プロ野球2023シーズン終盤戦の12球団見どころ

次々と新戦力が台頭、常に進化してきたオリックス “絶対的安定感”の王者に死角はあるのか?

三和直樹

好投を続けるエース・山本(中央)を中心に、今季もオリックスは「強さ」を発揮している 【写真は共同】

 今年3月31日に開幕したプロ野球は、記録的猛暑の夏を越えていよいよ“勝負の9月”を迎える。セ・パ両リーグの首位球団に優勝マジックが点灯した今、残りの約20試合をどのように戦うべきか。そして注目ポイントはどこか。12球団の終盤戦の“見どころ”を整理しておきたい。今回はオリックスだ。

※成績はすべて9月8日時点のもの

1度のみの4連敗と8度の4連勝以上

 懸念はあった。主砲・吉田正尚が退団。FAで森友哉を加えたとはいえ、新外国人が未知数で、攻撃力低下は確実視された。自慢の投手陣も、山本由伸、宮城大弥の左右のエースがWBCに参戦した影響が心配された。そもそも昨季のリーグ優勝は「同率V」であり、そこから大型補強を敢行したソフトバンクと比べると、戦力値で劣ると思われていた。

 だが、蓋を開けてみれば、開幕から安定感抜群の戦いを続けた。4月を14勝10敗で終えて以降、月単位で勝率5割を下回った月はなく、6月以降は3カ月連続で勝率6割以上。ここまで4連敗が1度あるのみで、4連勝以上を計8度(最大8連勝)マーク。現時点で71勝45敗4分けで優勝マジック14を点灯させている。

 投手陣では高卒3年目の山下舜平大がブレイク。野手陣では育成ルーキーの茶野篤政が開幕からスタメンで奮闘し、大卒5年目の頓宮裕真が“打撃開眼”で快音連発の日々。不振の選手やケガ人も出たが、1軍と2軍の風通しが良く、次々と若手が頭角を現すだけでなく、中堅、ベテランの面々も調子が上がればしっかりと出番を与えられ、改めて就任4年目の中嶋聡監督のチームマネジメント力の高さが光っている。

「沢村賞」と「10勝カルテット」の行方は?

 安定感抜群の戦いを可能にしているのが、やはり豪華な先発投手陣だ。昨季も12球団トップの先発防御率2.77をマークしたが、今季はここまで2.68と上回っている。

 その筆頭は今季も山本由伸だ。2年連続沢村賞のエースは、最初の3試合を1勝2敗スタートとなったが、4月末からの6試合を5勝0敗で防御率1点台をキープすると、8月以降の5試合でも4勝1敗で自責0(失点3)と好調をキープしている。現時点で13勝(5敗)、防御率1.34、勝率.772の投手3冠だ。ただ今季は、完投数、投球回、奪三振数などで他球団の投手に劣っており、3年連続沢村賞のためには「15勝」「150奪三振」の基準はクリアしたい。残り「2勝」と「13奪三振」をマークできるかに注目だ。

 その山本に加えて、宮城大弥(9勝4敗、防御率2.35)、山下舜平大(9勝3敗、防御率1.61)、さらに山﨑福也(9勝4敗、防御率3.40)が2ケタ勝利にリーチをかけており、残りシーズンの中でそれぞれがしっかりと白星を挙げられるか。「10勝カルテット」の誕生が期待される。

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著者プロフィール

1979年1月1日生まれ。大阪府出身。学生時代からサッカー&近鉄ファン一筋。大学卒業後、スポーツ紙記者として、野球、サッカーを中心に、ラグビー、マラソンなど様々な競技を取材。野球専門誌『Baseball Times』の編集兼ライターを経て、現在はフリーランスとして、プロ野球、高校野球、サッカーなど幅広く執筆している。

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