バレーボール日本代表、柳田将洋の『ハイキュー!!』愛 「現実の世界でも及川徹のようなサーブを」
クラブでは「自分の活躍度」も大切な要素
今秋の杭州アジア大会では、精神的支柱としてさすがの存在感を放ち、日本代表の銅メダル獲得に貢献。代表とクラブでのスタンスの違いについても語ってくれた 【写真は共同】
アジア大会にキャプテンとして臨み、日本代表として銅メダルを獲ることができたのは、1つの成果ではあると思っています。ですが、僕はもともと日本代表は日本代表、クラブはクラブ、と分けて考えるタイプなんです。日本代表は国を背負って、日の丸を背負って戦っているので、自分がどうこうというよりもチームが勝つためにどうするかが、何よりも優先されます。
もちろんクラブでも、チームが勝つためにどうするかを考えるのは一緒ですが、自分に向ける矢印もある。チームの勝利がゴールではあるけれど、その中で自分がどれくらいの活躍度を占めているかという部分も大事ですし、そこは勝負すべきところ。そのために周りを鼓舞することもあります。チームが勝つために試合に出ている選手、出ていない選手に関係なくコミュニケーションを取ることももちろんですが、まずは自分が活躍することが第一です。
旭弘さんとも積極的にコミュニケーションを取って、自分が打ちやすいトスを上げてくれるようにいろいろと要求しています。旭弘さんとはアジア大会でも一緒でしたが、クラブではまたゼロスタートだと思っているし、そのほうがいい。たくさん話して、またここから積み上げていきたいと思っています。
──今シーズンから出身地のクラブでもある東京グレートベアーズでプレーしていますが、東京が拠点になったことで、より多くの方に柳田選手のプレーを見てもらえそうですね。
そうですね。東京という場所にも、グレートベアーズというチームにも魅力を感じたうえで移籍を決断したので、これを生かすも殺すも自分次第。いい場所、いい環境でやらせてもらっているわけですから、あとは結果やパフォーマンスにフォーカスしてやるだけです。
『ハイキュー!!』を読んで足を運んでくれた人へ
『ハイキュー!!』を読んでバレーボールに興味を持ってくれた人たちのために──。柳田は「漫画を超えるクオリティを実際の試合で見せたい」と熱く話す 【YOJI-GEN】
自分が持っている力を100パーセント出す。それを101パーセント、102パーセントにするのが会場の雰囲気や、ファンの方々の応援の声だと僕は思っています。1パーセント、2パーセントと言うと、ごくわずかのように思われるかもしれませんが、この差はすごく大きい。代々木第二体育館でのホームゲーム開幕戦でも感じましたが、たくさんの観客がいる最高の雰囲気の中で試合ができる幸せは、アスリート冥利に尽きるし、いつも以上に力を出せる気がしました。
僕らがいいプレーを見せられれば、見に来た方々も「バレーボールって面白い」と、このスポーツの魅力をさらに感じてくれるかもしれない。一緒にバレーボールを盛り上げられると思うし、そのためにもっともっと自分はできる、という気持ちにもなりました。
──今シーズンはどんなプレー、どんな姿をファンに見せたいですか?
『ハイキュー‼』の及川に負けないようなサーブを打ちます。彼は高校生ですけど(笑)。でも本当に、『ハイキュー‼』を読んでバレーボールを見てみたいと会場に足を運んでくださった方に、現実の世界でも及川のようなサーブが見られるんだと体感してもらいたいですね。
僕たち東京グレートベアーズのホームゲームには、バレーボールの魅力が詰まっていて、1つのエンターテインメントとして楽しんでもらえる自信があります。僕自身も試合に向けてアップをしながら、「この雰囲気でバレーボールができるんだ」と、まるでショーが始まる前のような気分になったので、ぜひ試合会場に来て一緒に楽しんでいただきたいですね。
スポーツ、バレーボールは見に来てくれる方々や関わってくれる方々に、選手からエネルギーを届けられるもの。僕たちの試合が、少しでも週末の楽しみになってくれれば嬉しいです。僕は及川のようなサーブをしっかり打ちますので、ぜひ会場へ足を運んでください!(笑)