だった点からも長打力が不足していることは否めない。また、今季のチーム代打打率が1割台と低迷しており、野手の選手層の薄さを示す結果だ。このオフはすでに中島宏之(元巨人)や上林誠知(元ソフトバンク)など一軍の実績がある選手を複数獲得しているが、慢性的にくすぶるチームの課題を改善するためにも、さらなる補強を検討したい。
以上のことから、中日にとって理想的な候補選手は、昨年度の現役ドラフトで自軍が獲得した細川成也のようなバッターだ。今回の現役ドラフトでも同様に、長打力のある選手に照準を定めたい。一方で投手陣に目を向けると、先発、リリーフともに陣容はある程度整っている。補強ポイントを挙げるとすれば、若手のサウスポーになるだろう。一軍の主力投手は右腕にやや偏っており、二軍でも20歳台前半の左腕が台頭しきれていないのが現状だ。この秋のドラフト会議で指名した新人投手も4人のうち3人が右投手であり、将来性のあるサウスポーも獲得候補に挙がるだろう。
【データ提供:データスタジアム】
主力選手の不振や離脱などもあり、リーグ3連覇を逃したヤクルト。補強ポイントとなるのは、チーム防御率リーグワーストを記録した投手陣だ。今秋のドラフト会議では1位で指名した専修大・西舘昂汰を筆頭に、複数の即戦力投手をチームに加えた。現役ドラフトでも投手の獲得を狙いたいところだが、最も必要とする先発投手は市場価値が高い。現役ドラフトの指名順は非公開となっているが、昨年の大竹耕太郎を獲得した阪神は12球団で3番目の指名だったとの一部報道がある。指名順で上位になるためには、他球団からの需要が高い選手を指名対象選手として提出する必要もあり、意図通りの補強ができるかは不透明な状況だ。
一方、野手陣には実績豊富な選手がそろっているが、その多くが中堅からベテランと呼ばれる年齢に差しかかっており、若手の台頭が望まれる。今季も山田哲人や塩見泰隆がコンディション不良で離脱した際、並木秀尊が活躍を見せたものの、レギュラー陣を脅かすほどの選手は現れなかった。長いシーズンを勝ち抜く上で控え選手の充実は不可欠であり、もし現役ドラフトで野手の有力候補がリストに残っていれば、獲得を考えても良いだろう。
【データ提供:データスタジアム】
2年連続でBクラスに沈み、阿部慎之助監督を中心とした新体制で来季の巻き返しを図る巨人。ポジション別の得失点貢献でも明らかなように、最大の弱点は救援陣だ。今秋のドラフト会議では最速155キロを誇る本格派右腕・西舘勇陽を1位で指名し、2位以下でも社会人左腕を2人確保。11月にはパ・リーグから高橋礼、泉圭輔、近藤大亮をトレードで獲得するなど、投手陣の拡充を精力的に進めている。今季セ・リーグを制した阪神は、非常に層の厚い救援陣を形成したことがチームの支えになっていた。リリーフの枚数は多いに越したことはなく、現役ドラフトでも投手の獲得を狙っていきたいところ。今季は救援陣が12球団ワーストの与四球を記録しており、コントロールに優れた投手はチーム内で重宝されるかもしれない。
野手に目を移すと、助っ人のブリンソンやウォーカーが期待に応えられなかったこともあり、外野は確固たるレギュラーが不在だった。とはいえ、秋広優人がブレークの兆しを見せたことに加え、浅野翔吾や萩尾匡也、今秋ドラフト3位の佐々木俊輔といった有望株が数多く控えている。こちらは投手に比べると、補強の優先度は低いだろう。