“通”たちが語る「奥深きスポーツ漫画の世界」

バレーボール日本代表、柳田将洋の『ハイキュー!!』愛 「現実の世界でも及川徹のようなサーブを」

田中夕子

クラブでは「自分の活躍度」も大切な要素

今秋の杭州アジア大会では、精神的支柱としてさすがの存在感を放ち、日本代表の銅メダル獲得に貢献。代表とクラブでのスタンスの違いについても語ってくれた 【写真は共同】

──プレーのお話も聞かせてください。10月14日にVリーグが開幕。その前に今シーズンは日本代表としてアジア大会にも出場し、銅メダルを獲得しました。

 アジア大会にキャプテンとして臨み、日本代表として銅メダルを獲ることができたのは、1つの成果ではあると思っています。ですが、僕はもともと日本代表は日本代表、クラブはクラブ、と分けて考えるタイプなんです。日本代表は国を背負って、日の丸を背負って戦っているので、自分がどうこうというよりもチームが勝つためにどうするかが、何よりも優先されます。

 もちろんクラブでも、チームが勝つためにどうするかを考えるのは一緒ですが、自分に向ける矢印もある。チームの勝利がゴールではあるけれど、その中で自分がどれくらいの活躍度を占めているかという部分も大事ですし、そこは勝負すべきところ。そのために周りを鼓舞することもあります。チームが勝つために試合に出ている選手、出ていない選手に関係なくコミュニケーションを取ることももちろんですが、まずは自分が活躍することが第一です。

 旭弘さんとも積極的にコミュニケーションを取って、自分が打ちやすいトスを上げてくれるようにいろいろと要求しています。旭弘さんとはアジア大会でも一緒でしたが、クラブではまたゼロスタートだと思っているし、そのほうがいい。たくさん話して、またここから積み上げていきたいと思っています。

──今シーズンから出身地のクラブでもある東京グレートベアーズでプレーしていますが、東京が拠点になったことで、より多くの方に柳田選手のプレーを見てもらえそうですね。

 そうですね。東京という場所にも、グレートベアーズというチームにも魅力を感じたうえで移籍を決断したので、これを生かすも殺すも自分次第。いい場所、いい環境でやらせてもらっているわけですから、あとは結果やパフォーマンスにフォーカスしてやるだけです。

『ハイキュー!!』を読んで足を運んでくれた人へ

『ハイキュー!!』を読んでバレーボールに興味を持ってくれた人たちのために──。柳田は「漫画を超えるクオリティを実際の試合で見せたい」と熱く話す 【YOJI-GEN】

──ホームゲームの開幕戦(10月21、22日のパナソニックパンサーズとの2連戦)も連日会場は満員。応援の力を感じるのはどんな時ですか?

 自分が持っている力を100パーセント出す。それを101パーセント、102パーセントにするのが会場の雰囲気や、ファンの方々の応援の声だと僕は思っています。1パーセント、2パーセントと言うと、ごくわずかのように思われるかもしれませんが、この差はすごく大きい。代々木第二体育館でのホームゲーム開幕戦でも感じましたが、たくさんの観客がいる最高の雰囲気の中で試合ができる幸せは、アスリート冥利に尽きるし、いつも以上に力を出せる気がしました。

 僕らがいいプレーを見せられれば、見に来た方々も「バレーボールって面白い」と、このスポーツの魅力をさらに感じてくれるかもしれない。一緒にバレーボールを盛り上げられると思うし、そのためにもっともっと自分はできる、という気持ちにもなりました。

──今シーズンはどんなプレー、どんな姿をファンに見せたいですか?

 『ハイキュー‼』の及川に負けないようなサーブを打ちます。彼は高校生ですけど(笑)。でも本当に、『ハイキュー‼』を読んでバレーボールを見てみたいと会場に足を運んでくださった方に、現実の世界でも及川のようなサーブが見られるんだと体感してもらいたいですね。

 僕たち東京グレートベアーズのホームゲームには、バレーボールの魅力が詰まっていて、1つのエンターテインメントとして楽しんでもらえる自信があります。僕自身も試合に向けてアップをしながら、「この雰囲気でバレーボールができるんだ」と、まるでショーが始まる前のような気分になったので、ぜひ試合会場に来て一緒に楽しんでいただきたいですね。

 スポーツ、バレーボールは見に来てくれる方々や関わってくれる方々に、選手からエネルギーを届けられるもの。僕たちの試合が、少しでも週末の楽しみになってくれれば嬉しいです。僕は及川のようなサーブをしっかり打ちますので、ぜひ会場へ足を運んでください!(笑)

柳田将洋(やなぎだ・まさひろ)

1992年7月6日生まれ。東京都江戸川区出身。身長186センチ・体重80キロ。東洋高校2年時の春高バレーに主将として出場し、優勝を果たす。卒業後は慶応義塾大学へ進学。3年時の2013年4月に、20歳で日本代表登録メンバーに初選出された。サントリーサンバーズでのVリーグデビューは15年3月14日。15-16シーズンのVリーグ最優秀新人賞に輝く。17年6月にはプロ契約選手としてドイツ・ブンデスリーガ1部のTVインガーソル・ビュールへ移籍。その後、ポーランドのクラブなどでプレーした後、20年にサントリーに復帰。古巣の14年ぶり8度目のVリーグ優勝に貢献する。ジェイテクトSTINGSを経て、今シーズンから東京グレートベアーズに在籍。日本代表では二度のワールドカップ、一度の世界選手権を経験。今年開催されたアジア大会では主将を務め、銅メダル獲得に尽力した。

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著者プロフィール

神奈川県生まれ。神奈川新聞運動部でのアルバイトを経て、『月刊トレーニングジャーナル』編集部勤務。2004年にフリーとなり、バレーボール、水泳、フェンシング、レスリングなど五輪競技を取材。著書に『高校バレーは頭脳が9割』(日本文化出版)。共著に『海と、がれきと、ボールと、絆』(講談社)、『青春サプリ』(ポプラ社)。『SAORI』(日本文化出版)、『夢を泳ぐ』(徳間書店)、『絆があれば何度でもやり直せる』(カンゼン)など女子アスリートの著書や、前橋育英高校硬式野球部の荒井直樹監督が記した『当たり前の積み重ねが本物になる』『凡事徹底 前橋育英高校野球部で教え続けていること』(カンゼン)などで構成を担当

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