プロ野球2023シーズン終盤戦の12球団見どころ

次々と新戦力が台頭、常に進化してきたオリックス “絶対的安定感”の王者に死角はあるのか?

三和直樹

頓宮の首位打者争いと今後のキーマン

今季打撃絶好調の頓宮は打率ランキングトップをキープしている 【写真は共同】

 打線に関しては、チーム打率.249(リーグ1位)、チーム本塁打93本(同2位)と優れてはいるが、他球団とそれほど大きな差はない。選手個々を見ても「不動の4番」や「不動のリードオフマン」はおらず、シーズンを通して常に選手と打順を入れ替えながら戦っている。

 その中で、頓宮裕真の打棒には9月以降も注目が集まる。ここまでリーグトップの打率.311をマークしており、16本塁打はチームトップで、49打点も森友哉と並んでチームトップタイの数字を残している。期待は首位打者の獲得だが、打率ランキング2位の柳田悠岐(ソフトバンク)が打率.306、3位の近藤健介(ソフトバンク)が打率.304の僅差で追っている。7月に月間打率.188と調子を崩した頓宮だが、8月は月間打率.322と復調しており、このまま逃げ切れるかどうか。

 そして、今後の戦いの中でキーマンにしたいのが、中川圭太とセデーニョの2人だ。中川は7月を終えた段階で、87試合に出場して打率.255、7本塁打、31打点だったが、8月以降は29試合で打率.315、5本塁打、17打点と調子を上げて3番打者として存在感を発揮している。育成契約から5月に支配下登録されたセデーニョは7月の18試合で7本塁打を放ったが、8月以降は不振で2軍降格となった。だが、あの爆発力は大きな魅力。復調してポストシーズンの前に戻って来ることを期待したい。

優勝は間違いなし、重要なのはCS第1戦

 2位に10ゲーム差を付け、残り23試合で優勝マジック14。盤石の先発投手陣を保有して大型連敗をしないチームが今後、逆転される可能性は限りなくゼロに近い。だが、短期決戦となるCSでは戦い方も異なり、死角も生まれる。

 特に警戒すべきがロッテだ。復帰間近と言われる佐々木朗希が、今季のオリックス戦で4試合に先発し、いずれも7イニングを投げて2勝0敗、防御率1.29。4月14日の対戦では山本由伸が投げ負けている。さらに昨季も佐々木はオリックス戦で4試合3勝1敗、防御率1.20という成績で、宮城大弥と投げ合った4月10日の試合ではノーヒットノーラン&19奪三振の伝説を作られた。今季CSで対戦することになれば、佐々木から果たして何点奪えるのか。昨季、対佐々木で8打数3安打の打率.375だった吉田正尚の退団が響くことになるかもしれない。

 過去のCSファイナルステージを振り返ると、ロッテと対戦した2021年、ソフトバンクと対戦した2022年、ともに第1戦を山本由伸が先発して勝利している。1勝のアドバンテージがある中で、先勝したことによる心理的アドバンテージは非常に大きかった。だが、初戦を落とした場合は、一気に勝負の行方が分からなくなる。

 チームとしての経験値も高く、窮地をチーム全員で乗り切れる一体感もある。だが、使い古された言葉ではあるが、「油断は禁物」だ。心地良くリーグ3連覇を決めた後、残る試合を戦いながら、選手、チームとしてのピークをポストシーズンに持って行けるか。中嶋監督の腕の見せどころだ。

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著者プロフィール

1979年1月1日生まれ。大阪府出身。学生時代からサッカー&近鉄ファン一筋。大学卒業後、スポーツ紙記者として、野球、サッカーを中心に、ラグビー、マラソンなど様々な競技を取材。野球専門誌『Baseball Times』の編集兼ライターを経て、現在はフリーランスとして、プロ野球、高校野球、サッカーなど幅広く執筆している。

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