次々と新戦力が台頭、常に進化してきたオリックス “絶対的安定感”の王者に死角はあるのか?
頓宮の首位打者争いと今後のキーマン
今季打撃絶好調の頓宮は打率ランキングトップをキープしている 【写真は共同】
その中で、頓宮裕真の打棒には9月以降も注目が集まる。ここまでリーグトップの打率.311をマークしており、16本塁打はチームトップで、49打点も森友哉と並んでチームトップタイの数字を残している。期待は首位打者の獲得だが、打率ランキング2位の柳田悠岐(ソフトバンク)が打率.306、3位の近藤健介(ソフトバンク)が打率.304の僅差で追っている。7月に月間打率.188と調子を崩した頓宮だが、8月は月間打率.322と復調しており、このまま逃げ切れるかどうか。
そして、今後の戦いの中でキーマンにしたいのが、中川圭太とセデーニョの2人だ。中川は7月を終えた段階で、87試合に出場して打率.255、7本塁打、31打点だったが、8月以降は29試合で打率.315、5本塁打、17打点と調子を上げて3番打者として存在感を発揮している。育成契約から5月に支配下登録されたセデーニョは7月の18試合で7本塁打を放ったが、8月以降は不振で2軍降格となった。だが、あの爆発力は大きな魅力。復調してポストシーズンの前に戻って来ることを期待したい。
優勝は間違いなし、重要なのはCS第1戦
特に警戒すべきがロッテだ。復帰間近と言われる佐々木朗希が、今季のオリックス戦で4試合に先発し、いずれも7イニングを投げて2勝0敗、防御率1.29。4月14日の対戦では山本由伸が投げ負けている。さらに昨季も佐々木はオリックス戦で4試合3勝1敗、防御率1.20という成績で、宮城大弥と投げ合った4月10日の試合ではノーヒットノーラン&19奪三振の伝説を作られた。今季CSで対戦することになれば、佐々木から果たして何点奪えるのか。昨季、対佐々木で8打数3安打の打率.375だった吉田正尚の退団が響くことになるかもしれない。
過去のCSファイナルステージを振り返ると、ロッテと対戦した2021年、ソフトバンクと対戦した2022年、ともに第1戦を山本由伸が先発して勝利している。1勝のアドバンテージがある中で、先勝したことによる心理的アドバンテージは非常に大きかった。だが、初戦を落とした場合は、一気に勝負の行方が分からなくなる。
チームとしての経験値も高く、窮地をチーム全員で乗り切れる一体感もある。だが、使い古された言葉ではあるが、「油断は禁物」だ。心地良くリーグ3連覇を決めた後、残る試合を戦いながら、選手、チームとしてのピークをポストシーズンに持って行けるか。中嶋監督の腕の見せどころだ。