阪神の優勝に最も貢献したのは誰?データで選ぶMVP

データスタジアム株式会社

18年ぶり優勝を飾った阪神タイガース。MVP候補を挙げるなら誰だろうか? 【写真は共同】

 打撃、守備、走塁、そして投球。さまざまな角度から選手を評価する指標がWAR(Wins Above Replacement)だ。WARの示す数字は、控えクラスの選手を起用した場合と比較して何勝分チームに貢献できたかを表す。本企画は、この総合指標WARを用いてデータの視点から阪神の優勝に貢献した選手をランキング形式で紹介する。

大山がチームトップのWARを記録

【データ提供:データスタジアム】

1位 大山悠輔 WAR6.41

 1位に輝いたのは不動の4番・大山悠輔だ。昨季は4つのポジションを守ったが、今季は岡田彰布監督の方針で「4番・ファースト」に固定され、チームでは2009年の金本知憲以来となる全試合4番スタメンを果たした。今季はフォアボールの多さが際立ち、いずれもリーグトップとなる99四球、出塁率.403を記録。一塁手としての貢献度も高く、堅実な守備でチームを支えた。優勝が決まった直後、歓喜の輪の中で流した涙は印象的だった。

2位 近本光司 WAR6.38

 リードオフマン・近本光司が2位。今季は持ち前のバットコントロールに加え、自己最多の67四球を選び、リーグ3位となる出塁率.379を記録。7月に骨折で戦列を離れたものの、復帰してからはトップバッターとして、チームの快進撃をけん引。2021、22年と2年連続でゴールデン・グラブ賞を獲得している守備での貢献も大きく、ヒット性の打球を何度もキャッチし、投手陣を助けた。さらに、28盗塁をマークし、2年連続4度目の盗塁王に輝くなど、足でも躍動した。

3位 中野拓夢 WAR4.6

 3位にランクインしたのはショートからセカンドにコンバートされ、全試合フルイニング出場を達成した中野拓夢だ。打線では2番打者を務め、走者の盗塁を待ったり、1球ごとにサインが変わったりするなど、さまざまな制約がある中で、リーグトップタイの164安打を記録。近本との1・2番コンビは、リーグ最多得点を記録した阪神打線の強みとなった。また、広大な守備範囲を生かしたプレーが随所に見られ、ショート・木浪聖也との二遊間コンビは抜群の安定感を誇り、ダブルプレーも数多く完成させた。

4位 村上頌樹 WAR4.4

 投手で最も高いWARを記録したのが、防御率1.75で最優秀防御率のタイトルに輝いた村上頌樹だ。今季初先発となった4月12日の巨人戦で7回をパーフェクトに抑える快投を見せると、その後ローテーションに定着。後半戦からはカードの初戦を任され、各球団のエース級に投げ勝ち、チームに勢いをもたらした。144回1/3イニングを投げ、137奪三振に対し、与えた四球はわずか15個。三振が取れて、四球が少ない、理想的な投球を見せた。

5位 佐藤輝明 WAR4.3

 チームトップの24本塁打、92打点を記録した佐藤輝明が5位。前半戦は不調に苦しみ、6月には二軍落ちを経験したものの、後半戦は持ち前の長打力を遺憾なく発揮。8月以降は打率.330、12本塁打、45打点を記録し、チームを勝利に導く活躍を見せた。9月13日の巨人戦では先制の満塁ホームラン、優勝を決めた翌14日には貴重な追加点となる2ランをバックスクリーンにたたき込むなど、印象的な一打が目立った。

リリーフで大車輪の活躍を見せた岩崎

 今回算出したWARではトップ5に入らなかったものの、リリーフで大車輪の活躍を見せた岩崎優の存在も忘れてはならない。シーズン序盤はセットアッパーを務め、中盤からは湯浅京己に代わって、抑えを任されると、リーグ最多の35セーブをマーク。チーム最多の60試合に登板し、防御率1.77と抜群の安定感を誇った。リーグ優勝を決めた試合では胴上げ投手となり、岡田監督も「投手のMVPは岩崎」と最大級の賛辞を送った。

トップ10に阪神の選手が5人ランクイン

【データ提供:データスタジアム】

 セ・リーグ全体のWARランキングを見てみると、トップ10に阪神の選手が5人も名を連ねるなど、2位に圧倒的な差をつけて優勝した強さを象徴する結果となった。WARではセカンドを守りながら、リーグ随一の打撃力を誇る牧秀悟(DeNA)が優勢だが、シーズンMVPは優勝チームから選出されることが多いため、阪神の選手がセ・リーグMVPに輝くことが濃厚だ。11月の発表を心待ちにしたい。

※データは2023年10月4日終了時点
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著者プロフィール

日本で唯一のスポーツデータ専門会社。 野球、サッカー、ラグビー等の試合データ分析・配信、ソフト開発などを手掛ける。

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